大千穐楽、おめでとうございます。
全99回の公演が何事もなく、無事に終わったことに心の底から安堵しています。

6月8日に宝塚大劇場で初日の幕が上がってから、昨日東京宝塚劇場で幕が下りるまでの約3カ月。
観る度に、出演者の演技が変わり、歌い方が変わり、舞台上に流れる雰囲気が変わる不思議な舞台でした。

話の流れは何一つ変わらないのに、毎回新しい話を観ているようでした。
登場人物たちがタイムリープして、同じ人生なんだけれど、違う人生を歩んでいるのを見ているような…。

 舞台上の出演者たちが表現しよう、伝えようとしていることを少しでも感じて受け止めたいと集中して観て、追いかけた濃密な日々。

全てが終わった今、放心状態です。
少しずつ気持ちを整理しながら、感想を書いていきたいと思います。

初演から18年。
再演で、主演。
専科からの特別出演での大劇場公演。
どれだけの重圧を背負ってたでしょう。
苦しかったと思います。
それでも、目の前にある課題に向き合い、真摯な役作りで着実にクリアされ、経験に裏打ちされた比類のない男役の姿と演技力で、魂の奥底を震わせる感動をわたしに下さった轟悠さんに、感謝しています。

ラヴィックの友人ボリスとして、舞台上に存在していた望海風斗さん。
定評のある歌唱力よりも、彼女の演技力と学年差を全く感じさせない度量、懐の深さ、包容力に感嘆しました。
望海さんはラヴィックもできるでしょうし、見てみたいとも思います。
でも、彼女以上のボリスは今後現れないと思います。
公演を重ねるにつれてどんどん望海さんが消えていき、最終的には舞台の上のどこにも望海さんはおらず、ボリスが立って息をして生きていました。
素晴らしかった。

わたしにとっては、今回の公演で初めましてだった真彩希帆ちゃん。
最初は、可愛らしくてコケティシュなジョアンで、あんまりにも可愛いので、毎回きゅんきゅんしながら観てました。
守ってあげたい、構ってあげたい、目を離しておいてはいけない、と強く思わせるジョアンでした。
それが、東京になると一気に大人の女性になっていて驚きました。
そして、彼女もまたジョアンとして舞台の上で生きていました。
ジョアンの台詞にあるような

全身で生きていることを感じて、ただただ幸せでいたいと願い続けている女性。

嫌な女にならず、観客が好感を持ち同情できるジョアンだったから、最期が悲しくて堪らず、毎回涙が止まりませんでした。

次回の大劇場公演「ファントム」が楽しみです。