ライブに参加するためにはチケットを購入する必要がある。
人気のあるライブなら簡単には買えない。壮絶なチケット争奪戦を勝ち抜かなければならない。


やっとチケットを手にすると、今度はその日に向けてまたまた準備が始まる。

地元でなければ、宿泊・交通手段を確保しなければならない。

当然、チケット以外の出費もかさむ。

公演が近づくと、アーティストと目が合ってしまう事を想定し(現実にはほぼ有り得ないショック!)エステに行ったり、美容院に行ったりもする人もいるかも知れない。

新しい服を買ったりもする。

沢山のエネルギーを使って、その日を迎える。


そこまでして観たい(聴きたい)対象に巡り会えた人は、本当に幸せだと思う。


私の敬愛するアーティストは、インターネットで何でも手に入るこのデジタルの時代に、この一連の面倒な行為を経て、ライブという究極のアナログに足を運んでくれるファンに最大の感謝を示し、「ライブで最高の贅沢をしよう!」と言う。


そこではアーティストと観客との「気」の交歓が存在し、同じ内容でも日によって全く違う顔を見せる。

アーティストのコンディション、観客一人一人のコンディション、会場の造り・・・様々な条件が複雑に重なった、その日、その場所だけのライブが完成する。


会場の温度、空気が震える幻のような瞬間は、そこに居た人だけが味わう事のできる「最高の贅沢」


最近のライブは、ほぼDVD化される。

もちろん、力量のあるアーティストなら映像でも十分に魅せられるし、感動するし、伝わる。


でも、残念ながら、会場の空気の振動と気の交歓までは再現することはできない。

先日、私の敬愛するもう一人のアーティストかつアスリート、大ちゃんの出演するアイスショーを見に新横浜まで行った。このショーは私にとっても一番好きなショー。出演者も毎年、見応えのある素晴らしいメンバー。今年は大ちゃんの復帰のショーという事もあり、会場の空気も温かく、これまでで一番の盛り上がりだったように感じた。


氷上でスタートのポジションについただけで、会場の空気を一瞬にして変えてしまう存在感が彼にはある。


あの日も、リンクの中心でポーズをとった瞬間に全ての観客が彼の世界に集中した。足の一蹴り、差し出した指先・・・体中から放出される「気」、彼に向かって凝縮されていく観客の「気」、その見事な融合に、私の心はこれまで経験した事のないほど震えた。


あの会場で感じた空気感、会場を支配した神々しいほどの透明感。それは残念ながら、映像では完全に伝わらないのだと改めて思った。映像の中の彼は、十分に素晴らしく、観る人の心を震わせることができたと思う。当日会場へ行く事ができなかったファンにも、参加できたファンにも映像として残る事は、本当に有難いし、私も改めてその美しさに心を奪われた。


ただ、記録されなかったものは確かにあり、それが「ライブの最高の贅沢」なのだと思った。
だから、彼が滑り続けてくれる限り、少々無理をしても会場に足を運ぼうと思う。
だって、出会ってしまったから・・・・、それは私の人生を豊かにしてくれる貴重な貴重な縁だから。


大ちゃんという素晴らしい才能に巡り会えた事、彼を軸に展開され始めた私のもう1つの人生、新しい感動、新しい出会い・・全てに感謝ドキドキ