4月28日…のオーバーオールを着た兄弟の英雄譚…任天堂の象徴的存在The SUPER MARIO BROS MOVIE(ザ・スーパーマリオブラザーズ ムービー)…


海外公開のみで興行収入1000億円を突破したマリオ映画が、日本に上陸した。


興行収入1000億円(日本円相当)という前代未聞の売上を果たした映画如何様なものか4月28日(公開初日)にTOHOシネマズ日比谷で私の目と耳に焼き付けて参りました。


※ネタバレ注意※



「ザ・スーパーマリオブラザーズ ムービー」任天堂イルミネーションの共同製作によって作られた、ユニバーサル・ピクチャーズ配給の映画です。


「え?マリオとほぼ無縁なハローダがなんでマリオ映画のレビューなんかするの?」


そう思われがちですが、私のブログを閲覧しているあなたでも一度はマリオのゲーム(スーパーマリオシリーズやマリオカート、マリオパーティ及び各マリオキャラクターが主人公のスピンオフ作品:ドンキーコング等)プレイした事はあるはずです。


全世界で累計5億6000万本以上の売上(2020年現在)を記録しておりギネス世界記録に認定されています。


もし本当にマリオ系ゲーム一度もお触りしていない人は素直にコメントにて申告してください。


(決して炙り出そうという意図はございません。)


本映画はそういったマリオ系統のゲームを一度でもお触りした事があるマリオファン方向け、あるいは子供向けとなっています。


ではこれより本解説を始めます。


0.公開初日の劇場の様子


先程も言ったように有楽町駅から徒歩5分程の場所にあるTOHOシネマズ日比谷にて本映画を鑑賞して参りました。マリオ映画は原語セリフ(英)の字幕版と日本語吹替版の2種類があります。


13:15からの吹替版(スクリーン9、G7席)を選びましたが、客層は幅広く、未就学児を初めとしたお子様及び学生や20~60代の大人によって257席のうち3分の1程が埋まる賑わいを見せていました。


公開初日の平日昼間だったのでさほど混んではいませんでしたが、GWに入るとマリオ人気故の混雑が予想されるので、見たい人は早めに席予約を取った方がいいかもしれません。


ちなみに同じ都内のTOHOシネマズ六本木はマリオ映画仕様のマリオシアターとなっています。


1.ざっくりとしたストーリーの流れ


Nintendoのロゴ→イルミネーションのロゴ→

Chapter1 悪の来寇と兄弟の目覚め

ペンギン達の住まう氷の王国にクッパが広域飛行殲滅要塞と共に侵攻、「扉を開けよ。死にたいか?」ペンギンの王が雪だるまで応戦するも敵わず、氷城を滅ぼして無敵アイテムであるスターを手にするクッパ。

場面はブルックリンに在住する配管業を営むマリオとルイージへ移る。(ここは30年前に公開されたマリオの実写映画・魔界帝国の女神と設定が同じ)彼らは自分のCMを作るも仕事が上手くいかずマリオはそのギクシャクをパルテナの鏡をぶつけるもヤラレチャッタ。そんなことをしているうちにNY・マンハッタンの水道管が破裂し街が冠水冠水の原因を突き止めるべくマリオブラザーズは地下へ行き、排水管を修理しようとするも不可抗力により流され、謎の土管で異世界へ

Chapter2 キノコ王国

マリオはピーチ姫の治めるキノコ王国へ、ルイージはクッパの治めるダークランドへ飛ばされ、ルイージはカロンに追いかけられ城内へ。クッパの尋問後は檻籠に幽閉される。マリオはキノピオやピーチ姫と邂逅→ピーチ姫と共にアクションの特訓をした後、マリオ達はピーチ城に招かれクッパ侵攻阻止会議に参加する。今のキノコ王国の国力ではクッパ軍に滅ぼされると危惧したピーチ姫はジャングル王国との協定を組む計画を立て、マリオ達と様々な所を冒険しジャングル王国に辿り着く。

Chapter3 締結される絆

無事にジャングル王国に到着したマリオご一行。王を務めるクランキーコングは「息子のドンキーコングを倒せたのならば同盟を組んでも問題ない」と言いマリオvsドンキーコングの決闘が始まり、苦戦しつつもマリオはドンキーを倒ひ同盟を組む。夕刻にはクッパがキノコ王国へ攻め込むと解り、事態の重さを省みたクランキー国王はマリオ達をカーレース用車両でキノコ王国へ届けようと車両を一斉に用意。マリオ達はマリオカートでレインボーロードを駆ける。それを見たクッパは援軍を送り込み、マリオ達を妨害する。青いノコノコはトゲゾー甲羅に籠りマリオとドンキーコングをコースごと道ずれにし、彼らを海の藻屑にする。

Chapter4 黄昏の火の結婚式

キノコ王国に顕現したクッパ、ピーチ姫との結婚式を挙げるもピーチ姫に断られ檻で捉えた囚人共を炙り殺そうとする(カメック曰く、結婚式の生贄)→それをマリオとドンキーコングが駆け付けて阻止、生贄にされかけた皆を助けるその間にピーチ姫はクッパを凍らせて足止めする解凍されたクッパがブチ切れしキノコ王国を滅ぼすためにマグナムキラーを発射マリオはタヌキの力でキラーを引き付けて異世界ワープ土管へキラーを送るキラーが異空間で爆発し、その影響がキノコ王国へ波及しマリオ達は元居たブルックリンの街へ飛ばされる

Chapter5 そして救世主へ

マリオ達vsクッパ、街で最終決戦仲間の助けでマリオとルイージは炎に押される形でスターをクッパから奪取、クッパを撃破しマリオやルイージの家族、皆からブルックリンの英雄と称えられるクッパはピーチ姫にマメキノコを食わされ身体が縮まり瓶詰めにされる。マリオの「亀を飼いたい」というマリオ父との約束が叶うクッパ、恋敗れて「Peaches」を弾き唄う。


暗転しルマリー(星の子のチコ)が虚無の中でラッパを吹く→場面はブルックリンの地下へ、ヨッシーの卵が割れてヨッシーの声と共に暗転END


以上のように、シンプルでわかりやすいストーリーとなっており、アクションパートが非常に多い「ゲーム追体験型映画」となっています。


2.登場キャラについて


マリオ(CV:宮野真守)


世界で最も有名なゲームキャラクターこと彼ですが、実はキノコはあまり口に合わない模様。キノコ王国に転移する前のNY・ブルックリンで家族とキノコスパゲティを食べる時も少々苦心していましたが、キノコ王国に来てピーチ姫にスーパーキノコを食べさせられたあとはすんなりとマメキノコ(自身が極小化するアイテム)やスーパー木の葉(取ると高い機動力を持つタヌキマリオに変身)等、異世界のアイテムを受け入れます。

また、諦めの悪い性格を持ちその根性はキノコ王国を冒険していくうちにどんどん鍛え上げられ、最後はルイージと共にスターをクッパから奪還し無敵になり、兄弟でクッパを討伐した。


幾度、ミスをしても立ち上がる根性論を謳う性格はゲームをプレイするプレイヤーが落下してミスをしても諦めないところから研磨されたものだと思われます。


ルイージ(CV:畠中祐)


マリオの2Pプレイヤーとして登場した、瓜二つの姿をした緑のヒゲと呼ばれている(ゲームでは)心配性…元い臆病な性格を持つマリオの弟で、先述した通り異世界ワープ土管に入ると何故かダークランドに流され、クッパの捕虜にされる憂き目に逢う「不遇」の任天堂代表キャラ…的な彼ですが、劇中ではマリオと共に赤子だった頃の過去が明かされます。それによると幼少期には積み木で組み上げた城をいじめっ子に崩された…というもの。最終決戦ではピーチ姫の攻撃によりスターを失ったクッパが失意による苛烈な火炎放射をマリオブラザーズに放たれるが、ルイージは市街地に落ちていたマンホールの蓋を盾に火炎放射を防ぎ、スター獲得への算段を作りマリオと共にクッパを討伐する。


ピーチ姫(CV:志田有彩)


彼女もマリオシリーズで最も有名な女性キャラクターですが、クッパによく攫われる「囚われの姫」の代名詞的存在でした。しかし今作ではキノコ王国の指導者として君臨しており、高い機動力や魔法の力をマリオに見せ付け、彼やキノコ王国の住民・キノピオやドンキーコングと共に冒険譚を紡ぎます。後半、クッパからキノコ王国存亡をかけた結婚式に誘われ「結婚しなければキノコ王国を滅ぼす」とクッパに脅された彼女は無理矢理愛の糸を繋がれ、結婚式の花婿としてキングテレサ(幽霊キャラクターであるテレサのボス)やボムキング(ボム兵のボス)達らが参列する結婚式を挙げられますが、そこで彼女が見たのは今にも溶岩に向かって下がり続ける檻によって炙り殺されそうな、生贄にされた仲間たちの惨状。これを重く見た彼女はクッパからの求婚を拒否。マリオ達と共にクッパ討滅への戦いを進めるのであった。


実は彼女もNYの住民の1人で、マリオ達より前にキノコ王国に流れ着きキノピオ達に訓練され、その後はキノコ王国の女王の座に就きます。


前評判では「ピーチ姫が戦うのはポリコレに配慮した結果だ!」と言われていましたが、勇敢にクッパに立ち向かう彼女の勇姿はプリキュアシリーズを見ていた私からすると「戦う姫は高潔で美しい」と言いたいです。(実際に彼女が主人公のゲーム・スーパープリンセスピーチではその強さを存分に発揮している)


キノピオ(CV:関智一)


キノコ王国に在籍する住民でありますが、そのうちよく喋り、マリオ達と冒険を共にするのは赤い斑点の付いた個体です。劇中では「イケるキノコでした。」「でも僕ら、カワイイんです。(ピーチ城でのクッパ侵攻阻止会議の中でのセリフ)」等の特徴的なセリフが印象的に残りました。


ドンキーコング(CV:武田幸史)


ジャングル王国の王・クランキーコングの息子でありコング一族の次期王位継承者とされる彼はキノコ王国を滅亡の危機から救うべくジャングル王国との同盟締結を持ちかけるマリオにタイマン勝負を挑み、負けたドンキーコングは途中からマリオ達と共に冒険の旅に参入します。


本作の立ち位置は「良きマリオのライバル」と言ったところでしょうか。登場シーンでもドンキーコングのテーマが流れます。


クッパ(CV:三宅健太)


マリオ達キノコ王国に仇なす不倶戴天の怨敵にして、永遠の宿敵<ライバル>、そして大魔王。


マリオシリーズで度々ラスボスとしてマリオ達を屠ってきた邪悪の権化のような存在。


しかし部下からの信頼は厚く、時に敵であるマリオとカーレースをしたり…と言う憎めない悪役像がゲームでは描かれましたが今作では徹頭徹尾キノコ王国と相容れない邪悪として顕現しています。


劇中ではキノピオ評で「最低、最悪の野郎」と言われている、ルイージの迷い込んだ魔界・ダークランドの主であり多くのカメ族軍団を率いてキノコ王国の女王・ピーチ姫との結婚とキノコ王国の支配の野望を抱き進軍します。


慈悲無き悪役ではあるものの、マリオオデッセイで成就出来なかった「ピーチ姫との結婚」を再び成し遂げようとする「ピーチ姫に対する一途な愛を持つ人類悪」(ここではキノコ王国の住民も人類と定義する)で、ピーチ姫への愛慕を謳うラブソング「Peaches」をピアノで弾き歌ったりします。歌詞は「ピーチピーチピーチピチピチ…」という至ってシンプルなもの…


ADVENT BEAST

1/1


人類悪  来寇



※Fate/Grand Orderにおけるラスボス格の敵「ビースト」と対面する時のカットインのオマージュです。


作中でのクッパの悪行は「悪役」と呼ばれるに相応しい邪悪さをさらけ出しています。以下


・最序盤にペンギンらが住まう氷の王国に侵攻し、ペンギンの王に「扉を開けるか"死"にたいか」と迫り、氷の王国を攻め滅ぼしスターを獲得

・捕囚したルイージを尋問した挙句、彼のヒゲを爪で一部を引っ張りちぎる

・自分の持ち出したピーチ姫との結婚式を拒否されたら…と反発した部下のノコノコを火炎放射ブレスで焼き殺しカロンにする

・檻で捕囚したペンギン国王・ルイージ・クランキーコング等をピーチ姫との結婚式の披露宴として、眼下の溶岩で火葬しようとする(ピーチ姫達によって未遂に終わる)

・ピーチ姫に結婚を拒否された途端にブチ切れし、その憤怒を現実世界での最終決戦でマリオとルイージに対し火炎放射


以上の悪行をもって彼のクラスは決定された。

大魔王なぞ偽りの称号。

其は人類を初めとした様々な種族が築き上げた国を支配せんとする、人類史を大切にする大災害。

その名をクッパ

異世界・キノコ王国に君臨する人類悪のひとつで、「支配」の理を持つ獣である(?)…(Fateのビースト解説のオマージュ)


キノコ王国の"サタン"の如き大魔王の末路は、兄弟愛を築き上げたマリオとルイージ、彼らが冒険の過程で出会ったピーチ姫達によってペンギン王国から奪ったスターを奪い返され惨めなまでに敗北。ピーチ姫にマメキノコを食わされ瓶詰めにされるという屈辱的な最期を迎えました。


それとは別に貴方、ラスボスを務めすぎなのでそろそろラスボスの座から引きずり下ろします。クッパに次はない!


・その他のキャラクターについて


・カメック

クッパに従える魔法使いのノコノコですが、大魔王であるクッパに対して「陛下」と呼んでおり、そこでアニメカービィのデデデ大王と秘書エスカルゴンを彷彿とさせました。


ルマリー ~ニヒリズムを謳う虚なる星の子~



宇宙の至るところにいる星の子「チコ」の一人で、何故かは知りませんが長い間(いつからだ?)、クッパ達の手によって収監され続けていたのがこのルマリーです。

登場作のスーパーマリオギャラクシーでは「よろずやチコ」としてプレイヤーに1upキノコなどのアイテムの売り子を担っていました。


この文面だけみるとただの囚人に見えますが、実はとんでもない価値観を持っているキャラクターです。


中盤でルイージやクランキーコングが投獄されたシーンでは彼に対して「新鮮な肉が来たねぇ」と言いかけます。


ルイージは彼に檻から抜け出す方法を尋ねると「逃げ道はあるよ 唯一の希望、それは""だよ」とデタラメな答えを投げかける。更には「牢獄も、人生も 出ること出来ない 檻な~の~さ~」ニヒリスト(虚無主義)道を突き進んでいます。


終いにはエンディングが始まる前の暗黒画面に現れ「映画が終わった以上、残されたのは自分たちと "無限の空虚"だよ」と言う意味深なメタ発言をした後にサックスを吹き奏でます。


ポップなマリオの世界観からしても、このルマリー異質な存在ですが、何故このようなキャラクターになったのでしょうか。


原作のマリオギャラクシーでは1upキノコ(残業増加アイテム)を売っている以上、死生観がかなり特殊な考えになっているのでしょう。1upキノコを売る=追加の命を売っている と言う、マリオを始めとしたアクションゲーム等に用いられる残機無限に稼げるゲームの世界観の裏を突いたようなキャラクターになっています。なので「死は助かるための救済」等と命を軽くあしらう発言が出来てしまうのでしょう。


公式のブックレットでは「ネガティブな事ばかり言うため他の囚人から嫌われている」とオブラートに包まれていますが…


(ちなみに作中で"死"というキーワードは何回か出ており、1回目はクッパのペンギン王国侵攻時の城門前にて「開けるか、死ぬかだ」、2回目はルマリーの「唯一の希望、それは死だよ」3回目はレインボーロードでトゲゾー甲羅の攻撃を喰らいコース毎落とされるマリオとドンキーコングを見たキノピオの「死ぬには可愛すぎます」など。他に"死"と言っているシーンがあったら教えてください。)


3.総評


結論から言います。この映画を一言で言うと

「ゲームをプレイする様子の追体験が出来る鑑賞型アトラクション」です!


批評家からは「ストーリーが無いに等しく、中身が薄い」と言われていますが、実はこれもマリオの長所と言えるところ。(批評家の意見は引用すると長くなるので割愛します)


理由は至って単純で、マリオが世界的に有名だからです。なので作中でキノコを取ると肉体が成長したりファイアフラワーを取って火の玉が出せるようになる…

そういった予備知識が少しでも備わっている人が見る事を前提にした映画です。


作中にも沢山のイースターエッグ(隠されたお遊び心によるアイテム等)が80個程度登場しており、その隠し要素を鑑賞中にどれだけ探せるか?という楽しみ方も今作ならでは。


スタッフロール非常に長く、失敗作に終わった1993年に公開された黒歴史映画・魔界帝国の女神のリメイクをしようとこの映画は2013年から製作され、400名以上?の方々が映画製作に携わった事が伺えます。


岩田聡さん…貴方は伝説の人でした…


そして宮本茂さん。マリオという文明を生み出してくれてありがとうございます。


GWも残り僅かですが、この感想を参考に劇場へ足を運んで、このマリオ映画を見てくださると幸いです!


ちなみに特典は4種類のキャラクターシールと4種類のハテナブックという映画のブックレットになっており、それぞれがペアになって入っています。種類はマリオルイージピーチクッパまた、ブックレットの種類もそれぞれ違います。


私は上画像の通り、マリオが当たりました。


・与太話(スルーして構いません)


TOHOシネマズ日比谷でこのマリオ映画を見た理由ですが、それは映画鑑賞後新橋駅東口のアートウォールを見に行きたかったからです。



このアメコミ風に描かれた歴代東海道線の車両達よ!!


効果音の描き方も中々にエキセントリックで斬新な描き方でした。