今回は『AO入試のメリットとデメリットについて』のお話です。

 

 

 

そもそも私は、ここ1〜2年くらい前までAO入試という入試制度が存在する事を全く知りませんでした。帰国子女入試というのがあるのはなんとなく知っていましたが、AO入試に関しては初耳で、近所でAO入試で日本の大学に合格したお子さんのいるママ友に聞いても半分くらいしか理解できてなかったと思います。私のように聞いたことはあるけど、もっとよく知りたいという方の為になるべく分かり易くAO入試についてご説明していきたいと思っています。 

 

 

【AO入試とは?】 

2021年度からAO入試は総合型選抜に名称が変更

 

そもそもAO入試とは、総合型選抜型入試とか、自己推薦入試 とも呼ばれていますが、あまり馴染みのない方が大半だと思います。AOは『Admissions Office』の略で、学校推薦とか指定校推薦とは違い、条件を満たしている生徒であれば、国内・海外在住の高校生、日本人・外国籍の生徒に関わらず、誰でも出願することができる自己推薦の入試制度です。要は学力だけではなく、高校時代に力を入れていた課外活動や、自分はどういう人間なのか、大学ではどういう専門分野を学んでいきたいのか、その大学を通して将来はどういう進路を希望しているかなどを大学にアピールする事で、大学が求めている人材(人物像)に選考してもらう入試というわけです。将来何がやりたいのかというビジョンが比較的明確で、国際的な場や視点に興味をお持ちの生徒さんにはとてもお勧めの入試だと思います。

 

 

【AO入試で受験するメリット】 

  9月入学に出願する場合

  • 一般的に書類審査のみの大学がほとんどなので、入試の学力試験がない。その為、願書の提出がオンライン(リモートの場所)のみで全て済んでしまう。
  • 学校の成績だけではなく、高校在学中の活動内容(部活やボランティア活動など)や、小論文、共通テストのスコア(SAT/ACTなど)、TOEFL/IELTSなどを総合的に評価した結果で合格者を選考している。
  • 出願の条件に評定平均などの基準を設けていない
  • 一般の大学入試に比べて倍率が低く、受かる確率も高くなる
  • 出願の条件を満たしていれば在住国や国籍に関係なく、誰でも出願することができる
  • 年に2回(4月入学と9月入学)の出願チャンスがある。
  • 英語の授業だけで学士を取得するプログラムがある。
  • 海外出身の生徒や帰国子女の生徒が多数受験しているので、日本にいながら国際色豊かな環境で学ぶことができる。
  • 結果発表の時期が早い

 

【AO入試で受験するデメリット】

  9月入学に出願する場合

  • 学力のみで合否判定がされているわけではないので、大学に入ってから授業についていけないケースも考えられる。 
  • 大学によって併願不可の大学もある。出願する前に必ず志望校のガイドラインを熟読してご確認ください。大学によっては学部内の併願可というところもあります。AO入試の募集要項は必ず全ての項目に目を通しておきましょう。*英語のみのプログラムのある大学はほとんどが併願が可能ですが、念の為大学に直接ご確認ください。
  • 合否の基準などは曖昧な為、入試の対策が難しい。
  • 調査書や推薦状、各種共通テストスコアなど、出願に必要な書類が多いため、準備に時間がかかる。一つの大学につき、最低でも2ヶ月くらい前から準備をされることをお勧めします。
  • 願書を提出してから合否結果が出るまでに2ヶ月くらいかかる

 

 

【AO入試の出願資格】9月入学に出願する場合

  • 国内外を問わず12年以上の学校教育課程を修了または修了予定である者。
    • または国際バカロレアを取得した者、および取得予定の者。
    • または文部科学省が高等学校相当として指定した日本国内の外国系の高等学校を修了、または修了見込みの者。
  • 大学入学時に18歳以上である者。
 
 
【出願に必要になる書類】
  9月入学に出願する場合
  • 入学願書(オンライン願書)
  • 高校の成績証明(9年生〜12年生の前期まで)
  • 卒業または卒業見込み証明書
  • 小論文(大学により課題内容や文字数は異なります)
  • 推薦状(大学により不要な場合もあります。直接大学にご確認ください。)
  • 証明写真(デジタル)
  • パスポートのコピー(二重国籍の生徒は両方のコピー)
  • SATまたはACTのスコア (現在はオプションになっている大学が多い。スコアがある方は必ず提出。オフィシャルサイトから直接大学に送ってもらいます)
  • APテストスコア(オプション制ですがある生徒は申告)
  • TOEFL iBT(オフィシャルサイトから直接大学にスコアを送ってもらう)

 

ダルマ  出願書類は出願期間を過ぎて届いた場合には無効となりますので、余裕を持って提出をするようにしましょう。特に学校にリクエストする各種証明書や推薦状、小論文などは時間がかかりますので、余裕を持って書類の発行依頼をすると良いと思います。

 

 
 
【AO入試の小論文】 
 
学力のみでは合否の判断をしないのがAO入試のいいところでもあり、厄介なところでもあります。AO入試に出願する生徒の多くは、大抵の場合そこそこ成績もよく、共通テストや英語の技能テストもそれなりの点数を取っていて、部活動などにも勤しんできた生徒ばかりが受験していると思います。そこでこの優秀な生徒ばかりの中でどのように合否の審査をするのか? ズバリ、『小論文』なのだそうです。
 
英語の小論文の課題内容や文字数は大学によって異なりますが、英文の課題の内容としては、下記のようなものが多かったと思います。
  • 数多くある大学からその大学を選んだ理由
  • その大学の学部を志望する動機
  • 大学でどのような分野の勉強がしたいか
  • 4年間の大学生活で何をしてみたいか
  • 卒業後の進路について
  • 将来の目標について

 

小論文は書いている生徒の人間性が如実に現れますし、文章から伝わる意志の強さや、大学で学びたい専門分野に対する熱意などが伝わるので、自分をアピールする上ではこれ以上にないチャンスだと私は思っています。日本のCollege Fairでも話していましたが、小論文(Essay)は自己アピールの絶好の機会なので、是非ともじっくり時間をかけて、いい文章に仕上げていただきたいと思います。

 

 

【我子がAO入試を終えた感想】

 
正直、まだ入試の結果が出ていないので何とも言えませんが、我子は日本の一般入試のように一斉に入試共通テストを受けるあの緊張感には絶対に耐えられるタイプではないので、アメリカの大学入試と同様に書類審査のみで出願できるAO入試は合っていたように思います。一つちょっと心残りなのは、コロナ感染拡大の影響で課外活動、例えばボランティア活動などがほとんど出来なかったので、アピールポイントが思ったより少なかったのが残念でした。出来る事なら出願で提出したエッセイももっと時間をかけて最低でも2週間以上はかけてじっくり編集作業ができたら良かったのになぁって思いました。家の子は最後の1週間くらいでバタバタ〜っと書いて終わらせていたので、それだけが唯一心残りです。ショボーン 
 
何事も早めに準備をしておく事で気持ちにも余裕が持てると思うので、出来る方は願書の書類集めの準備にしろ、エッセイの準備にしろ、各テストの申し込みにしろ、早めに計画しながら始めておくことをお勧めします。AO入試は一つの大学の願書を準備するだけでもかなりの労力と時間を費やすことになりますので、併願をされる方は特にスケジュール管理もしっかりしておくと良いと思います。
 
これからAO入試を迎える皆さん、小論文はかなり重要なポイントになるので、心残りのないようじっくり時間をかけて、自分自身を売り込むくらいの気持ちで是非書いてみてください。受験生の皆さんのご健闘を祈っています。
 
 
 
<AO入試に関する過去の関連記事>