こんなこと、今さら勘違いしている人はいないだろうと思いつつも、

「うちの子血統書付きなのよ〜」

という、いまや〝死語〟となりつつあるセリフをまだ自慢気に言っている人がもしかしたらいるのかもしれないと感じるようなできごとがあったので、今回は

『血統書とはなにか?』

についてお話しよう



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たとえばシャネルやエルメスなどの高級ブランド品などに

《ギャランティカード(Gカード)》

というものが付いている



これは

『正規ルートで販売されたブランド品の品質を保証するための証明書』

で、 購入店舗、購入日、購入した人の名前、シリアルナンバーなどが記されている




この保証書はつまり

『信頼できる製品である証』

として付属しているもので、これを持っていれば正規店で修理やメンテナンスもできる



むかしは、犬の血統書をこのギャランティカードと同様に考える人が多かった


つまり

『血統書』とは《良い犬・信頼できる品質の犬である証》

と考えていたというわけである




私がこのブログで述べてきたような

犬種標準や犬質を守り続ける
〝真のブリーダー〟

しか存在しなければ、あるいはその解釈はさほど間違いではなかったかもしれない



しかし《質の悪いブリーダー》が増え、犬種標準からはるかに逸脱した個体・不健全な個体が世の中に広がり、さらにそれを知識のない一般人が自分たちの感情のみで繁殖してきたことによって、血統書は

《良い犬・信頼できる品質の犬である証》

の効力を失ったのだ




そもそも本来の意味合いとして

『血統書』とは《純血種の戸籍謄本》である


当該個体がどういう両親犬・祖先犬から生まれたかのルーツが記されており、それぞれがドッグショーや訓練競技会・訓練試験などで評価されていればその称号などが記されている


日本以外の国で称号を取っている場合もあり、その国がFCI加盟国(※)であればそれも記される

(※ FCI=世界畜犬連盟)




つまり血統書を見れば当該個体が優秀なタイトルを取った血統(ライン)かそうでないかが分かるということである



誤解のないように言っておくが、優秀なタイトルが記されていなければ〝犬質に問題がある〟とは限らない



たとえば人間でも

〝芸能人やモデル、あるいはレースクィーンになっていても不思議ではない一般人〟


〝東大に行き博士や研究者になっていてもおかしくない頭脳の持ち主〟

がいるのと同じで、『当該個体あるいはその祖先犬のどのオーナーも展覧会や訓練競技会などに興味がなく出陳させてこなかったけれど犬質が良く訓練性能のポテンシャルも高い個体』がまったく存在しないわけではないとは思っている




ただ、血統書はあくまで当該個体のルーツを知るひとつの手がかりであり、決して

ギャランティカードのような《保証書》ではない

ということをいま一度理解していただければ嬉しく思う




資料写真はかなり以前の証明書なので、今はデザインや仕様が変わっている可能性があります