☆想い出はおはぐろいろの雨に濡れ

大学時代の友人が亡くなった。

癌を患い 二年以上に渡る闘病生活の末に その生涯を終えた。

彼に最後に会ったのは、一昨年の６月、震災で妻を亡くした友人のお見舞いに石巻に行った時。彼は治療中であったが同行した。

享年65才 福井県鯖江市生まれ。

彼には 文学以外にも多くのことを学んだ。

今はただ、静かに冥福を祈るのみである。


*写真は彼の処女詩集「おはぐろいろの雨が降る」

装丁、挿画は、石井秀紀（劇画作家、映画監督の石井隆の本名）

－ いろは川柳⑤ －

［パンジー］学名：Viola X wittrockiana スミレ科スミレ属
花言葉:物思い・誠実な愛・信頼・忠実・少女の恋・楽しい思い・私を思って下さい

【わ】

☆わたしにも子どもの頃があったはず

傷ついて、いつの間にか臆病になっていた。日が暮れるまで野原を駆け回り、夢を語りあった少年の日は どこにいってしまったのだろう。

★病葉(ワクラバ)がベンチの隣に来て座(スワ)る


【か】

☆カプチーノ眠れぬ２５時の月

眠れないのは 先程飲んだカプチーノのせいばかりではない。窓から覗く月を見ていると 昼に出会った彼女の笑顔が浮かんでくる。恋したのだろうか？

★ガンダーラ果てなき恋の巡礼者


【よ】

☆喜びも悲しみも見てきたリング

病院に夫の見舞いに行った。もう私のことも判らなくなっている。ただひたすら眠る夫のベッドの傍で 私は、長年嵌めてきたリングを見詰めている。

★夜の底乾いたルージュのまま眠る

－ いろは川柳④ －

アヤメ(菖蒲、文目、綾目、学名:Iris sanguinea)はアヤメ科アヤメ属の多年草
菖蒲(ショウブ)はサトイモ科、杜若(カキツバタ)はアヤメ科。
花言葉：良い便り、信じる者の幸福


【ぬ】

☆ぬかる道掴む貴方の手の確か

♪何処へ行くのよ~知らぬ町だよ…
雨の夜更けに町を出た二人。町外れの道はぬかる道。よろけて掴んだ手をしっかりと握り返してくれた男の手は温かかった。

★塗り潰す未来図私の明日は何処


【る】

☆ルーキーを一本釣りする黒い金

プロ野球のドラフトの裏で黒い金が動いていた。チーム間の協定で決められていた契約金の上限を大幅に超える金額が支払われていたのだ。その球団は讀賣ジャイアンツ。

★類は友呼んで夜更けの空騒ぎ


【を】

☆女(ヲンナ)から先にと慣れた男なり

レディーファーストの習慣は日本に定着したのだろうか。どうもそうには思えないのだが、実に上手くやってのける男がいるのも事実である。

★女(をんな)から言えない言葉言ってみる


添付写真は我が家に咲いている花々です。