過去にトリマー専門学校に勤め、内情を見てきた身として、今まで何度も心に抱いた
「トリマー養成学校を自分で作りたい」
いう想い
私が作りたい《学校》とはどんなものか
今回の内容は、夢物語かもしれないけれど
『私が描く理想的学校』について述べていくシリーズである
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《プロ》を目指すなら《本物》《理想形》を知らねばならない
私はそう思っている
「そうは言っても、結局社会に出てトリミングするのは〝一般の犬〟じゃないか」
とおっしゃる方もおられるだろう
もちろんその通りである
しかし、
〝正しいバランス〟を知ったうえでこそ、
各個体の欠点を隠し長所を引き立てるトリミングが可能となるため、
毎回ではなくとも頻繁に
《理想的バランスにより近い個体での実習》
を取り入れることは大切だと私は思うのだ
そのために、学校所有犬は犬種標準により近い個体のみを用意し、一般家庭犬に協力をお願いする場合は骨格構成・体躯構成・性格などの審査をさせていただきたいと考えている
話が若干それるが、アインシュタインというお笑いコンビの1人に〝稲ちゃん〟という人がいる
彼は《吉本ブサイクランキング》で1位に輝くほどの外見で、大御所芸人さんに「吉本の宝や!」と言わしめるほどだという
さすがプロのお笑い芸人、ルッキズムが問題死されるこのご時世に堂々と自身の見た目をネタに笑いを取っておられて本当に素晴らしい
彼のネタ話の中に、こんなものがあった
ある時、吉本の若手男性芸人たちが美容専門学校から依頼を受けて、メイクのモデルとして協力したことがあったそうなのだ
専門学生たちは課外授業として男性芸人たちに美しくメイクをほどこし、ステージで披露するというものだった
稲ちゃんの担当になった学生は、次々にメイクが完成していく仲間たちの中で稲ちゃんの顔をどのように美しくすればよいのか分からずオロオロして、ついにはメイク室を飛び出して外にいた先生にこう言ったそうだ
「先生!これって成績に関係ないですよね?!」
これは〝彼が正真正銘プロの芸人さんだからこそ〟の笑い話であるが、実際問題としてわんこでも
「〝実習モデル犬として〟はふさわしくない個体」
は存在するのだ
もちろん
・シニア犬トリミングの練習
・骨格構成が優れない個体の優しい扱い方
などの勉強にはなる
けれど、そんな子〝ばかり〟では〝学校〟としては困るのだ
事実、過去に3年間勤めたある専門学校では、多くの学生へ〝1人につき1頭のモデル犬〟を毎授業用意するためにあらゆる繁殖業者からわんこを借りていたが、
犬質・管理ともに非常に劣悪な犬がほとんどで、
やせ細り〝全身マット状の毛玉〟に〝ふん尿が固着〟してまるで〝岩のような毛玉〟となり、目や肛門すらもふさがってしまっているようなわんこが用意されていた
それを、ブラッシングやバリカンの技術さえままならない1年生が美容するのである
相葉くんがテレビでやっているわんこよりはるかに酷い状態で、あまりにも哀れで筆舌に尽くし難い光景だった
晴れてトリマーとなった身で
「自分はボランティアトリミングをすることで不幸な境遇の犬たちを救いたい」
と願いそういった方面に進むのならばいいが、高い学費を払って《勉強》しに来ているのに実習にすらならない犬をあてがわれるのは、
学校運営側の意識の低さ・認識の甘さ・配慮の至らなさを疑わざるを得ない
このような経験から、私としては
『プロになりたいと願う学生のために〝健全〟で〝勉強に適した〟モデル犬を準備する』
ことが重要であるという結論に行き着いたのである
(続く)