今回は、トリマー目線から見た『犬の爪切りのジレンマ』についてお伝えしたい
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経験のあるトリマーは〝そのわんこ自身の血管の箇所〟と〝本来の適正な爪の長さ〟の両方を知っている
爪や足先の形状を見て
「あ、この子は血管や神経ごと伸びてしまっているな」
と分かるのだ
そこで経験のあるトリマーは迷う
「この子のこれからの健全性を重視して、一旦血管ごとカットしてあげるべきか、心配性の飼い主さんのために出血をさせないほうを重視するか」
実は、私がトリマーになりたての頃からつい10年ほど前までは、このようなことに迷うトリマーはほとんどいなかったと思う
それが最近になって何故〝2択で迷う〟トリマーが出てきたのか
それはズバリ
〝過保護な飼い主の感覚〟
が現れたからである
ほかのトリマーさんのブログにも書かれているのを読んだが、トリマーは犬の爪切りによる出血はケガとは捉えていない
先に述べたように『適正な長さ』に切りそろえるために敢えて血管ごとカットしてあげることも必要だと考えている
血管を切る際、保定が良くないと出血量も増え、犬が暴れて大変なことになる場合ももちろん考えられることだけれど、それはあくまでもシロウトが行う場合であり、ベテランのトリマーはわんこをしっかり保定して、切る爪の肉球を強めにつまみ、迷いなく一気にカットしたのち素早く止血剤をつけるので、出血量は私たちが裁縫の時に針を指に刺した時とほとんど変わらない
肉球をつまむ強さは、ちょうど私たちが筋肉注射を受ける際にお医者さんにつままれるのと同じくらいだ
つまり、筋肉をつままれている刺激により注射の針が刺さる刺激を感じにくくなるのと同様に、肉球をつまむ刺激により爪をカットした時の刺激がわんこにも感じにくくなるのだ
その証拠に、上手に素早く行えばわんこ達は「キャン」とも鳴かず暴れることもなく、四肢すべての爪切りと止血処置を合わせても5分ほどあれば終了し、そのあとも普通どおりにしっぽを振って歩きまわり、いつまでも爪を痛がる素振りを見せるわんこは28年トリマーをやってきた私の経験上見たことがない
(↑↑↑もちろん嫌がって暴れるわんこもいるけれど、そういうわんこはたとえ出血させない長さにカットしても嫌がる『足元を触られるのが苦手なわんこ』たちであるし、そういう子はもちろん敢えて嫌なことの上塗りをするような事はしない)
ただ、だからと言って
「犬の爪からの出血は100%安心です」
「だから、何がなんでも犬の爪は出血させてでも短くするほうが正しいんです」
と言うつもりはない
次回は、私が人から聞いたり自分で経験した、爪切り時の出血により起こった出来事についてお話したいと思う