会社法その②
会社法、その②でありマス(-^□^-)
◆ 法人資格否定の法理
友達に借金があるものが、財産の強制執行を避けるために、全財産を出資して会社を設立するなどした場合など、違法な目的達成のためや、法人格が形骸化している場合に、会社に法人格を認めていいのだろうか。
そもそも法人格の付与というのは、社会的に実際に存在する団体に対して、その価値を評価してなされる立法政策である。
だとすれば、この立法の目的を超えて法人格が不法に利用されている場合、つまり法人格が法の適用を回避するために濫用されている場合、法人格が形骸化している場合には、その限度で法人格を否定することが、民法1条3項の趣旨からして妥当であるとするのが、<判例>の立場である。
では、山形が所有する建物を借りた太田が、その一階で電気販売店を営み、二階に住んでいたという事案において、その電気販売店が実質的には太田の個人企業であり、税金対策上会社形態にしたにすぎない場合、山形が太田に建物の明け渡し請求をして和解が成立したが、その後太田が、会社の使用している部分は明け渡さないといった場合、どうなるのだろうか。
<判例>は、会社とその背後の社員が実質的に同一であり、その取引が会社としてなされたのか個人としてなされたのか判別がつかないような場合には、会社名義でなされた取引であっても個人の行為であるとみとめるし、また個人名義でなされた行為であっても、会社法504条に基づいて、直ちに相手方はその行為を会社の行為であるとすることができると判示した。
つまり、法人格というものを濫用しているといえるためには、会社の背後にあって支配するものが、違法または不当な目的のために会社の法人格を利用しているといえるような状態がなくてはならない。
では、倒産の危機に瀕した会社が、強制執行を免除され、財産を隠匿するために商号を変更し、旧会社との間に同一商号の新会社に財産を移転して、あいかわらず同一の営業を継続したため、債権者が新会社に対して履行の請求をした事案について、<判例>はどのように判断したのだろうか?
<判例>は、新会社の設立は、旧会社の債務を免脱する目的で設立されているので、相手方は新しい会社でも旧い会社のいずれにも責任追及ができるとした。
◆ 会社の区分
大会社とは資本金が5億円以上か、もしくは採集事業年度の貸借対照表に負債額が200億以上である会社のことである。
そして、公開会社とは、発行する全部または一部の株式の譲渡について、株式会社の承認がいらないと定款に定めた会社である。
また親会社とは、株式会社を子会社とする会社のことであり、またその会社の経営を支配する法人として法務省令で定めるものである。そして、子会社とは、親会社に議決権の過半数を握られている会社であり、またその会社の経営を支配されている法人として法務省令で定めるものである。
◆ 名板貸人の責任
名板貸人の責任として、交通事故などの、名板借人の事実的な不法行為によって生じた債務は含まれないと、<判例>はいう。なぜなら、会社法9条の趣旨は、営業主らしい外観を信頼した第三者を保護することで、取引の安全を確保するというものだからである。
そうだとすれば、「当該取引によって生じた債務」とは、名板借人がその取引をしたことによって負担をした債務であると考えられる。それならば、詐欺などの取引上の不法行為によって負担した債務はそれに含まれるにしても、事実的な不法行為によって生じた債務は、名板貸人の責任には含まれないと考えるべきだ、ということである。
また、第三者の保護要件として、名板貸人と名板借人の営業が同種であることを要するか。判例では、第三者が事業主体を誤認するおそれが十分に認められる特段の事情があればよいとした。
◆ 株式とは何か?
株式とは、均一に細分化された割合単位をとった株式会社の社員の地位のことである。
しかしこの点、合名、合資会社においては、社員の持つ会社の地位は常にひとつであって、その大きさが社員の出資の額によって異なる。
◆ 間接有限責任について
株主は会社の債権者に対して責任を負担せず、会社に対して出資義務を負うにとどまっている。しかもその責任は、各株主の有する株式の引き受け価格が限度となっている。それによって、会社への参加を簡単にして、多数の資本を合体させることによって大規模経営が可能となる。
◆ 資本金とは何か?
資本金とは、会社の債権者を保護するために、会社財産を確保する基準となる額面のことである。会社にとっては、会社の財産のみが会社の財産的基礎となり、会社の債権者の担保となる。
そして、授権資本制度というものがあるが、これは将来会社が発行する予定の株式数を定款で定めておいて、その授権の範囲内で、会社が取締役会などの決議で株式を発行することを認める制度である。これは、いちいち株主総会の決議をまつことのまどろっこしさを省くための制度である。
また授権株式数には制限があり、まず公開会社の設立には、授権株式数の4分の1以上の株式を発行しなければならない。そして、公開会社が定款を変更することで、授権株式数を増加するためには、発行済みの株式の4倍までしか増加できないとする。
この制限には、無限に新株を発行することによって、既存の株主が被る持分比率の低下を防ぐという意味がある。
◆ 資本に関する原則
資本に関する原則としては、資本金額に相当する財産が現実に会社に拠出されなくてはならないとする資本充実の原則、また現実に会社に保有されなくてはならないとする、資本充実の原則などがある。また、いったん確定された資本金の額は任意に減少することはできないとする資本不変の原則がある。そして、資本確定の原則というのは、設立や資本金の増加には、定款で決めた資本金の額や増加資本の金額にあたる株式が全て引き受けられていなければならないとするものである。
◆ 定款における変態設立事項について
変態設立事項としては、金銭以外の財産をもってする出資である現物出資などがある。現物出資は、会社の設立時において発起人のみができる。なぜこれを定款に記載しないといけないかというと、現物出資を無制限に認めると、目的物が過大評価されることによって会社の財産的基礎がよくわからなくなってしまうからである。
また、財産引き受けもその事項に含まれる。財産引き受けとは、例えば会社が設立されるのを条件に、後々原材料を誰かからもらうことを約束するといった契約である。これも、これによって目的物が過大評価されてしまうおそれがあるから、わざわざ定款に定めておかなくてはならないのである。
他には、発起人が出した設立費用などがある。これは、本来設立後の会社が負担すべきものであるため、その額をはっきりさせておかないと、後々会社の財産的な基礎が害されるおそれがあるためである。設立にあたっての借入金などもそれにあたる。
◆ 会社設立の際の預けあいについて
預けあいとは、発起人が払込取扱銀行からお金を借りて、これを設立中の会社の預金として株式の払い込みにあてるが、そのお金を返済するまではその預金を引き出さないことを約束することである。これは仮装払込として、払込の効力は認められない。
同じようなものとして、見せ金と呼ばれるものがある。これは、発起人が払込取扱銀行以外のものから金銭を借り入れて株式の払い込みにあてて、会社が設立したあとにはれてそのお金を引き出して借りた人に返すものである。
<判例>は、見せ金は、実質的には会社の資金として運用されていないとして、見せ金による払込の効力を否定した。
見せ金をすると、963条1項によって、会社財産を危うくする罪に処されることとなる。
◆ 設立中の会社
設立中に発起人のした法律行為の効果は、成立後の会社に帰属するのか?
設立中の会社は権利能力なき社団とされているが、設立中の会社と成立後の会社は実質的に同一のものであるといえるため、会社の成立前においても発起人の法律行為の効果は、実質的には設立中の会社に帰属しているため、会社の成立と共に形式的にも当然に会社に帰属するものと考えることができる。
◆ 設立段階の発起人の行為は、どこまで会社に帰属するのか?
設立中の会社の実質的な権利能力の範囲は、設立中の会社は単に会社の設立のみを目的にしているのではなく、会社として成立したあとに営業行為を行う準備をも目的としている。したがって、設立中の会社の実質的な権利能力の範囲は、営業行為には及ばないが、開業準備行為には及ぶとすべきだ。
また発起人の権限の範囲として、<判例>は、会社の設立事態に必要な行為のほかは、たとえ開業行為といえども認められないが、ただし財産引き受けのみは例外として許されるとしている。
◆ 会社が設立したあとの追認について
財産引き受けなど、発起人が定款にない権限外の行為をしたとき、創立総会にて変態設立事項に関する定めを追加して、発起人の効果を会社に帰属させることができるのだろうか?
そもそも変態設立事項に関する規制は、会社の財産的基礎が害されるのを防止する目的で作られている。
だとすれば、創立総会での定款の変更というのも、原始定款が不当な場合に、これを縮小、削除するためにのみ行使されるとしないと、仮に追加、拡張が行われるとすれば、検査役の調査が及ばないことにまで創立総会に権限を与えてしまう。
したがって、変態設立事項に関する定めを追加したり拡張したりして、原始定款に記載のない変態設立事項の効力を認めることはできないと考える。
では会社が成立したあとに、会社が追認することで会社に発起人の行為を帰属させることはできないのだろうか?
判例は、会社の追認はできないとしている。なぜなら28条2項は、定款に記載のない財産引き受けは「その効力を生じない」としており、両当事者がその無効を主張できるからである。
そうなると、発起人の責任はどうなるだろうか?
判例は、民法117条を類推適用して発起人の責任を認めるのが判例である。そして、117条の「相手に過失がある場合」だが 、相手が「会社の成立を条件として」契約をしたならば、相手はまだ会社が成立していないことを知っていたはずなので、発起人の無権代理人としての責任はなくなると考える。
◆ 設立費用は誰が払う?
設立費用は本来設立後の会社が負担すべきだが、会社の財産的基礎を安定させるために、それは変態設立事項となっている。よって発起人がすでに設立費用を払った場合、その範囲で会社に求償できるが、では会社が成立した後に、未だに設立費用の債務が履行されていないとき、その債務は誰が払うのだろうか?
<判例>は、定款などの法定の要件を満たした額の範囲で会社に帰属するとし、それを越える部分については発起人が責任を負うとしている。
◆ 設立に関する責任
発起人が任務を懈怠したときは、発起人は会社に対して連帯して損害賠償責任を負う。
また、現物出資に不足分があった場合、発起人は同様に、会社に対して連帯して債務を負う。
ただし前者は、懈怠がなかったことを証明できれば責任を負わないし、現物出資に関しても、検査役の調査を受けていた場合は責任を負わないとする。
◆ 設立無効
設立無効の原因として、客観的無効原因は多岐にわたっている。
では、「設立に際して出資される財産の価格またはその最低額」が満たされないことは、設立の無効原因であるが、発起人が引き受け払込を行うことによって、設立無効が回避できるのだろうか。
この点、引き受けは払込がないことが設立無効の原因となるのは、会社の財産を確保をすることが目的であるので、発起人が現実に補填をおこなったときには、設立無効は回避されると考えるのが相当であろう。
では、主観的な無効原因はどうだろうか?
この点、設立自体は人的理由によって影響を受けないはずであり、主観的無効原因というのはない。なぜなら、株式会社においては株主の個性は重視されていないからである。
ただし、持分会社の場合は人的会社なので別である。
この場合、個々の社員の設立行為の取消が常に会社の設立自体の取り消しの原因となる。
また、設立無効の訴えの効果は対世効といい、第三者にも及び、さらにその効果は将来効である。