例えば、アユが青海苔を前歯につけたまま壮大なバラードを涙ながらに歌ってたら…


人はそれを軽々しく指摘できるだろうか?

その人のキャラとかその時の状況にもよるが、このテのことはを非常に難しい。

指摘してあげることがその人のためになるのだろうが、申し訳ないが私には出来ない。本人が一秒でも早く鏡を見ることを願って待つのみだ。

それが女性ならなおさら。



10年くらい前の話。

実妹ユキエ選手(仮名)と一緒に海の方へドライブにでかけたときのこと。

当時私もユキエ選手も恋や仕事等々に悩める時期で、車内で互いの人生論を熱く語り合っていた。

当然、雰囲気は悪くはないが、和やかなものでもない。

そんなときだ。

要するに〔人生は選択の連続だ〕的な話をしていたところ、妹は言った。





「…私にはその時、ふたつの選択ワザがあった」





…選択ワザ。


…選択〔ワザ〕。


…選択〔技〕?何ぃ選択技て…




いーっ?!ま、まさかユキエ選手のヤツ。

〔選択肢〕の〔肢〕の字を〔技〕と間違えているのではっ?!



妹は気づかずに熱い持論を展開し続けている。真剣そのものだ。

そんな自分に酔っているようにも見える。


ここで、この誤りを妹に指摘すべきか。

もう遅いのか?!

「それを言うなら〔せんたくし〕ね」とさらりというべきなのか。

てか、そんなことをこの瞬間言おうもんならエベレスト並みに高い妹のプライドがズタズタに切り裂かれてしまう!そして、私は妹に嫌われてしまう。



何も言えねぇーっ!!!



♪言~えないよ~♪

ヒロミ郷の名曲のこの部分だけが私の壊れそうなハートの中で何度もリピートされた。

妹よ。姉を許しておくれ。

私は言えない。

指摘してくれる人が現れるまで恥をかき続けてくれ。

その前に漢字の勉強をしてくれ。

資格や免許をいっぱい持ってるのは素晴らしいが、

まず漢字の勉強をしてくれ。

実を言って、あなたの間違いはこれだけではない(まだまだあるゼ)。

とにもかくにも漢字の勉強を!


…妹の衝撃(笑撃)的誤りを耳にした後数秒間でこれだけのことがよぎった。





【名言3.】「私にはその時、ふたつの選択ワザがあった」


~実妹ユキエ選手(当時21、2歳)による真剣ゆえにアホさ8割増しのお言葉~
【真夏の太陽にさらされた灼熱のハイウェイで、道路工事による大渋滞が発生。これに巻き込まれた中年男性は、エアコンや窓の故障、車内に入り込み飛び回る蝿に苛立ちを募らせる。業を煮やした彼は遂に車を乗り捨て、問いかける他のドライバーに対して「家に帰る」と言い残し、道路から立ち去った。彼の、怒りに満ちた大暴走が始まる。】


…これ、マイケル・ダグラス(←美しいキャサリン・ゼタ・ジョーンズのおじいちゃんのような旦那)主演の「フォーリング・ダウン」(1993年)という映画のストーリーなのだが、ここまでは無いにせよ、人が暑さに苛立つのは誰しも同じ。人間が心穏やかに暮らすにはクソ暑いよりもまだクソ寒いのが良いのかもしれん。

愛知のセックスシンボル・アヤンジェリーナ・ジョリーこと私ハリーも夏はエロスの語り部、下ネタの暴れん坊将軍と化しているが、今年も秋が過ぎ、冬ともなれば、「今日の晩御飯はハリー自慢のシチューでしたぁ♪カレがスゴく美味しいって言ってくれたから、嬉しくてちょっぴり泣いちゃったそしたら頭ナデナデしてくれたよぅ」などと歯が浮くようなことを日記に大公開しているだろう(てか、そうなってたいよくすん)。

さておき、夏の不愉快な暑さが人をいかに狂わせてしまうかという話である。

昨年の夏の話だ。

私は某ショッピングセンターに買い物に行き、夢中になってCDを観てたせいか、この時間に帰るゾという電車に間一髪、乗り遅れてしまった。田舎ゆえ次の電車は30分後…。そのショッピングセンターと最寄の駅は少し離れており、涼むためだけにもどるのがどーにもこーにもめんどくさかったので、そのまま駅にとどまった。

ベンチに座りたかったのでホームに行くと私一人であったが、逆ホームには酔いどれ風のaround60と思しきおじさん。おなじく一人。くたびれた白Tに、田舎のオヤジがよく穿いているどーでもいいような寝巻き風の白パンというにんともかんともなイデタチである。



みんみん蝉の声に混じって、そのおやじさんが何やら軽やかな歌を歌っているのが聴こえた…






「…♪女房も殺して 息子も殺して…♪」







おやじさん、どーかしてるゼっ(←ブラマヨ吉田風)!

…メロディーをお伝えできないのが残念でならないのだが、こんな内容を歌っているとは思えないほどリズミカルで、アコーディオンが似合いそうなハッピーな曲調なのである。

おやじさんは表情も変えず、まっすぐ前をみて歌っていた。

自称〔人間研究屋〕ハリー・ミュラーがおやじさんの全体像から推測したところ、彼はその詞の内容のようなことは120パーセント実行していない。だからこそ、「怖ッ!」ではなく、申し訳ないがウケてしまったのだ。

に、してもだ。彼の人生に一体何があったのだろう?

ひょっとしたら嫁サンや子供に日々邪険にされていたりして、そのストレスが暑さのせいで静かなる狂気を生み、おやじさんにこんな歌を歌わせたのかもしれぬ。

う~んマンダム。

おやじさんの人生に乾杯!

そして合掌。な~む~。




【名言2.】「…♪女房も殺して 息子も殺して…♪」


~夏の暑さでどーかしてしまった男(60歳前後。推定無職)作詞作曲の珍魂歌的名言ならぬ名歌~
男は顔じゃない。

ナイアガラの滝に打たれ修行をした。
汗水たらし、ナスカの地上絵を描いたのも実は私だ。
バミューダトライアングルからも脱出した。
クラーケンとの死闘の後、最愛の男Tにフラれた(くすん)…

つまり、荒波にもまれてきた私が言うのだから間違いない。

私の自慢の父親は長身で超イケメンだ。
ゆえに母親は絶対的なイケメン好きである。

しかしながら、私はその【イケメン好きDNA】を受け継がなかったようだ…というより何故かイケメンに縁が無かった。

〔ハリー・ミュラーの華麗なる恋愛遍歴〕

その①本人は天宮良似と勘違いしているやしきたかじん似の上司。

その②私の同僚に「ウマっぽくね?」と陰口をたたかれていた元ジャイアンツ上原似の上司。

その③マット・デイモンに似ていると思おうと努力したが、どうしてもジミー大西にしか見えない料理人。

その④ミスチル桜井に激似と自分勝手に思い込み一目ボレ。カレシにすることに成功したが、交際末期には徳光カズオにしか見えなくなっていた職人。

その⑤いっこく堂似の公務員(この中ではかなりレベル高し)。etc…

正に〔非〕イケメン黄金のラインナップである!!

しかし、そんな彼らなどカワイイもの。ハリー、紀元前の話だ。

極めつけは、しゃくれ井アゴ彦氏(仮名44歳)である。

それはそれはもう、神がかり的な、拝みたくなるようなブサイクであった。R-30のモザイクもの…いや、日本が誇る天然記念物と言えよう。てか、「生理的に受け付けない」という言葉があるが、そのボーダーラインギリギリである。

しかし、しゃくれ井氏は私の大好物「頭の回転が速く知識が豊富な男」ゆえ、付き合っていて非常に楽しかった。そして、この方、ブサイク(ルックスに自信の無い人)特有のオドオド感が一切無く、常に明るく堂々としていた。そして、モテた。浮気までなさった。

ともあれ、紀元前の私であったらここまでの御マスクの方とは到底付き合うことなどなかっただろう。


…しかし、私は『ヤツ』のおかげで【男は顔じゃない】という紀元後を迎えたのである。


私が愛した男・ソレナリのカカワリを持った男の中でイケメンはたったの二人。

一人は半年前に別れた元カレT。

そして、もう一人が今回の主役(と書いてネタ)、イケメンの皮を被った蛆虫男のウージくん(仮名。当時27歳)…『ヤツ』である。



ウージくんは働きながらプロを目指すドラマーだった。
ライブで初めて彼を観た時、「シャア(・アズナブル)にそっくり」と思った。「ディカプリオにそっくり」とも思った。実際は、本人も周りからよく言われると言っていたが、元ジュディマリのギターの人と同じ顔である。まあ、どれにしろ、トキメキ☆MMバップな超イケメンであることはお分かり頂けたかと思う。

そして(詳しい説明は面倒なんで割愛させて頂くが)、ファンになって4年目にして私はひょんなことからウージくんとのデートにこぎつけた。

飽きっぽい私が3年以上憧れ続けたスーパースター・ウージくん
デートの夜、ドライブに行くことになり、車の助手席に乗った…夢見るような気分サ ♪

私たちはやはり音楽の話をした。お互いに好きなツェッペリンやディープパープルetc…私が最も得意とし、好きな'60~'70年代のロックの話。その中でウージくんの熱い音楽論に触れ、私は、

「温故知新の心だね」と感心しながら言った。

すると、ウージくんは言った。




「はぁ?おんこちんちん?」




…100万年の恋は一気に冷めた。

その場では「ヤダァ~」とブリッコしながら困惑の表情なんかしちゃったりしたもんだったが、内心「お前死ね!」と思った。

私は大ッ嫌いなのだ。知らないことを知られたくないから、恥ずかしいから、下ネタでゴマかす、こういう【無知と下ネタのハサミ打ち】が。下ネタに対しても失礼千万な話である。

このウージくんの問題発言はハリー・ミュラー政権下では死に値する。

ここでもし、ウージくんが「おんこちしん?それってどういう意味?」と言ったなら私は可愛いと感じただろう。

温故知新…〔古きを温め、新しきを知る〕。私が「臥薪嘗胆」と同じくらい大好きな素晴らしい四文字熟語だ。

それを…こんな…(怒り&呆れ)。ねぇ…。


先に100万年の恋は冷めたと記したが、実はその後も、一緒に映画を観に行ったり、ウージ家に泊まりに行ったりしてぼちぼち遊んだ。しかし、付き合わなかった。

私にとって彼こそホンモノの〔顔だけイイ男〕である。顔だけ好きだった。

はっきり言って、一緒にいてあんまり楽しい人でもなかった。
合わないタイプのアホだった。レベルの低い冷たさがあった。そこから垣間見える自信の無さ…。小物のくせにプライドだけは高いから私はウージくんを傷つけないようにいちいち発言に気を付けねばならなかった(彼女でもないのによく注意されてめんどくさかった)。

そして彼は男性として致命的欠点があった。

…ケチ…。

イケメンだけど、ケチメン。…イケチメンだ。

ウージくんほどケチな男性には出会ったことがない。

遅いが私は悟った。神様は教えてくだすった。

「男は顔じゃない」というより「男はハート」なのだと。

ウージくんのおかげで私はめでたく紀元後を迎え、しゃくれ井氏と出会った。

「ブサイク、どーんと来いっ!」という域にまで達した。

しかし、Tというエンジェルくんが私の前に降臨したため、しゃくれ井氏の前からとっととドロンした(その後、Tにフラれ現在に至る。くすん)。



さて、その後ウージくんのバンドはすぐ解散した。
メジャーになるまであと一歩というコンテストか何かで1位のバンドと結構な大差をつけられ落選してしまったようだ。ラストライブのアンコール、最後の最後の曲を演奏後、彼は男泣きに泣いていた。

…私は冷たい女じゃない(暖かい女でもないが)。
しかし、「ヤツ」=ウージくんにプレゼントやら何やらでつぎ込んだお金・された仕打ち・流した涙の量を考えると…


その姿を見て「ザマミロ」と思わずにはいられなかった。





【名言1.】「はぁ?おんこちんちん?」


~ウージくん(仮名。当時27歳イケメンドラマー)による、悲しいくらい幼稚園児レベルなお言葉~