債務不履行① | 制限速度20~30km/h

債務不履行①

 さて、債権編もいよいよ四回目ですね。ハリキっていきましょう(*^ー^)ノ


 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。


 これは民法415条債務不履行に関する条文です。「やるといったことをやらないこと」、これを法律用語で履行遅滞といいます。つまり債務者が履行遅滞をしたり時、債権者は「コラッ!約束を破ったな!」と損害賠償請求をすることができるというワケですね。


 では、具体的に履行遅滞の要件は何なのでしょうか。それは債務が履行期に履行可能であり、その履行期を過ぎてしまったことに加え、履行遅滞が債務者の責めに帰すべき事由に基づくことです。債務が履行期に履行可能である、という要件は、裏を返せば債務が履行不能であるときは、債務の完全履行請求を債務者に行うことができないので覚えておきましょう。


 また、履行遅滞が債務者の責めに帰すべき事由に基づく、とはどういうことでしょうか。責め、といわれれば、まず債務者の故意・過失のことを思い浮かべることと思いますが、それに加えて「信義則上、それと同視すべき事由」も含まれます。どういうことか、具体的に例を挙げますと、例えば履行補助者の故意・過失です。履行補助者とは、文字通り主債務者の履行を補助する人のことで、ラーメン屋のオヤジが作ったラーメンを、小遣いを貰って近所の八百屋さんに運ぶ小僧のようなものを想像してくれれば良いでしょう。仮に小僧がラーメンの配達中にコケてラーメンの汁が半分になったとして、それは主債務者であるオヤジが責任をとるべきだろ、ということです。「全部、このバイトのガキがやったことなんだ!俺はしらねぇ、悪くねえ!」と言えないワケですね。


 もっと発展したお話をしましょうか。では、そのラーメン屋のオヤジの作った塩ラーメンのなかに、ウンコバエが浮いていた場合はどうなるでしょうか?さっきは小僧の例を挙げましたが、この小僧は法律的に「狭義の履行補助者」といわれます。履行補助者がこの「狭義の履行補助者」にあたる要件は、本人が履行補助者を利用して利益を拡大していることです。ラーメン屋のオヤジは、小僧を使って金を稼ごうとしている。よって、履行補助者を利用して利益を拡大することが許されるのであらば、逆に履行補助者を原因として生じる損失もまた本人が負担するべきというのが通説です。


 では、そのラーメン屋のオヤジの借りている賃貸家屋に一緒に住む家族は?彼らを「利用補助者」といいます。この場合、オヤジの末娘がイタズラでラーメンに鼻くそを混ぜたりなんかすれば、それは契約の付随義務に反するということで、娘の故意・過失は全て本人であるオヤジの責任となります。


 ではでは、復代理人や転借人なんかはどうでしょうか?これらの人を「履行代行者」と呼びます。まずは前提として、民法104条にもあります通り、本人の承諾を得ずに復代理人を選任しようとする任意代理人は、まずその時点で任意代理人自身に過失があるといえます。ということはつまり、任意代理人の責任は本人の責任ということになるワケですが、それでは民法106条における、ちゃんとした法定代理人による復代理人の選任などはどうでしょうか?この場合、法定代理人による選任・監督に過失がない限り法定代理人、ひいては本人が責任を負うことはありません。また、この104条、106条のいずれにも該当しないような事案の場合、例えば請負人などが復代理人を選任しちゃった場合は、履行補助者の故意過失と同視するので覚えておきましょう。


 次に、債務不履行に関する立証責任についてお話をしたいと思います。実際の裁判所での訴訟において、特別事情の予見可能性などの要件事実を誰が証明すべきなのでしょうか?もしかしたら、小僧はコケてラーメンをこぼしたのではなくて、飲酒運転をしている車にはねられてラーメンをこぼしたかもしれないのです。原則としては、その主張によって積極的に利益を受けるほうが責任を負うとされています。従って、債権者が要件事実を証明することが原則となりますが、わかりやすく言えばラーメンを注文する客のほうが債務不履行の立証をしなくちゃならないってことですね。ただしそれに対応する帰責事由については、その否定が債務者に委ねられていることを例外として覚えておきましょう。



 今日は眠いので、ここまでにしておきます\(*`∧´)/

 かなり近い将来、続きを更新したいと思います。