今回はアメリカ大学受験の入試ポリシーであるTest-OptionalとTest Blindについてお話したいと思います。

 

 

アメリカの大学入試では、2020−2021年頃からそれまで必須だったSAT/ACTのスコア提出がオプション制になりました。これは新型コロナウイルスの影響を受けて、共通テストであるSATやACTを受けられなかった生徒に対して不公平にならないようにとの配慮が背景にあります。

 

大学にもよりますが、この頃から『Test-optional』『Test-blind』という入試ポリシーが一般的に実施されるようになりました。ちなみに、カリフォルニア州の公立大学は2020年〜2022年まではTest-optional、2023年の出願からTest Blind、そして2025年には完全撤退となる予定です。

 

 

【Test Optionalってどういうこと?】

 

Test Optionalとは、大学に出願する際にSATやACTの共通テストのスコア提出はオプションで良いという入試ポリシーの事を言います。要はスコア提出は必須ではないけれど、希望する生徒は提出しても良いし、もちろん提出をしない場合は合否の判定に不利なる事もありません。スコアを提出するメリットとしては、GPAやAPテストなどのアピールポイントに少し欠ける場合に追加情報として提出することが出来ます。

 

既に高いGPAやAPスコアをお持ちの場合は、敢えてSATの提出をする必要はないと思います。また、あまり出来がよくなかったSATスコアに関しても提出は不要です。あくまでSATスコアは内申をちょっとでも上げるためのサポート材料として添える、というニュアンスで考えておくと良いと思います。その為、提出する・しないの決断は出願者次第ということになります。判断に迷った場合は、高校の進路カウンセラーに相談してみると良いと思います。

 

 

【Test Optionalの大学に出願する場合】

 

以前はSATやACTのスコアは、大学受験をする上で提出が必須となっていましたが、現在はTest OptionalまたはTest Requiredの大学に出願する場合のみ必要となります。つまり、Test Blindの大学に出願する生徒はSATやACTのテストを受ける必要性はありません。

 

大学の入試ポリシーは各大学によって様々で、ここ数年だけでもかなりの変動が見られます。志望の大学に出願される前に、現在の出願条件を必ず確認されることをお勧めします。

ちなみにですが、私が調べた限りでは多くの有名私立大学がTest Optionalの入試ポリシーを実施しているようです。

 

 

【こんな場合はテストスコアを提出しよう】

  • SATやACTで高得点を取得した場合
  • 志望している大学がTest Optionalを実施している場合
  • GPAなどの学業成績に自信がない場合
  • APテストなどのアピール要素が少し不足している場合

 

【Test Blindについて】Test Free

 

Test Blind(Test Free)は、Test-optionalとは違いSATやACTなどの共通テストのスコア提出が不要な入試ポリシーのことを言います。共通テストが苦手な生徒には朗報ということですね。その代わり、合否の判断材料としてGPA、APテスト、推薦状、エッセイ、そして課外活動などが大きく影響しますので、高校を卒業するまでの成績維持が大変重要となります。

 

 

【Test OptionalとTest Blindの大学リスト】 

 

2023年1月現在、全米でTest Optionalを実施している大学は約1800校程あります。大学によってはTest Optionalを一時的に実施している大学、永久的にTest Optionalにすると発表した大学、近い将来Test Blind(スコア提出不要)やTest Required(スコア提出が必須)に変更になる可能性がある大学など様々です。大学を決める上で志望校の大学がどの入試ポリシーを実施しているか重要になりますので、必ず入試ポリシーを確認されることをお勧めします。

 

下記はTest-optionalとTest-Blindの大学のリストが載っているサイトです。ご参考まで。

 

 

【Test Flexibleについて】

 

Test Flexibleは、アメリカの大学に出願する際に、SATやACTの共通テストの他に、IBテストやAPテストスコアも提出することができるという入試ポリシーの事。基本的にSATやACTのテストを受けられなかった場合にIBテストやAPテストのスコアも受け付けるというニュアンスになっていると思います。

 

 

 

<感想>

 

カリフォルニア州の公立大学は、入試ポリシーを『Test-Optional』『Test-Blind』に段階的に変更する、と全米でも一早く発表しました。正直、このニュースを初めて聞いた時は愕然としましたが、共通テストの提出が不要な大学を受験する生徒にとってはかなり有難い発表だったと思います。

 

私が疑問に思ったのは、共通テストのスコア提出なくして今後はどうやって受験生の合否を公平に審査していくのだろうという事。全米にはものすごい数の高校があって、公立高校に関しては義務教育なので受験なしで学区内の高校に入学することができます。つまり学校のレベルが高いところと低いところが存在していて、それぞれレベルの違う高校で取得したGPAが果たして同じ評価として認められるのは良いのかどうかという話。うーん、そう考えると入試で共通テストのスコア提出がある方がよっぽど公平な気がしてきます。

 

我家の下の子が大学受験をする頃には、カリフォルニア州の公立大学はTest-Blindになっているので、SATのスコア提出は不要ですが、カリフォルニア州内のほとんどの私立大学ではまだTest-Optionalを実施してますし、州外にはTest-Required(スコアの提出が必須)の大学もあるので、今後に備えて共通テストを受けておくのも悪くないかもしれません。

 

これはかなり昔の話なんですが、日本の会社で働いていた頃の同僚で、公立高校から慶応大学に行かれた方がいました。その同僚は高校受験の際に2ランクくらい低い地元の高校をわざと受験して、3年間ほぼ学年トップの成績を維持しながら塾には一切通うことなく大学に合格したそうです。うろ覚えですが確か学校推薦だったかと。塾に行かなくても慶應大学に行けちゃうんですね〜ってその当時は軽く聞いていましたけど、今考えると高い塾にお金をかける事もなく、後々の事を計算した上で高校も大学も受験されていたんだなぁ〜って感心してしまいます。元々地頭が良い方だとは思っていましたけど、2ランクも落とした高校に行かれても、周りに流される事なく3年間も成績維持出来たのは本当にすごい事だと思います。アメリカの大学受験でもこの元同僚の受験方法が利用できたらいいですね〜。