〜続き


『弁護士の返事待ちやから待って』


「時間つぶしするなら、鍵渡せ」
「帰ってからでいいよ」
「鍵渡さないなら、今すぐ話しろ」
「どうすんの?」


『実家に連絡しておくから、実家におってー』


家には入られるのはいろいろ物が残っているので、何をもっていかれるかはわからない。


「嫌だから」


『は?』


「鍵渡せ」
「家に帰らせろ」


『別になんも言わないようにしておくよ』


「だったら鍵渡せ」


『なんでこの家にこだわるん?』


「自分の家に誰だって帰りたいやん」
「自分の物もあるし」


まだ自分の家に帰りたい?


帰りたいのは、女の家でしょ。


『離婚するからもう自分の家ちゃうやん』


「まだ離婚してないでしょ」
「早とちりやめて」


『物は後でだす』


「もう時間つぶしやめようや」
「今離婚するか、鍵渡して夕方するか」
「どうすんの?ねえ?」


旦那は今すぐにでも離婚したいんだろうな。


わかってるけど、とりあえず時間を作らねば。


『養育費と慰謝料は払う気あんねんな?』


「あるって前も言ったでしょ」
「鍵渡してくれんの?」


『わからん』


「わからんって何よ」
「ただ家で待つだけだけど」


『時間稼ぎとかじゃなくて、弁護士の返事待っとんねん。勝手に離婚届出したらあかんから』


「離婚していいかどうか?」


『離婚はするよ。する程で話してるから』


離婚するなら弁護士さんに相談してからしたかった。


でも弁護士事務所からの折り返しの電話はない。


「だったら夕方でいいって言ってんの」
「鍵渡せって、家でゆっくり待ってるから」


『実家におったらいいやん』


「だから嫌だって言ってんの」
「ゆっくりしたいんだ、俺は」
「鍵渡せば済む話やん」
「時間稼げていいでしょ」


『家に入られるのがもういやや』


「それはあんた自身の問題でしょ。関係ない」


『まぁね』


実家に行きたくないってのも、旦那自身の問題なのでは、、、


「大人しく待っとくっていっとんねん」


『だから実家にいれば?誰もいないって』


「鍵渡せよ」
「つまらん意地はるな」
「黙ってゆっくり待っとくって言ってんねん」


『だから弁護士の返事まちやってば』


「家にいるかいないかは関係ないでしょ」


『ほんまに弁護士待ってくれ』


何を言っても、旦那も私も折れない。


「家で待つだけやろ」
「弁護士関係ないやん」
「鍵渡して」
「家で待っとくから、ゆっくり相談したらいいやん」


『離婚届にハンコ押したやつ書いといたら、あとは出しにいくじゃあかんの?』


埒があかないので、旦那に提案してみる。


「いつ出すねん」
「信じられへんわ」


『出すわ笑 離婚したいのはこっちやからな』


「だから言ったでしょ、できるって」


『離婚協議書作ってから離婚したいねん』


「そんなん後でいけるから」


『できない』


「できるよー」
「んで、どうすんの?」


『鍵は渡したくない』


「わがままやめろ」
「今日一日でおわるやん」
「まだ先延ばしにすんの」


『まだ電話こないわー』


「自分の家にいさせてっていってるだけやん」


『弁護士の返事まってるんやってば』


ケータイも財布ももってるなら、実家に行って風呂でも、ご飯でもなんでもできる。


それでも家に帰りたいのは、荷物をあさるためなんだろう。


「鍵渡せばいいだけやん」
「家で弁護士の返答まっとくから」
「こんなやりとりいらんやん」


『だから、女の家で待っとけばいいでしょ。鍵もらって』


実家にいきたくないなら、どうせ行くであろう女の家にいけばいいのに。


「金のことは弁護士通して、それ以外は関係ないやろ」
「だから何いってんの?関係ないでしょ」


『離婚決まってるから、別に行っても大丈夫』
『そっちの方がゆっくりできるやん』
『もうもらうもんも一緒やし、好きにしたらいーよ』


「わけわからんこと言うな」


『もう守っても無駄やから』


「守るとかどーでもいいよ」
「事実は事実。一緒なのはわかってるよ」
「今いってるのは家に帰らせろってこと」


一緒なのはわかってるなら、もう離婚する前に先に女の家に行っても同じなのに。


そこまでしていかない理由は何?


『もう弁護士通して話してください』


「通してどうなるの」


『弁護士通さないともう話しません』


「でるならなんであんたの相談無視されてるの」


『今いないから。折り返しの電話まち』


「ほらな」


こう返信がきたときに、旦那のきょうだいから連絡があった。


会社の近くまで迎えにきてるよーと。


旦那が会社の前に車をおいていたけど、車の通りが結構あるので、ラインのやりとりをしている間は、会社の周りを車でぐるぐる回っていた。


旦那は一旦あきらめたのか、会社から離れた。


その隙に、私は荷物を持って会社から出た。


近くで待っていてくれた旦那のきょうだいの車に乗る。


とりあえずは、旦那きょうだいの家に避難することにした。


早く弁護士さんからの連絡がないかな、、、


そう願いながら、旦那のきょうだいの家に向かった。