午前4時の潜熱
夜の住宅街には静かな空気が凪いでいる
しんとした夜の空気は
熱気を帯びた昼間のそれとは違って
もっと異質で 非日常的な雰囲気が漂う
早起きと言うには早すぎる4時過ぎ
最近 この中途半端な時間に
目覚めてしまうことがある
オレンジに霞む街路灯
僅かに灯りのともる窓辺や
濃紺に浮かぶ月
それらの
いつもと変わらない景色を眺めながら
古ぼけた記憶のひきだしを開けてみる
そこには不鮮明な一枚の写真が入っていて
引き出しを開ける度にセピア色に変わっていく
少しずつ 抹消されていく記憶の断片たち
削除ボタンを押したのは ...
何年前だったんだろぅ?
写真の隅に うっすらと見える後姿 ...
静かに消えてゆく あの日の記憶を見送りながら
いま 朝陽が昇る
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