所有権②(おわり) | 制限速度20~30km/h

所有権②(おわり)

まずはじめに用語チェーックヽ(`Д´)ノウオオオオ


持分権(もちぶんけん)

=共有関係において、共有物に対しおのおのの共有者が持つ権利のこと。所有権が他の共有者の持分権のために量的に制限された状態であるとされる。質的には完全な所有権であるから、持分権者は単独で保存行為ができ、その持分を自由に譲渡できる。また単独で、共有物又は持分権に対する侵害を排除し、持分の確認を求め、取得時効を中断させることができる。



まずはここからです。例えば☆型の家があったとしますね。5つの頂点それぞれに部屋があって、5人が別々にその部屋を持ってる。5人はそれぞれ自分の部屋に対して権利をもっていますから、自分の部屋は他人に譲渡することが自由にできるってことだ。


256条にはこんな決まりもある。「各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができるけど、5年以内なら分割しない期間制限を設けることもできるよ。またその契約はその範囲内で更新することができるからね」と。持分権者は、分割請求権も持っているっていうワケですね。



さ・て。大原則をここではお話したので、次は「こういう場合もあるよ」ってのを説明したいと思います。



まずは含有について。

これを説明するためにはいっきに所有権から債権にとんで676条を見なくちゃならないんですが、条文によると「組合員は組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合および組合と取引をした第三者に対抗することができない。また組合員は、生産前に組合財産の分割を求めることができない」とあります。


これは、持分権の原則とは違いますね。持分権の原則では、自分の持分についての処分は自由だし、分割請求だって自由でした。組合契約においては、そのふたつがカンタンに否定されちゃってます。ただ持分が存在するだけ。でも、これじゃあ「わが組合のために!」っていう精神のために、持分のある個人がないがしろにされてんじゃね?っていうギモンがわいてきて当然なのですが、実は民法681条には、「組合を脱会した人の持分については、組合財産の状況にしたがってされること」が求められており、さらに「持分の変換は金銭によるペイバックが可能」とあります。



つぎに総有について。

総有は含有と違って、そもそも持分というものが潜在的に存在しません。わかりやすく言えば、目的物に対して利用権や収益権があるだけの場合です。


ここで用語チェキラッヽ(;´ω`)ノグワアー

「権利能力なき社団」

=社団法人と同様の実体をもつが、法人格を認められていない団体。設立中などで未登記の団体などがこれに当たる。法人格をもたないが、できるだけ社団法人の規定を類推適用することが妥当と解されており、社団の財産は社員に合有的または総有的に帰属する。ただし登記は代表者名義でするほかなく、民事訴訟の当事者となりえることは、名文で認められている。また権利能力のない社団のうち、代表者または管理人の定めのあるもので一定の収益事業を営むものは、法人税法などの税法上、法人とみなされている、と。長いっすね。


ここでは社団の財産が総有的に社員に帰属する場合のことを考えてゆきたいんですけれども、例えば「ゲートボールを楽しむ会」というのがあったとしますね。とりあえずその会の設立にあたって、長老的人物が「みんなで金をだしあってボールを買おうじゃないか」と言い出したとして、みんなしぶしぶ「仕方がないよな…ゲートボールのためだ」って金を払ったとする。まあそんなこんなで道具もそろってゲートボールができるようになってみんな喜んでいるわけだけど、なかには「やっぱツマラン」って思ってるバアさん(トメさん)もいるわけで。そんなバアさん(トメさん)が、「アタシやっぱりやめます。つきましては、アタシが出したぶん(金を)の道具は返してもらいますからね!」とかいって、目に涙を浮かべながら抵抗する長老のクラブをガッとひったくっていく、こういうことができるかできないかってことを考えていただきたいんですが、もちろん用語チェックにあるように、そんな横暴はできませんよね。総有とはそうゆうことです(・ω・)b



さて、次はもっと細かく共有物の管理などについて説明してゆきましょう。



まず、共有物の使用に関しては、全ての共有者が共有物全ての使用ができること(249条)。そして252条で、共有物の使用収益の方法は共有者間の協議によって決定、過半数で決せられるが、その割合には持分の価格が反映される(国連が共有物だとすると、拠出金をたくさん払ってる国に発言権があるということ。現実はそうじゃないけど)ということが規定されています。


また252条の但し書きには、「ただし保存行為は各共有者ができる」とありますが、これは「共有者が個別にできる」という意味です。どういうことかというと、この但し書きは「所有権が妨害されるのは極力防がれなくてはならない」という考えが反映されており、例えば☆の家の4頂点の人が全員海外に出張にいっており、知らない間に家に不法占拠者が住むような状況を許していたとしても、最後の1頂点の人が「この家は私等のものですから」ってしっかり主張することで、時効取得なんかされないようにできるっていうことです。


最後に、251条には「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることはできない」とありますが、これはあたりまえですね。例えば☆の家のある頂点だけが、壁にウンコの絵を書き散らしたとします。他の頂点のひとたちは「コラッ」って怒るわけだけど、その頂点の人は「これは芸術です」って言い張る。でも、そういう単独行為によって、☆の家という共有物全体の利益が損なわれてしまうのは目に見えていますよね。だから、みんなの同意がいるっちゅうことですな(;´Д`)ノ