外国人=外の国の人 | 制限速度20~30km/h

外国人=外の国の人

 日本国憲法において、人権が保障しているのは「国民」である。じゃあ外国人は国民になれるのって話だけど、答えはなれません。だって国民じゃないんだもん。しかし憲法の98条2項(日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする)は、国際協調主義を打ち立てているため、実際は国民と同様の権利および義務を付与することは認められているとのこと。だって人権は世界共通語だもの。そして人権は前国家的性格を持ってるし。まあでも世の中には悪い外国人だって沢山いるだろうから、そこんとこは外国人の種類や性質も十分考慮に入れようやというのが、世の中の流れだ。

 そこで個別具体的に外国人に付与される権利義務について見ていくが、まず社会権はどうだろうか。伝統的に、日本では自国民に対しても社会権はあまり認めていない。働かざるもの食うべからずってのが昔からあるんだろう。社会権関連の判例では塩見訴訟ってのが有名で、国籍要件を理由に国が年金の支給を拒否したって話だが、これは合憲になっちゃった。立法府の広範な裁量によって自国民を在留外国人よりも優先的に扱うことは可能であり、所詮国際人権規約も努力目標に過ぎねえよっていうことで合憲だったわけだが、実は社会権に関しては、裁判所は日本国民に対しても厳しいってのは内緒の話。しかし許容説によれば、法律によって社会権を保障することは問題ではないと言ってる。特に善良な定住外国人なんかは憲法の要請から日本国民と同じ扱いをすべきだって考え方もある。

 さて次は参政権についてだが、日本では在日朝鮮人に参政権を与えるとか与えないとかでゴチャゴチャ揉めていますね。でも残念ながら、選挙権や被選挙権は認められないのが原則。なぜなら参政権は前国家的権利ではないから、中には悪意を持って国家を転覆させてやろうって人が出てくるかもしれないものね。地方自治レベルでは別途考慮がされていて、国家レベルの政策決定の影響が少ない「住民」としてなら、大丈夫なんじゃねという判例がある。また公務就任権といって、公権力の行使または国家意思の形成に参画しない職種、例えば研究員教授だったら自由になってくれてかまわないという権利もある。政治活動の自由にしても、国民が政治的意思形成に不当な影響を与えない限度だったら大丈夫。でも政治活動の自由は参政権的な性格もあるから、この人(外国人)何か変じゃねと思った人はすぐに憲法問題として裁判所に問題提起するといいよ。

 ではでは、出入国の自由在留の自由はどうでしょうか。まず入国の自由は認められません。自国の安全と福祉に危害を及ぼす恐れがある外国人は、国家にこれを立ち入らせない権利があるということは国際慣習法上も認められており、同じく再入国の自由も認められない。外国人が一時旅行するのは怪しいというわけだ。だけどこれに対して批判もあって、外国人の在留地への入国だったら、少しくらい認めてやってもいいかということで。あと予想ついてると思うけど、在留(更新)の自由は入国の自由と同様認められていません。出国の自由に関しては、出て行くのは大歓迎ということで認められてます。最近では韓国人に日本ビザなし入国を日本は認めようとしていますが、韓国人の世界における犯罪者数および不法滞在者数をもう一度真面目に調べなおし、外国人の人権共有主体性の問題の時のように、しっかりと「外国人の種類・性質を考慮」すべきじゃないかな。

 さあ、では以上の知識を踏まえてマクリーン事件について考えてみましょう。事案はマクリーンさんという外国人の人が在留中に政治活動を行ったというもの。これに対して法務大臣は在留期間の更新を拒否したわけだが、これは合憲か違憲かという問題である。まず外国人の政治活動の自由は保障されますね。問題なのは外国人への在留(更新)の自由は認められていないことだけど、この場合在留の自由の範囲内で政治活動の自由は保障されるべきだろう。まあとは言っても、マクリーンさんの政治活動を更新拒否の消極的理由として斟酌できるのも事実だ。このことによって、外国人の政治活動に萎縮効果がでることになるとすれば、裁判所は重大な失当をしたと評価されざるを得ないだろうなあという感じだ。法務大臣の在留期間更新についての広範な裁量を、いったいどこまで認めうるのだろうかというのが論点でした。