贈与契約と賃貸借契約 | 制限速度20~30km/h

贈与契約と賃貸借契約

贈与契約と、賃貸借契約についてやります(;´Д`)ノ


■ 贈与契約について
贈与契約は549条に規定のある諾性契約であるが、550条にあるように、書面によらない贈与は拘束力が弱いとされ、未履行の部分については当事者が撤回することができる。
551条によれば、贈与者は受贈者に対して担保責任を負わないが、贈与者がもともと贈与目的物の瑕疵や不存在を知っていながら受贈者に告げなかった場合には、担保責任を負うとする。また同条2項は、その贈与に何らかの負担がついていた場合、贈与者はその負担の限度において担保責任を負うとしている。
負担付贈与とは、受贈者が贈与者に対して、一定の義務を負う贈与契約のことである。これについては553条によれば、双務契約に関する規定が準用されるとする。例えば、家をあげるかわりに扶養してねという場合などがそれにあたり、受贈者がその扶養義務を怠った場合には、受贈者は541条の履行遅滞の規定を用いて、贈与契約を解除することができるとすうのが判例である。


■ 賃貸借契約について
規定は601条である。その契約の効果としては、目的物の所有権は賃貸人から賃借人へは移転しない。また目的物が不動産である場合、賃貸権については騰貴することができるが、特約がない限り賃貸人は登記に協力しなければならないといった義務を負わないとするのが判例である。
また604条によって、賃貸借の期間を定めることができるが、限界は20年である。その期間を定めない場合は、617条によれば、当事者の一方からいつでも解約することができ、その申し立てから解約までの期間は、動産なら1日、建物の賃貸借なら3ヶ月、土地の賃貸借については1年とする。期間の更新がない場合でも、賃借人が期間満了後にずっと目的物を使用し続け、賃貸人もそれについて何も異議をさしはさまない場合は、更新が推定されると619条1項は規定する。また559条によって売買契約の規定は有償契約に準用されるため、559条による570条の準用によって、賃貸人は賃借人に対して瑕疵担保責任を負う。そして、559条を561条に準用することで、他人の物を貸し付けた賃貸人は、賃借人に対して担保責任を負うとする。また、606条1項は、賃貸人は目的物の修繕義務を負うとする。そして608条は、賃借人が、目的物の改良のために支出される有益費や、目的物を維持するための必要費を拠出した場合には、賃貸人はその償還義務を負うとする。必要費については支出後ただちに償還しなくてはならず、有益費については契約終了後に直ちに償還しなくてはならない。


■ 賃貸借契約の続き
614条は、賃借人が目的物を使用・収益するにあたっての賃料を支払う時期に関する任意規定であり、これは当事者の特約によって変更可能である。
そして賃貸借契約が終わると、賃借人は616条により598条の規定を準用することによって、目的物の返還義務および原状回復義務を負う。賃借人が目的物に付着させたもので分離が可能であっても、それによる経済的損失が大きい場合は、目的物の所有者のものとなるが、一定の場合には賃借人は費用の償還を賃貸人に請求することができるとするのが、608条である。これにたいして、建物は土地に附合しないので、土地の賃貸借が終了すれば賃借人は自分の所有物である建物を片付け、土地を明け渡さなくてはならない。
そして、目的物の所有者である賃貸人は、賃借人の承諾なしにもおくて器物を第三者に譲渡することができる。賃貸人が第三者に目的物を譲渡した場合、第三者である新しい所有者は賃借人の目的物を使用・収益させる義務を負わないが、これはなぜなら賃貸人の地位は移転しないからである。新しい所有者は、目的物を占有する賃借人に対して目的物の明け渡しを請求することができるが、判例によれば、明け渡しの請求が権利の濫用となる場合がある。
また、目的物が不動産である場合、賃借権が登記されると、そのあとに目的物について新たに所有権を取得した所有者に対して賃借人は賃借権を対抗することができることについて、605条は定めている。したがって、新しい所有者が賃貸人となるわけだが、新しい所有者が賃貸人としての地位を賃借人に対抗するためには、所有権の移転登記を備える必要がある。判例は、賃借人は177条所定の第三者にあたるとしているのである。
しかしながら、賃貸人は賃借権の登記に協力する義務を負わないため、賃借人が協力してくれない限り賃借人は賃借権の登記を備えることができない。このような状況によって賃借人が土地を明け渡さなくてはならなくなるような売買の様態を、俗に地震売買とよぶ。
次に、賃貸借契約を解除するにはどうすればいいか。その要件としては、賃貸人または賃借人に債務不履行があればよい。判例は、信頼関係破壊の理論を用いており、例えば土地の賃貸借契約において、賃借人が目的物である土地にある建物に無断で増改築をすることを禁止する特約があるにもかかわらず増改築を行った事案について、増改築が賃借人の土地の通常の使用上相当であるという理由で賃借人に対する信頼関係を破壊するとまではいえないときは、賃貸人はその特約によって解除権を行使することは信義誠実の原則上、許されないとしている。ちなみに自分の行為が信頼関係を破壊するほどのものではないのだということを証明するのは、賃借人の責任である。
また、賃借人が無断転貸や賃借権の譲渡を勝手にやった場合612条2項は、賃借人による契約解除が可能であるとする。ただし判例は、そうした勝手な無断転貸をやった場合でも、賃貸人に対する背信的行為であるというほどではない事情があるならば、賃貸人による解除権は発生しないとした。また、当事者が互いに合意している場合は、賃貸借契約を終了させることができる。
そして、賃貸借契約の解除の効果は将来効であり、遡及効ではないとするのが620条である。なぜなら賃貸借契約は継続的な契約であるためである。そして解除によって、賃借人は解除した後の賃料を払う義務を負わないが、それまでの文の賃料の債務は消滅することはない。そして賃貸人にとっては、既に支払われた解除以前の分の賃料については給付の保持力があるため、お金を返す必要はないとする。ただし同条は、当事者の片方が勘違いしていた場合、相手に損害賠償の請求をすることも可能であるとしている。


■ 賃貸借契約の続き②
賃借人は、賃貸人の承諾がなければ賃借権の譲渡ができないとするのが612条1項である。承諾がないと、譲渡を受けた第三者は賃貸人に対抗することができない。ただし判例は、無断譲渡であっても、賃貸人の解除権が制限される結果、賃貸人が解除できない場合には、承諾があるのと同じであるとする。承諾があれば、第三者が新たな賃借人となる。
転貸においても、賃借権の譲渡とまったく同じであり、これは612条において記載されている。転貸の承諾があれば、もともとの賃借人は、賃借人である立場と賃貸人である立場を併存して負うこととなる。
また判例は、Aの所有物に関してAB間で賃貸借契約がなされ、その後BC間で転貸がなされた場合、ABで賃貸借契約が合意解除されても、原則として転貸人であるCには対抗できないとした。これに対し、ABの賃貸借契約がBの債務不履行を理由として543条により解除されてしまった場合、BのCに対する債務も履行不能となり、AはCに目的物の返還請求ができると考えられている。