商行為法総則をザクッとまとめてみました。 | 制限速度20~30km/h

商行為法総則をザクッとまとめてみました。

タイトル通りです。いってみようヽ(;´ω`)ノヤルゾー



■ 商法の定める契約概念


507条は、商人である対話者の一方が承諾期間の定めがない申し込みをしたとき、一方が直ちに申し込みに対する承諾をしないと、申し込みの効力は失われるとしている。


また508条は、離れている商人同士の間で、承諾期間の定めのない申し込みがされた場合、申し込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しないときは、申し込みは効力を失うとしている。民法542条は、相当の期間が経過したら申込者が取り消しうるにとどまっており、申し込みの効力を失うとまではいってない。


また509条によれば、商人が平生から取引をなす人からその営業に関する契約の申し込みを受けたときは、すぐに返事を返さなくてはならず、それを怠った場合には申し込みを承諾したものとみなされる。


また510条は、商人がその営業に関する契約の申し込みを受けたときに、申し込みとともに受け取った物品がある場合には、その申し込みを拒絶したときであっても、申し込み者の費用を使ってその物品を保管しなくてはならないことを定めている。ただ、その物品の価格が保管費用にたらないときや、保管によって商人が損害をうけるときはその限りではないとする。



■ 債務に関して


511条は、数人の者がそのうちの一人または皆のためにする商行為によって債務を負担する場合は、その債務は連帯債務となることを定めている。これは連帯責任をとらせることで、その者たち相互の信用を強化するねらいがある。この点、民法427条では、別段の意思表示がない限り分割債務となるとしている。


また同条2項は、商法における「保証人」とは連帯保証人であることを書いている。


また515条は、商行為によって生まれた債権を担保するための質権については、流質契約をしてもいいと欠いてある。これは、民法では禁じられている。


また521条は商人の留置権について定めているが、<判例>によれば、不動産については留置権を認めないとしている。


また516条は、どこそこで何を引き渡すといった債務の履行の場所がお互いに決まらない場合、特定物の引渡は行為の当時その物が存在した場所でなすことを規定しており、そのほかの履行は営業所に持参してなすことを要求している。


そして、560条は取引時間について、慣習や法令の定めがあれば、その取引時間内に限り、また特約があればその時間にするものとしている。<判例>はしかし、取引の時間外になされた弁済の提供であっても、債権者が任意で弁済を受け、それが弁済期にあった場合だったら、債務者は遅滞の責任を負わないとしている。
また522条は、商事消滅時効を定めている。5年である。



◆ 代理および委任に関して


504条によれば、商行為の代理は、代理人が本人のためにすることを示さない場合においても、その行為は本人に対して効力を生じるとした。取引の迅速性が要請されるためである。


ただし相手方が本人のためにすることを知らなかった場合は、相手方が不足の損害を被るかもしれないため、同条但し書きは、本人のみならず代理人に対しても履行の請求をすることができるとする。


<判例>ではこの点、相手方は本人、あるいは代理人との法律関係を択一的に主張できるものとしている。


また他の<判例>では、本人のためにすることについて、相手方は善意無過失であることを要求しているが、これは過失の者まで保護する必要はないだろうという考えに基づいている。


また相手方に、本人と代理人との法律関係を択一的に主張する権利をあたえると、例えば本人が相手方に債務の履行を請求し、その後相手方が択一的選択に基づいて代理人に債務の履行をしようとした場合、代理人の債権の消滅時効期間が経過していたということがありえるので、<判例>は、本人の請求は、訴訟が続いている間、代理人の債権について催告に準じた時効中断の効力をもつとする。


また、506条によれば、代理権は本人の死亡によって消滅せず、代理人は当然に相続人の代理人となるとする。
そして505条によれば、商行為の受任者は、委任の本旨にずれない限り、委任されていない行為をもすることができるとしている。



◆ 営利が重視された規定について


512条によれば、商人がその営業の範囲内で他人のためにある行為をしたときは、それなりの報酬を請求することができるとしている。


そして113条は、商人間で金銭の消費貸借をしたときは、貸主は法定利息を請求できるとしている。また514条によれば、商事法定利率は、年6分である。ちなみに、民法404条では、法定利率は年5分である。



◆ 商事売買について


524条1項によれば、商人間の売買において、買主が目的物を受け取ることを拒み、または受け取ることができない場合、売主は目的物を供託することができるとする。


また同条同項は、それでも買主が目的物を受け取ることを拒み続けたり、それができなかったりする場合は、売主は相当な期間を定めて催告した後、目的物を競売することができるとする。そして同条3項は、そうして得た競売金を供託しなければならないとするが、供託費用にそれをあてることができるとしている。



◆ 確定期売買


一定の日時や期間内に履行しなければ、契約の目的を達成できないような売買、すなわち確定期売買について、当事者の一方が履行をせずにその期間がすぎてしまった場合、相手は直ちにその履行を請求しない限り、その契約は解除されたことになるとするのが525条である。


民法542条の定期行為では、相手方が催告なしに解除できるのみである。



◆ 買主の義務


商人間売買において、買主は目的物を受け取ると、すぐにこれを検査しなければならないと526条は定めている。そして、6ヶ月以内にその目的物に瑕疵や数量不足をみつけた場合は、買主は直ちに売主に対してその通知をしなくてはならないとする。それをしなかった場合は、それによる契約の解除や代金減額請求、損害賠償請求ができなくなるとする。


そして、買主がその通知をした場合、527条によれば、買主は売主の指示があるまで目的物の保管や供託をしておかなければならないとする。


そして、目的物に滅失や損傷のおそれがある場合には、裁判所の許可を得て競売して、その対価を保管または供託することを527条1項但し書きで定めている。


ただしこれらの526条、527条の規定は、売主が悪意の場合は、買主は保管・供託・競売義務を負わないとしている。



◆ 交互計算


交互計算とは、契約で生じた債権債務を、期末に一度に一括して決済する制度であると529条が定めている。



◆ 匿名組合


匿名組合とは、当事者の一方が相手方の営業のために出資をなし、その営業から生じる利益を分配すべきことを約する契約であると535条は定めている。


536条2項によれば、その出資は財産出資でなければならず、同条1項で、この出資は営業者の財産に帰属するとする。匿名組合においては、営業者のみがその事業運営にあたる。


また、536条4項は、匿名者は営業者の行為について直接の権利義務を有しない。ただし、商号の使用を許諾したときは、匿名組合員も連帯して責任を負うとするのが527条である。


そして匿名組合契約が終わるときは、540条、541条に定めている。


また、匿名組合契約が終わったら、営業者は匿名組合員にその出資の価格を返還しなければならないとするのが542条であるが、出資が損失によって減少したときは、その差額を返還すれば十分であるとする。