売買契約① | 制限速度20~30km/h

売買契約①

ここでは売買契約について勉強します。途中で問題をつけましたので、チャレンジしてみてくださいо(ж>▽<)y ☆


■売買契約について
176条によれば、物権の設定や移転は当事者の意思表示、つまり契約によってのみ効力を有する。そして、売買契約が成立したとき、560条により、他人の権利を売買契約の目的物としたとき、売主は所有権などの権利を取得して、買主に移転する義務を負い、これを売主の担保責任という。所有権などの権利の所有者は、勝手に自分の権利を他人に売買の目的物にされたからといって、権利を移転する義務を負わないが、その場合、勝手に他人の権利を売買の目的物にした者は、債務不履行責任として415条を追及されたり、543条の履行不能によって契約を解除されたりしてしまう。
また、561条は、売主が買主に権利を移転することができない場合には、買主は契約の解除をすることができるとする。ただし、買主が売主をさしおいて、直接に所有者から所有権を取得した結果、売主が履行不能になってしまった場合には、買主は解除権をもたない。そして判例は、この561条によって、売主が買主に権利を十分に移転することができない場合に、買主が契約の解除をする場合でも、買主は解除までの間に目的物を使用したことによる利益を売主に返さなくてはならない原状回復義務を負うとするのは、判例の立場である。
そしてまた、561条は、売買契約の当時に、所有権などの権利を売主が持っていないことを知らなかった善意の買主は、売主に対して損害賠償の請求をすることができる。したがって、もともと権利を売主が持っていなかったことを知っていながら売買契約をした悪意の買主については、売主の追奪担保責任、つまり売主が瑕疵なく権利を取得していなかったことに対して買主が売主に対して追及することのできる担保責任を追及できない。しかし判例は、売主に帰責の事由があれば、悪意の買主であっても債務不履行責任として売主に損害賠償請求ができるとした。
そして、562条1項は、売買契約の当時、自分に権利がないことを知らずに買主との間に売買契約を行った善意の売主は、買主に権利を移転することができない場合には、善意の買主に対して信頼利益の分だけ損害賠償をして、契約を解除することができるとする。またこれと同じ条件のもと、善意の売主が悪意の買主に対する場合、同条2項は、単に権利の移転をすることができない旨を売主が買主に通知するだけで、契約が解除できるとする。その場合、売主は既に悪意の買主から給付を受けている場合には、原状回復義務を負うのでお金を買主に返さなくてはならない。
基本的に無権利者からの買主は無権利者なので、他人の所有物を勝手に売買の目的物にした売主と契約をした買主が目的物の権利を取得することはないが、例外として、動産については192条により即時取得が可能であり、また不動産については94条2項を類推適用することによって例外的に買主は所有権を取得する。
では、権利の一部分が他人の権利に属するのに売買契約が行われた場合はどうなるのか。563条1項はその場合、買主が善意であるか悪意であるかに関わらず、不足する部分の割合に応じて売主に代金の減額を請求することができる。また同条2項は、残った部分のみでは買主は満足がいかなかった場合、買主が善意の場合に限って買主は契約の解除をすることができる。そして同条3項は、1項の場合でも2項の場合でも、善意の買主は売主に損害賠償の請求をすることを妨げないとした。
そして564条は、563条に基づいて代金減額請求や契約の解除をする場合、買主が善意の場合は事実を知ってから1年以内、悪意の場合は契約から1年以内に権利を行使しなければならないとする。
また567条は、売買目的物に先取特権や抵当権などがついていた場合、買主はいままでのように悠長に、売主に対し追奪担保責任を追及するのではなく、即座に契約を解除することができるとする。


<問題>A所有の土地についてBを売主とし、Cを買主とする売買契約がBC間で締結された。ABCの法律関係を論じよ。


176条によれば、物権の設定や移転は当事者の意思表示、つまり契約によって効力を有する。当事者の意思表示によって売買契約が有効に成立する場合、555条によって、売主は買主に目的物の引渡義務を負い、他方で買主は代金支払い債務を負う。ここで売主が所有権を取得している場合、売買契約によって買主に所有権が移転するが、560条において、売主が所有権を有しない場合には、売主は所有権を取得して買主に所有権を移転する担保責任を負う。
事案において、BはAから土地の所有権を取得してCに移転する義務を負う。もっともAはBやCに所有権を移転する義務はないため、Aが任意に協力しない限り、BのCに対する義務は履行不能となり、Cは所有権を取得しない。
債務者の責任によって履行不能がおこる場合、543条により債権者は契約の解除を行えるほか、415条によって債権者は債務不履行に基づく損害賠償を請求できる。
したがってBの責任によって履行不能がおこるときには、CはBに損害賠償請求ないしは契約の解除ができ、解除をすることによって代金債務を免れる。
そして、帰責事由がない場合であっても、他人の権利の売主には追奪担保責任が561条によって定められている。
Cはその場合、契約の解除をすることができ、なおかつ売買契約締結時にBが土地の所有権を持っていないことについて善意であったならば、Bに対して損害賠償を請求することができる。
またこれに対し、無権利者からの買主が例外的に所有権を取得する場合がある。不動産について無権利者があたかも所有権者であるかの外観を有し、それについて真の所有者に帰責性があり、さらに第三者がその外観に対して善意で信頼していた場合には、94条2項を類推適用することによって、無権利者からの買主は保護される。
以上の要件を満たしていれば、Cは土地の所有権を取得し、Aは所有権を失うこととなる。なおこの場合、Cは所有権を取得しているのでBの責任を追及することはできないと考えられる。