会社法その① | 制限速度20~30km/h

会社法その①

今日は会社法について、その基礎を勉強していきましょうσ(^_^;)



◆ 法源の適用順位


定款規定>銀行法など特別法>社債など特別法>会社法>商慣習法>民法



◆ 会社の種類


株式会社:有限責任社員のみで構成。株主の責任が軽いぶん、株主は業務の執行には参加しない。所有と経営が分離されているのである。株主総会で基本事項、業務執行の意思決定は取締役会、実際の執行権は代表取締役の仕事である。


合名会社:無限責任社員のみで構成。社員は会社債権者に無限責任をおうが、会社の業務を執行し、会社を代表する権利義務をもつので、社員の個性が重視される。つまり、所有と経営が一致しているのである。


合資会社:無限責任社員と有限責任社員で構成。有限責任とは、自らが出資した限度で責任を負うものである。


合同会社:会社の内部関係では、構成員は自由な合意に基づく組合的規制に服するが、対外的には構成員は出資を限度とする有限責任を負う形態。


それらすべてにある特徴→①営利性、②社団性、③法人性がみられる。



◆ ②の社団性


形式的な区別によれば、社団とは組合に対する概念であり、構成員が団体との社員関係によって、間接的に社員同士が結合する団体のことである。それに対して組合とは、構成員がお互いの契約関係によって直接に結合する団体である点で区別できる。


それに対して実質的な区別としては、組合は少数の構成員で成立しておりそれらの個性が濃厚であって、重要事項を決めるにあたって構成員全員の一致が必要であるのに対して、社団は多数の構成員から成立しそれらの個性が希薄であって、重要事項は構成員の多数決で決定することのできるような団体である。


では、社員が一人である一人会社は成立するのだろうか。


合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の両方をそなえていなければならないので、576条2項によって、一人会社は認めることができない。


しかし株式会社、合名会社、合同会社については、①社員が新たに入ってきたり、自分の持分を誰かに分けてあげたりすることによって、いつでも社員が増える余地があること。そして、②これを社員一人の意思で行うことができることから、潜在的な社団性が認められる。


したがって、株式会社、合名会社、合同会社については、一人会社も認められると考える。


では、一人会社が成立してしまうとすると、株主総会招集手続きはどうなるのだろうか。


この点、株主総会の招集に298条以下の手続きが要求される理由は、株主の総会への出席の機会を確保して、その準備期間を与えるためであると考えられる。


そうすれば、株主全員(一人だが)が総会の開催に応じることによって、その準備期間がいらないといっているのだから、そういう場合にはただちに総会の成立を認めてもいいはずである。


したがって、一人会社の場合には、その一人株式が総会開催を認めれば、招集手続きはいらないと理解する。

では通常、取締役が会社の利益と相反する行為を行うには、株主総会の承認が必要だが、一人会社でも承認が必要なのか。


取締役が利益相反行為をするにあたって、株主総会を開く必要があるとする356条の趣旨は、取締役が会社との利益相反行為をすることによって、自己または第三者の利益をはかって、会社に損害を与えるのを防ぐものである。


そうだとすれば、取締役が一人である会社には、会社と取締役との間には利益の相反が認められないため、株主総会の承認を必要としない。


もっとも、このように考えると会社に対する債権者の権利を害するということもできるが、この点429条は別途に取締役の責任追及を認めているので、問題はない。


<判例>も、会社の一人会社である取締役が、会社に自己所有の土地を売却した場合、両者の間に実質的な利益の相反関係はないので、取締役会の承認は必要ないとしている。


また、会社法107条1項1号は、株式譲渡の自由の原則の例外として、会社の株式を譲渡するには、会社の承認がいるとしているが、一人株主が会社の全部株式を譲渡しようとするときに、定款所定の当該会社の承認がなかった場合、譲渡の効力はどうなるのか。


107条1項1号の趣旨は、会社にとって好ましくない人が株主になることを防止して、それによって他の株主を保護するものである。


だから、一人株主が保有株式を他人に譲渡しても、他に株主はいないのだから、107条1項1号の趣旨が妥当しないことになるため、一人株主による株式の譲渡は有効となる。


<判例>も、定款に株式譲渡制限の定めがある会社において、一人株主が株式を譲渡した場合、取締役会の承認がなくてもその譲渡は有効であるとした。



◆ ③の法人性


会社の受ける制限というのは、例えば会社は自然人ではないことから、生命や身体に関する権利は与えられない。では、会社には27条1項によって、その目的を定款に記載しなければならず、なおかつ911条の3の1項には、それを登記しなければならないとするが、この目的によって会社は権利能力の制限を受けるのだろうか。民法43条は、法人が目的の範囲内で権利を有し義務を負うと書いていることから問題となる。


法が会社に法人格を認めるのは、会社が一定の目的のために事業をおこし、社会的に価値のある機能を果たすためであり、さらに民法43条は法人一般に関する通則である。


だから、会社にも民法43条が類推適用され、会社の権利能力はその目的の範囲に限定されると考える。


もっとも、その範囲をあまりに厳格に目的そのものに限定してしまうと、取引の安全をがいしてしまうため、「目的の範囲内」の行為とは、定款に定められた目的を遂行する上で必要な行為をも含む、とするのが<判例>の立場であり、その基準は客観的、抽象的に行うべきである。