債権の効力 | 制限速度20~30km/h

債権の効力

 債権が物権と異なるところは何でしょうか?それは、他人の行為がなければ権利が実現されないことです。例えば物権では、ひとつの土地を持っている、というだけで、その人は所有権という権利を実現できますが、契約などの債権問題においては、自分ひとりでどうのこうのなるものではありません。それともうひとつ、債権が物権と異なるところとしては、同一の特定人に対する同一の債権の債権の併存が認められるところで、物権においては一物一権主義という原則があったかと思いますが、債権においては二重譲渡という状態も生じせしめることができます。


 まず、債権には二つの効力があります。ひとつは強制履行請求権です。債務者が債権者の目的である行為をしなかった場合、債権者は国の力を借りて履行を強制でき、すみやかに履行がなされない場合には、債権者は債務者に給付を求めることができます。そしてもうひとつが給付保持力。債権者には給付保持力があり、受けた給付を債務者に返還する必要がありません。これは当たり前のように思われるかもしれませんが、不当利得にならないためにそういう風に給付保持力があると言われています。


 参考として、世の中には自然債務というものがあります。自然債務とは、債務者が任意に履行すれば有効な弁済となるけど、債務者が履行をしない時は、債権者側からその履行を裁判所に訴えることはできない債務のことです。つまり、債権者側に強制履行請求権がなくて、給付保持力がある債権のことなんだな。例えば破産の免責を受けた場合なんかだと、債務者はもう自己破産しちゃってるわけだから、お金はかえさなくってもいいわけだけど、実は任意でお金を返してもいいのです。相当、良心的な人だとは思いますが。あたしゃ国の世話になんかなりたかないよ!っていう人なんかがやるんじゃないでしょうか。


 他に、債権の効力としてはどのようなものがあるでしょうか。まずは民法414条の債務不履行責任の追及。次に、債権の履行を確保するための債権者代位権債権者取消権。債権者代位権とは、債権者がその債権を保全するために、債務者が第三者に対して持つ権利を代わって行使する権利のことで、別に間接訴権とも呼ばれています。債権者取消権というのは、債権者が自己の債権の弁済を確保するために、債務者が鯉にした財産減少行為である詐害行為を取り消す権利でして、別に詐害行為取消権や廃罷訴権などと呼ばれています。債権者取消権が行使できるのは、債務者の総財産が総債権額に満たない場合に限られ、かつ債務者、受益者及び転得者が悪意の場合に限られ、その取消の効果は全ての債権者の利益に帰するとされます。転得者が善意の時は、受益者から利益を返還させることを覚えておくといいでしょう。それともうひとつは、おなじみ民法709条、債権侵害に対する不法行為責任の追求です。それに、双務契約であれば解除なんかも、債権の効力として挙げられますね。