『人時生産性』

という言葉をご存知だろうか

これはいわば

《〝1人の人間〟が〝1時間〟に生み出す利益(売上)  》

のことである

今回は、

「高い高い」と言われるトリミング料金が、果たしてほかの技術系サービスと比べて本当に高いのかについて、人間の美容院と比較して考えていきたいと思う



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私の経験からの個人的な感じ方だが、トリミング料金を高いと言うのは《男性》に多いように思う

よく言われるのが

「俺のカットなんて2000円やのに」

である


そこでひとつお聞きしたい


「そのカット、どれくらいの所要時間ですか?」





例えば人間の美容院で《1000円カット》というものがある



シャンプーなどはせず、カットのみのサービスである



美容師のスピード技術も高いのだろうけれど、所要時間は《約10分》と言われている



つまり単純計算で考えれば《1時間で6000円》の売上となる



スピード技術が高いとはいえ、あれだけ全国的に店舗を構えられるということは、そのスピードは〝極めて稀な技術〟というほどではないのかもしれない



そこから判断すれば、トリマーで同等のレベルは

『トイプードルのグルーミング(←爪切り・耳掃除・シャンプー・カット全ての行程)〝1時間半〟』

といったところだろうか

(↑ちなみに私は平均2時間ほどかかる)



それでトイプードルの美容代が9000円なら、人間の10分カットと同額となる



けれど実際はそうはいかない



私が開業した当初、私の地域のトイプードルのカット料金の最高値は7,500円だった



私はそのあたりで値段設定をしたが、もちろんそれより安いサロンもたくさんある



トイプードルを私の平均所要時間である2時間かかって7,500円でトリミングした場合、

1時間の売上は3,750円



実際は

〝犬の大きさ〟

だけでなく

〝カットスタイル〟や〝毛量〟も違うし、

〝骨格構成の健全さ〟

などでバランスの作り方なども変わってくるため、2時間半から3時間近くかかる子もいるし、

たとえ〝もつれ〟や〝死毛〟〝毛玉〟などがあったとしても

Kelevでは《15分につき500円》の追加料金なので、

もつれが多ければ多いほど人時生産性は下がることになる

(もつれ取りは1時間で2,000の売上となるため)



こうやって計算していくと、トリマーの1時間の売上は人間の美容師のそれの『半額以下』となる場合もあるのだ



結論

『トリミング料金は決して高くない』



手間を知れば、行程を知れば、そしてそれを自分自身でやってみれば、高いなど言えなくなるだろう


我々は

《経験もせず1日で誰にでも出来るようになること》

を仕事にしているのではない



ひとにはなかなかできない技術を仕事にしているからこそ『対価を頂ける』のである




ちなみに、トリマーに

「犬が好きなんやね〜」

と言うのは、

この仕事に真剣に向き合っている身からすれば《愚問》である



パイロットに

「飛行機お好きなんですね〜」

と言うだろうか?


ピアニストに

「ピアノお好きなんですね〜」

と言うだろうか?




〝好き嫌い〟の域を〝超越〟したからこそ仕事にしているのが《プロ》であると私は考えている





ま、大手専門学校で生ぬるい経験しかせず、就職して1年ほどで辞めてしまうトリマーが続出していれば

『誰にでもできる』

と思われても仕方ないかもしれないな