こんばんは~
カムバの話題もさることながら、私には「スタシカ」のあらすじを書く使命があるのです。(大袈裟…)
では、今日もスターワンと頑張ります
16. 掛け違えたボタン
国内の音楽活動が終わり、次はヨーロッパツアーの準備に取り掛かる時期のスターワンは、インタビューの撮影場所に行くため、高速道路のサービスエリアで休憩を取っていた。
魔法の発現に、襲撃事件、あまりにも色んな事があった為、何事も無かったように急に静まりかえっている事に違和感が否めない。
ソルはベンチに座っているメンバーを眺めた。
「この前、しばらくの間公の活動は控えようってマネージャーが言ってたけど、みんなはどう思う?」
襲撃事件もあり、リスクを抱えたまま、活動する事は危険と会社が判断したのだ。
「俺は休みたくねぇ」
ユジンは答えたが、他のメンバーは今は活動を控える事に賛成のようだった。
ユジンは何か言おうとしたが、そのまま飲み干したジュースの空き缶をグシャと潰した。
高速道路はやけに渋滞しており、その原因は「黒い水のウェーブ」だと、タホがスマホのニュースを見て教えてくれた。
ソルは顔をこわばらせて座っているユジンが気になった。
襲撃事件からユジンはやけに神経質になり、なんでもない事に動転したり、常にしかめっ面をするようになったからだ。
「ユジンさん、手出して」
「なんでだよ」
「いいから」
ユジンが手を出すと、ソルはミント色のサイコロを手渡した。
「俺、すごくそれに救われてるんだ。5分だけ貸してあげる」
「ふーん。なんなんだ、これ。お守りみたいなもんか?」
「まぁ、そんな感じ。握ってると心が落ち着くんだ」
ユジンはサイコロをギュッと握ってみると、不思議と心が解きほぐれた感じがした。
「まぁまぁだな」
ユジンの”まぁまぁ”は、”いい”という意味だ。
ユジンはサイコロを握った手を頬に当てた。
柔らかい羽毛に撫でられたようで、少し素直になれたようだった。
「ソル。俺、なんかやらかしたっぽい。ボタンを掛け違えた気がするんだ。取り返しのつかない事をしたみたいで、それが怖い…」
ソルはそれがなんなのか聞きたかったが、ユジンが自分から話してくれるまで待つことにした。
「ボタンを掛け違えたなら、また直せばいい。力を合わせれば何とかなるよ」
「何言ってんだ。矢もまともに当てられないくせに」
2人の目が合い、突然笑いだした。
「サンキュ。なんか元気出た」
ユジンは、ソルにサイコロを返した。
(そういえば、このサイコロの正体はなんだろう)
いつだって、どうにかしてソルの元に戻ってくるサイコロ。
しかし、何故かもうすぐ何もかも分かる気がした。
メンバー達は森が見えるベンチに座り、軽食を楽しんだ。
アビスの側には、召喚獣の小鳥がいた。
イカバターをあげるが、気に入らないのか吐き出して足で踏んだ。
「召喚獣だし、食べるものが違うのかもね」
「アビスの召喚獣って、異世界の動物なの?」
とソル。
「異世界ってどんなとこなんだろ」
とビケン。
「僕も気になる。白マントの人たちなら知ってるんだろうなぁ…」
とタホ。
サァァーッ
風の音に混じって、何かが聞こえる。
バタバタッ
ソルは咄嗟に耳を傾けた。
長い布が風で揺れる音だった。
ソルは慌てて音のする方を見ると、視線の先に白いマントを纏った人たちがこちらに向かって歩いてきていた。
まるで宙に浮いたような軽やかな足取りで。
ユジンは一体何をやらかしたのか?
全く分からないけど…
ちゃんと回収してくれるんだろうか…
ユジンの話し方がダサくて、結構勝手に変えてるんだけど、今どき「しちまった」とか「みてぇだ」とか、どんな時代…