こんにちわ。皆さんお元気ですか?コーネリアスです。

 

突然ですが、皆さん『地政学』という言葉をご存知ですか?どうも、最近色々なところで目にします。紀伊國屋、ローソンの本棚、ネット上等です…僕が最初にこの言葉に出会ったのは、今から10年ほど前ですか、ジュンク堂で本の物色している時でした。確か当時、作家の佐藤優さんの本のタイトルに使われていました。その時は、さほど興味も無かったので、スルーしてしまっていたのですが、3ヶ月程前から、僕のお気に入りの動画に何度も登場して来て、それを見ているうちに、ハマってしまい、自分でも色々調べるようになりました。因みに、この動画の主というのが、茂木誠さんという方で、予備校の世界史講師の傍ら、歴史ユーチューバーとしても活躍されている方で、大変博識な方とお見受けします。僕も歴史には興味があるので、この人の動画は、よく見ています。大変面白いと思いますので、歴史好きの方にはお薦めです…で、最近この方が、地政学的史観から世界を斬って行くという試みをやっておられるのです。これが、僕の中で大変参考になったというか、現在世界で起こっている事にも繋がり、腑に落ちたんです…では、以下茂木さんの動画と、僕が調べて知り得た事とを合わせて、『地政学』というものについて語りたいと思います。

 

★そもそも、地政学とは…

wikiの定義によると、『地理的な環境が国家に与える、政治的、軍事的、経済的な影響を、マクロな視点で研究するもの』という事。比較的新しい学問です。当初イギリス、アメリカ、ドイツで、国家戦略の一環として研究がなされてきました。で、地政学の研究を行うには、宗教学、地理学、政治学、軍事学、経済学、文化学、民族学、哲学などの広範囲に渡る見地からの研究が必要とされるのだそうです。

 歴史的には、古代ギリシアのアリストテレスが、『政治地理学』としての思想をスタートさせたのが起源だそうです。その後時代が降って19世紀に入り、ドイツの地理学者、ハインリヒ・ラッツエルという人が、『政治地理学』というタイトルの本を出し、地政学は事実上産声を上げました。現在の地政学という名称は、その後スウェーデンの学者、ルドルフ・チェレンという人が命名しました(英:geopolitics)。我が国でも、多くの地理学者、政治学者等が研究をしていますが、その中で、京都大学の梅棹忠夫教授が、1957年に著された『文明の生態史観』という本が大変良い本であると、茂木誠さんも推薦されていますので、ご紹介しておきます。

 

◆シーパワーとランドパワー

 一般に、世界を分ける時、よく西洋と東洋という分け方をします。では、どこまでが西洋で、どこからが東洋でしょうか?境界線はどこでしょうか?インド辺りでしょうか?おそらく、イギリス人から見たら、東洋でしょう。でも、我々日本人から見たら、そう言われればそうかもしれませんが、チョット違和感もあります。では、中東辺りでしょうか?これも、イギリス人から見れば、東洋だ、となるのかもしれませんが、日本人から見た場合、ここはもはや東洋とは言えません。でも、西洋とも言えませんから、それじゃ、中東にしといてよ、となります…こんな具合で、西洋と東洋という区分は、非常に曖昧で、従ってあまり意味がないようにも思えます。因みに個人的にですが、サッカーW杯予選で、アジア予選がありますが、どんだけ広いんだと言いたいです。東は日本、西は中東のサウジアラビアまであります。おそらくは、聖書の影響(聖書の世界観ではギリシャ以東は、アジア)かとは思いますが…梅棹理論では、世界を西洋と東洋という区分けをしません。先ず、世界を新世界、旧世界という大きな区分けをします。

新世界…南北アメリカ大陸、オーストラリア・ニュージーランド・オセアニア地域、アフリカ大陸

●旧世界…ユーラシア大陸及びその周辺地域

更に、梅棹教授は、その対象として、新世界を除外します。なので、対象は旧世界のみとなります…ユーラシア大陸です。

 ここで、梅棹教授は、この巨大な大陸を2つの地域に区分けします。

★第一地域→西ヨーロッパ&日本(シーパワー国家群)

★第二地域→第一地域を除くユーラシア大陸部分(ランドパワー国家群)

ここで、新しい言葉が出てきました。シーパワーとランドパワーです。定義は以下の通りです。

●シーパワー…海洋権力の事。海上交通路や海外の経済拠点を、維持、防衛する為の海軍能力。輸送船の輸送力、陸地の港湾施設の処理能力などを含めた、海洋を支配、利用する為の総合能力。これを保有する国を海洋国家という。日本、イギリス、スペイン等。

●ランドパワー…陸上のさまざまな権益、経済拠点、交通路を支配、防衛する為の陸軍能力。陸上輸送力、陸地の加工力(土木技術、農業技術)などを含めた総合的な陸地を支配、利用する総合能力。これを保有する国を大陸国家という。中国、ロシア、ドイツ等。

第一地域をよく見ると、確かにそうですね。日本もイギリスも島国ですし、スペインも海に面しています。沿岸地域の国です。対して、中国、ロシアは、沿岸部こそありますが、中心はユーラシアの内陸部です。シーパワーを例に取って過去の歴史を振り返れば…

①日本→遣唐使、朱印船貿易、日本海海戦勝利(日露戦争)、連合艦隊(旧帝国海軍)→世界屈指の海軍力

②イギリス→大英帝国の栄華→当時世界一強力な海軍力がベース

③スペイン→大航海時代の旗手→無敵艦隊が世界を席巻

歴史の事実からも、確かにどれもシーパワー国家と言えます。

 

◆第一地域と第二地域の文明史

さて、先ずシーパワーの第一地域とランドパワーの第二地域の、文明史を追ってみましょう。皆さん学校で教わったと思いますが、大きな文明の発祥は第二地域で起こりました。4大河文明というもので、エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、黄河文明です。これらは、第二地域内の巨大な河川を中心に起こり、繁栄していきました。この頃の第一地域は、未開の地、辺境だったと見られます。4つの文明は、次第に周辺に拡大して行き、この結果、第二地域は第一地域に比べ、高度な文明を持つエリアへと変貌して行く事となります。しかし、徐々にではありますが、第一地域もこの高度な文明を取り入れるようになって行きます。西ヨーロッパも日本も、第二地域からは離れていた為、導入には時間がかかりましたが、最終的に導入には成功し、独自のものへ変化させたりもしました。好例が日本です。日本は隣の大国当時の隋や唐から、多くの文化を取り入れましたが、後にこれを加工、改善し独自の国風文化を確立させています。この様に、文明史の側面から見ると、最初に栄えたのは、第二地域でその原因は、大河とそれに伴う肥沃な大地、それにより農業が起こり、人口が増加した為と見られます。しかし同時に侵略戦争も起きていました。他方、第一地域は、辺境の地であった為、まず侵略されにくい地理的状況がありました。これが幸いし、第一地域は、比較的平和に、ゆっくりと第二地域の先進文明を取り入れ、学ぶ事が可能となりました。

 

◆第一地域と第二地域の構成メンバー(そこに住む人)

第一地域は、第二地域と比較すると、地理的に面積が狭いので、その為大人数が住むには適しません。従って、必然的に単一民族化して行きました。これに対し、第二地域は、広大な土地を有している為、多くの民が住む、いわゆる多民族的になって行きました。

★第一地域→単一民族の傾向が強い

★第二地域→多民族の傾向が強い

こうして、第一地域も第二地域も次第に国という共同体が形成され、国家運営がなされていったわけですが、それぞれにメリット、デメリットが発生しました。例えば、第二地域は多民族なので、当然人口が多い為、強大な力を持ち得たと思われます。ですが、やはり多民族である為、様々な思想考え方がある為、共同体をまとめるという点では、一筋縄ではいきません。紛争、争いが絶えなかったのではないでしょうか。他方、第一地域は、単一民族的ですから、第二地域と比べれば人口が少ない為、第二地域ほどの力は持てません。しかし、単一的である故に思想考え方が類似している為、共同体としては、まとめ易く、意思疎通も容易であったのではないかと思われます。     Part 2へ続く