おはようごさいます~キラキラ


だいぶん目の調子が良くなってきましたOK

なので、「スタシカ」いっときます流れ星流れ星


「スタシカ」第27話

27.プレゼント


「いいえ!そんなことありません!」

自分たちは幻想ではないと、力強く訴えたスターワン。

男は微笑みながら涙を拭った。

「箱を開ければ皆が目を覚まし、黒い虚無のない世界で生きられる。そして、今度はその箱に私自身を閉じ込める。開けられる存在がいなくなれば、黒い虚無は永遠に封印されるだろう」

「どのぐらい箱の中にいないといけないんですか?」

「よく分からない…」

「それじゃ、友達が蘇っても兄貴は再会できないじゃないですか!」

ビケンの目には、いつの間にか涙がたまっていた。

「私の望みは滅亡に打ち勝つことだ。その程度の犠牲は受け入れるしかないだろう…だが、本当は怖いんだ…」

ビケンは男の手を握ると、あまりにも冷たくて涙が出そうになった。

「ありがとう」

そして、ソルに向かって言った。

「この子の事は1人にしないでくれ。頼むよ」

「はい。何があっても絶対に」

「ハハッ、それは頼もしいな。これで、私の話は終わりだ」


男が空中に手をかざすと、硬そうな木の杖があらわれた。

そして、ビケンの手に握らせようとして、何かを思い出したのか、自分の袖をまくり、まだらなシミのある手首を引っ掻いた。

「あ、兄貴、血が!」

血が相当杖についたが、男が一回転させると元の姿に戻った。

「杖の力を抑えておいた。君の魔力が強くなれば、だんだん言うことを聞くようになるだろう」

杖を受け取ったビケンは、初めて手にしたはずなのに、何故か体が覚えてるような気がした。


「他に必要な物はないか?」

「あの、ポーションみたいなのはありませんか?飲んだら回復するような…」

タホがすぐさま答えた。



男が空中に手をかざすと、華やかな花模様が彫られたガラス瓶が姿を現した。

男はまた袖をまくると、手首を引っ掻き、流れ出た血でガラス瓶を染めた。

血まみれのガラス瓶が一瞬光を放ち、それが収まると男はビケンのポケットにそれを入れた。


「じゃあ、君たちを帰してやろう。またサイコロを振ればいい」

男は晴れやかさと切なさが混じった笑顔でそう言った。

「ちょっと待って!これだけは完成させたい。あと10分もあれば出来るから!」

アビスが組み立て中の箱を持って言うと、ソルの手を引っ張って小声で囁いた。

「ソルさん、これはもう出来上がってるんだ。10分欲しいって言ったのは、彼にプレゼントを送りたくて。1人でいても寂しくないように」

アビスの作った箱は、何でもピッタリと入る不思議な箱だった。


ソルとアビスが小声で相談していると、ビケン、ユジン、タホも集まってきた。

男にプレゼントを送りたいと聞いて、ビケンは男をチラッと見て言った。

「兄貴、寒そうじゃん。こういうのはどう?」

すぐに話がまとまり、アビスは箱を完成させた。


「準備はいいな?空間を開けるぞ」

男が空中に手をかざすとと、空間が割れて白い雪原があらわれ、スターワンは注意深く足を踏み入れた。

「これでお別れだ。元気でな、私の星たちよ」

「兄貴もお元気で!それと、これは俺たちからのプレゼントです」

ビケンはアビスから箱を受け取り、男に手渡した。

「楽しみだな。私が気軽に開けられる箱だなんて…ありがとう」

巨大な運命を背負ったもう1人のビケン。

気が遠くなるような時間を耐えてきた、強くて弱い人。

目に薄く涙を溜めた男が何かを囁いたが、因果律に阻まれたのか、何も聞こえなかった。


それでもビケンには、男が祝福の言葉を口にしたとわかった。

ひどく悲しかったが、なぜか心は暖かかった。


ついに、雪原の別世界からドラゴンピークに帰る事になったスターワン。

ドラゴンピークはなんか怪しかったし、ビケンがもらった杖は守ってくれるのかなぁはてなマーク

で、大人ビケンにあげたプレゼントは何だったんだろはてなマーク