今回はアメリカの学資積立の529プランについて少しご説明をしたいと思います。 

 

 

【529プランとは】

 

皆さんは『529プラン』って聞いたことありますか? アメリカに在住でお子さんがいらっしゃる方はよくご存知だと思いますが、529プランは日本でいう学資保険のようなもので、お子さんが生まれてから積立を始めるのが一般的です。要は大学の資金を積立しながら、子供が大学に行く時期までに資金を運用して増やしていくプランのことですね。

 

我家も二人の子供に生後半年から1年前後くらいにそれぞれに口座を作り、何年間か毎月の積立をしていました。それが、ある時期から入金した直後に残高が減っている状態が続いてしまい、積立金を入れれば入れる程損する的なサイクルになっていたので、このまま継続するのはもったいない、ということで途中でストップさせる事にしました。途中解約をすると10%ほど違約金などが発生してしまうため、新たな入金はしない代わりに既に積み立ててある分はそのまま将来使う時まで寝かせておくことに。

 

 

【529プランの重要性】

 

アメリカの大学はとにかく学費が高い!というのはかなり有名な話ですが、公立の大学でも州在住の生徒と他州からやって来た生徒では学費の値段が3倍以上になる場合があります。私立大学に関しては、授業料だけで年間の400万円を超えるところもあり、そこに寮やアパートに住む場合は、更に寮費、アパート代、食費、生活費、教科書代など諸々がのしかかってきます。子供が行きたい大学に受かったはいいけれど、学費とその他諸経費のお金がないという理由で進学を諦める、という悲しい結末にならない為に親はコツコツと積立をして大学資金を蓄えておくのが重要になるわけです。

 

 

【529プランの仕組みと種類】

 

まず529プランはそれぞれの子供の名義で口座を開設し、大学資金を毎月積み立てていくというのが一般的です。また、529プランに積み立てられた金額は、州税で所得控除の対象となりますが、控除がない州もあります。*ちなみにカリフォルニア州は控除なし。

 

 <所得税の控除がない州>

  • カリフォルニア
  • ニュージャージー
  • デラウェア
  • ハワイ
  • ノースカロライナ
  • ケンタッキー
  • メイン

 

【積立金プランの種類】

 

積立金のプランは各金融機関で用意されている様々な選択肢がありますが、投資信託型の投資(Mutual Fund)や、ETFのポートフォリオの商品が中心で、大学に入る時までにその資産を増やしていく目的で運用されます。529プランには下記の2種類があります。

 

<種類> 

  • 貯蓄型: (Savings Plan)

    親や祖父母が加入者となり、子供や孫の名義で毎月学資を積み立てながら、運用していく制度で、最も一般的な学資積み立てプランです。年間の積み立ては子供一人につき$16,000 まで(カリフォルニア州)が上限となっています。(*州によって上限が異なります。)

  • 前払い型:(Prepaid Tuition Plans)

     

    親や祖父母が加入者となり、子供や孫の名義で、加入時点での水準の大学授業料相当額を将来の大学の学資として予め拠出しておく制度。子供が大学にいく時点で、授業料が値上がりしていたとしても、将来の授業料は納付済みとみなされる。ただし、条件として州に在住している者としている場合が多い。

     

    このプランはある程度まとまったお金がある家庭にはとても魅力的なお話ですが、ここ数年の物価と学費の高騰の影響で、この前払い型は採算がとれないからとの理由でプランに入れていない州もあるみたいです。

 

 <前払い型のプランが利用可能な9つの州>

  • フロリダ
  • メリーランド
  • マサチューセッツ
  • ミシガン
  • ミシシッピ
  • ネバダ
  • ペンシルベニア
  • テキサス
  • ワシントン

 

【529プランのメリットとデメリット】

 

<メリット>

  • 大学に関する費用(授業料、教科書代、大学用のラップトップ、寮費など)の為に資金を引き出す場合には、利子は非課税となる。
  • 税制改革によりK - 12(小学校から高校まで)の私立の学校の学費に使うこともできて、年間1万ドルまでは非課税で引き出すことができる。 
  • 大学費用で使い切らなかった場合、または大学進学を希望しないなどの理由で積立金が余ってしまった場合、その積立金は家族間(例えば、兄弟・姉妹間で、祖父母から孫へ)で名義変更をすることできる。
  • 積み立ての期間が長ければ長いほど投資金額が増えていくシステム。→ 要は早く始めればリターンは大きくなるということ。

 

<デメリット>

  • 基本的にアメリカの大学とカナダ、フランス、イギリスを含む限られたヨーロッパの大学にのみ適応されている。その他の承認されていない大学には529プランは利用することが出来ない。→ 日本の有名な大学にはほとんど使えない。(*現在、日本で529プランが使える大学は東北大学のみだそうです。)
  • 学業の必要経費以外の目的で引き出す場合には10%のペナルティーが課せられる。
  • 常に株式市場の状況に左右されるため、利息のつき方などにムラが出る場合がある。
  • 年間の投資限度額が決まっている。上限の金額は州によって違いますので、在住の州のサイトをご確認ください。
  • 州にもよりますが、所得控除がない場合がある。ちなみにカリフォルニア州は所得控除はなし。😭

 

 

<感想>

 

529プランは、確実にアメリカの大学に行く予定のお子さんにはとてもオススメな積立プランだと思いますが、日本の大学に進学する可能性がある子供さんにはお勧めできるプランではないです。我家は受験の準備を始めた頃に、突如子供の進路希望が変わり、日本の大学に進学する可能性が出て来てしまいました。つまり、529プランの積立資金が使えなくなる可能性があるということ。日本の大学の他にもカリフォルニア州の大学もいくつか出願したので、最終的にどちらに決まってもいいように学費の準備はしていましたが、幸いにも下の子供がいるので、上の子供で使わなかった積立金は下の子供に利用できるという点では本当良かったなぁと思います。

 

子供が産まれて大学に進学するまでには結構な年月がありますし、本人がどこの大学に行きたいかなんて高校生になるまでは正直予測もつかない事ですよね。なので、お子さんの進学先によっては積立金が全く使えなくなる可能性もある、という事だけ今は知っておいていただけたら幸いです。途中で日本の大学進学を目指すことになったとしても、私立のアメリカの高校に進学することで積立金を高校の学費に利用する事もできますし、積立金が無駄になる事はないと思います。まだ小さいお子さんをお持ちのご両親も大学費用の積立を始められる前に、529プラン以外のオプションも是非検討してみる事をお勧めします。