商業使用人について | 制限速度20~30km/h

商業使用人について

商業使用人と、商業帳簿についてザッとみていこう。今日はたくさん勉強するよ☆


■ 商業帳簿


商業帳簿とは、商人が営業をする上で財産や損益の状態を明らかにするために、商法上の義務として作らなくてはならない帳簿のことをいう。


①会計帳簿
会計帳簿とは、商人が営業をする上で財産やその評価額ならびに、取引やそのほか営業上の財産に影響を及ぼす事項を継続的かつ組織的に記録する帳簿のことである。
②賃借対照表
賃借対照表とは、一定の時点における、商人の財政状況を明らかにする一覧の帳簿である。
③損益計算書
④付属明細書



■ 商業使用人


◆ 支配人について


支配人とは何か?


支配人とは、営業主に代わってその営業に関する一切の、(裁判上または裁判外の行為をなす)包括代理権を有する商業使用人のことをいう。包括的代理権とは、商人の営業に関して、その種類や事項を限定せずに包括的に授与された代理権であると考える。


したがって、営業に関して種類や事項が制限された代理権しかもっていない者は支配人とはいえず、24条の表権支配人の問題として処理する。


また営業に関して種類や事項が制限されず、量的または手続き的な制限が課されているにすぎない場合には、そのものは支配人となり、21条3項によって、善意の第三者には対抗できない。


また、支配人は営業主とは雇傭関係にたつ。


20条によって、支配人は営業主である商人かその代理人が選任し、さらに営業主は22条により、それについて登記をしなければならないとする。


その支配権については、営業に関する裁判外の行為についての代理権を持ち、そしてそれが営業に関する行為かどうかは、行為の客観的な性質からみて営業に関するものかを決める。


そして、支配人の代理権に制限を加えても、その制限を加えたことを理由にして第三者に対抗することはできないと21条3項は定めているため、支配人は営業に関する包括的で画一的な支配権を持っているということになる。


また23条1項は、支配人は自ら営業をすることはできず、また他の商人や会社の使用人、取締役や執行役などになってはならないとして、支配人に精力分散防止義務を課している。なぜなら支配人は営業主との間に高い信頼関係があるため、営業主の営業のために全力を尽くさなくてはならないためである。


そして同条同項は、支配人は営業主の許可がないと、営業主の営業の部類に属する取引をすることはできないとして、競業防止義務を支配人に課している。もし支配人が競業防止義務に違反して競業取引を行った場合、同条2項により営業主は支配人に対して損害賠償を請求できるほか、支配人を解任することができる。



◆ 24条表権支配人とは?


支配人とは、その営業に関して包括的支配権を有するものであるため、たとえ支店長などの名称が使われていても、その権利を有していなかれば支配人とはいえない。


しかしそれでは、そのような外観を信頼したものは不利な立場に立たされるため、「営業の主任者であることを示す名称」をつかった使用人は、支配人と同じ権限を有するものとみるのが、24条表見代理人の制度趣旨である。その要件は、


①外観の存在
②営業主の帰責性
③相手方の信頼
④営業所の実質を備えること


であるが、24条は「営業所」の営業主任者であることを示す名称、例えば支店長のような名称をつけた使用人は、その営業所の支配人と同一の権限を有するとしているが、ここにいう「営業所」は、商法上の営業所としての実質を備えていなければならないのだろうか。


24条の趣旨は、本店や支店には営業の主任者というものが必要であり、そうした営業の主任者としての外観をもっている者との取引の安全を確保するものである。


そうすると、支店という名称がつけられていても、営業所としての実質を備えていなければ、そこに営業の主任者がいるとは限らないことになってしまう。


したがって、「営業所」とは、商法上の営業所としての実質を備えているもののみであると考える。この点、<判例>も同趣旨である。



では、営業所としての実質の判断基準はいかなるものであろうか。
営業所は、営業活動を統括するために一定の人的・物的な施設をそなえた場所であると理解する。具体的には、


①従業員がいること
②長が部下への指揮権をもつこと
③帳簿が本店と別であること
④営業所名義の銀行口座があること
…などを、総合的に判断すればよい。



◆ その他の商業使用人


支配人以外に、使用人にはどのようなものがあるのか?


25条は、営業に関してある特別な委任を受けた使用人は、一切の裁判外の行為をなす権限を有するとする。また同条2項で、これに制限を加えても善意の第三者には対抗できないとする。


また26条は、物品販売店の使用人は、その店舗にある物品の販売に関する権限を有するとしている。



■ 代理商とは?


代理商とは、商業使用人ではないが、一定の商人のために営業の部類に属する取引の代理を行うものであると27条は規定する。


その特徴は、商業使用人とは違って独立の商人であることと、特定の承認のためにその営業を補助するのであって、不特定多数の商人の営業を補助する問屋さんとか仲立とは違う点である。


代理商の権利義務としては、代理商は自分の行為を本人に通知しなくてはならないとする通知義務が27条で定められており、28条1項は、競業防止義務を定めている。そして31条は、代理によって得た債権を相手が弁済してくれないとき、代理商はその弁済を受けるまで本人のために占有するもの、または有価証券を留置することができる留置権をもっている。