プログレッシブBBSの思い出_ピンク・フロイドmemorandum -94ページ目

プログレッシブBBSの思い出_ピンク・フロイドmemorandum

  
【ピンク・フロイドについて語り合おう】
【プログレ、ジャケットの名盤】その他のログを読みながら
プログレッシブ・ロックとオールディーズの魅力再発見の日々……
〈ザ随筆〉での執筆記事も再録準備中.







 この記事は、12月4日(03:41:03)にアップロードされたものに
 大幅な加筆をしています(特集内容の紹介と感想を追加しました)。





この号では、ピンク・フロイドが、はじめてミュージックライフの表紙になりました。
以後はこの雑誌の休刊まで表紙になる機会はなく、国内ではほかの音楽雑誌でも、70年代80年代にピンク・フロイドが表紙に使われた号は見つかっていません

90年代になるとレコードコレクターズやTHE DIG(別冊クロスビート)で特集されたときに表紙になっていますが、それらの写真は60年代70年代のメンバーでした。
ロジャー、デイヴ、ニック、リックの4人で演奏していた時期には、この一冊のほかにはないのかもしれません。

71年の4月下旬に発売された、ミュージックライフ5月号。
タイミング的には、71年1月にアルバム『原子心母』日本盤が発売、2月には映画『モア』が日本で公開、おそらく3月頃には、夏の箱根アフロディーテ(8月6日 - 7日)出演交渉が始まっていたのではないかと思われます。

表紙/ピンク・フロイド

巻頭のグラビアでは、6月来日が決定したシカゴ、3本目の映画撮影進行中のリンゴ・スターなどにまじって、元ソフト・マシーンのケビン・エアーズもカラーで登場。
グラミー賞のセレモニー会場にいる、デヴィッド・キャシディやナンシー・シナトラの姿も。
モノクロのグラビアには、アル・スチュワート、ファミリーなども登場し、広告ページにはフラワー・トラベリン・バンド『サトリ』のアルバムカバーアートもあります。

さて、ピンク・フロイドの特集ですが、計6ページにわたる読み物です。

〈特集 徹底的研究〉
あったかくて冷たくって、SF的で現実的な
              ピンク・フロイドの魅力


P106 - 107

特集タイトルの下のイントロダクションには、
次のように記されています。

もはや我らの地球は,謎の天体ピンク・フロイドに征服されたそうだ。人々は皆,最愛のひとと,宝物の数枚のレコードと,はだしの恋唄の書を持って街へ出よう。雪印のレッテルのあるレコードをかかえて野原へゆくのも世紀末にはふさわしいかもしれない……まってくれ,ぼくは今,愛すべきピンク・フロイドのアルバムを響かせながら謎の天体からやって来る王子様に逢いたい。デイヴ・ギルモアの姿を想い浮べ,大好きなカシニョールのパステルの匂いを感じることが出来るかもしれない。幼稚園の頃のパステルの匂いよ……永遠に。

P108 - 109

P110 - 111


全体の構成(
見出しと小見出しのタイトル)


あったかくて冷たくって、SF的で現実的な
          ピンク・フロイドの魅力
 (桂 宏平

  ・ピンク・フロイドのデビューは美しかった
  ・そしてシド・バレットは地上にとりのこされ、
    船長デビッド(デイヴ)・ギルモアを乗せて
         美少年四人組は空ゆかば……となる
  ・ピンク・フロイドはひょっとして
    歌舞伎をやっているのかもしれない……

ピンク・フロイドを語る時
  必ず出てくるムーグ・シンセサイザーって何だろう?

                     (立川直樹

ピンク・フロイド5枚のアルバムについて
                     ML編集部
  ・サイケデリックの新鋭
  ・神秘
  ・モア
  ・ウマグマ
  ・原子心母

バイオグラフィー
  ・ロジャー・ウォータース(Roger Waters)
  ・リック・ライト(Rick Wright)
  ・ニック・メイソン(Nick Mason)
  ・デイヴ・ギルモア(Dave Gilmour)
  ・シド・バレット(Syd Barrett)

ディスコグラフィー
  ・サイケデリックの新鋭/ピンク・フロイド(OP-8229)
  ・神秘(OP-8743)
  ・モア(OP-80165)
  ・ウマグマ(OP-8912-3)
  ・原子心母(OP-80102)







あったかくて冷たくって、SF的で現実的な
          ピンク・フロイドの魅力
 (桂 宏平


まずは、第1章〈ピンク・フロイドのデビューは美しかった〉を全文引用します。


 「イギリスのニュー・グループ、ピンク・フロイドの本邦デビュー盤です。このグループは流行のサイケデリック・サウンド・グループの男性四人組で、この『エミリーはプレイ・ガール』の大ヒット(ニュー・ミュージカル・エクスプレス紙、6月26日8位)で一躍注目を浴びるようになったグループです。この曲はグループのシド・バーネットの作になるものでバックがサイケデリック風の奇妙な音の連続ですが、ヴォーカルは意外にもまともで楽しみやすいものになっています。B面は牧歌的な歌でなかなかユニークな作品です。」この文章は四年前の日本のある音楽雑誌に載った新譜紹介シングル盤のコーナーで、この頃にはフラワー・ポットメンの「花咲くサンフランシスコ」、もB・グレイプの「オマハ8時5分」、ドノヴァンの「霧のマウンテン」などが同時に初回されています。シド・バレットを読みまちがえたところなどが彼らのこの時代の良さを出しているような気がしてならないのです。


章題(小見出し)とはまったく次元のちがう内容になっているのですが、その傾向は、第2章、第3章にも当てはまることなので、そこには編集部の大人の事情が絡んでいたものと思われます。
ちなみに、
『エミリーはプレイ・ガール』は、ミュージックライフでは67年11月号の新譜コーナーに登場します。そこにはシドの名前は出てきません。光と音のサイコデリック・サウンドをイギリスでは最初に試みたグループです。〉という正当な評価をされていますが、評論家の方々のコメントは絶賛派と懐疑派に分かれていました(詳細はいずれ別の記事にします)。
なお、シド・バーネットという表記は、『エミリー…』のライナーノーツ(林 港氏の解説)にも見られます。ただしそのライナーでは、文の途中に〈この二曲はリード・ギターのシド・バーネット作曲になるものです。〉と出てきますが、文末近くでは〈共にメンバーの一人、シド・バレットが書いたものですが〉と、正しい記載になっています。

第2章〈そしてシド・バレットは地上にとりのこされ、船長デビッド(デイヴ)・ギルモアを乗せて美少年四人組は空ゆかば……となる〉は、ロジャーのSF好きを糸口にして書かれたのでしょう、とてもロマンティックな随想ですが、ある意味では美術論か映画評論のような感じもしました。
冒頭から少し引用します。


シュールリアリズム(超現実主義)をいくら説明するよりも、ぼくはピンク・フロイドの「ウマグマ」「モア」「原子心母」のアルバムを聴いてもらい、ルネ・マグリットの絵を見てもらう方がより理解してくれることだと思う。ルネ・マグリットの絵を見たことのないひとはぜひ5月22日から9月5日(京都)の国立近代美術館へ出かけてみるとよいと思う。ピンク・フロイドの美学が音楽界のみならず、美術の分野とも手をにぎっているのかとわかり、そしてあなたもピンク・フロイド自身になるのが、彼らの音楽に最も共感する事だと思う。
 ベース・ギターのロジャー・ウォータースがSF小説が好きなのも、彼はきっとSFの中に現実の美しさを発見出来るからだろう。青い空を見上げ、ロジャーの澄んだ瞳は青き美しき空の彼方に真紅の薔薇を咲かせることが出来るひとなのだろう。デイヴ・ギルモアの肩をいだき青空を指指し、ほら、薔薇の花が散っていくだろ、ギルモア? するとギルモアは、西の空を見てごらん、小鳥が流れ、星の後を追って飛んでいるよ、紫色の小鳥だ!こんな会話がきっと出来そうなシュールな心を胸に秘めた男たちだろう。


ロジャーのことを彼はきっとSFの中に現実の美しさを発見出来るからだろう。〉と書いていますが、この特集のタイトルの後半〈SF的で現実的なピンク・フロイドの魅力は、ここから採られたのでしょう
なお、さきほどもお話した『エミリーはプレイガール』のライナーノーツには、67年当時のメンバー4人の簡単なバイオグラフィーもあって、ロジャーの項目には〈趣味は日光浴。大きな車。サイエンス・フィクション。〉というふうに載っています。

このあとは、映
画『2001年宇宙の旅』に絡めながら『ウマグマ』と『原子心母』が美学的に語られて、文末はこうなっています。


 ピンク・フロイドがスペース・ミュージックと呼ばれようとプログレッシヴ・ロックとよばれても、フィルモア・オーディトリアムで「原子心母」の組曲を演奏し、アンコールで「アベ・マリア」を演奏しようと何の不思議さもないし、とても彼ら四人の美少年達は自然で純粋だ。


第3章〈ピンク・フロイドはひょっとして歌舞伎をやっているのかもしれない……〉も、絵画の話で始まります。そのあとソヴィエト映画『戦艦ポチョムキン』の監督が日本の歌舞伎に興味を持ったという話になり、舞台演出のことが語られています。冒頭から少し引用します。


 ぼくが半年前、「美術手帖」で、「原子心母」のことにふれ、ピンク・フロイドについて書いた中でも言ったように“謎の天体から鉄腕アトムのように印象派の音楽家四人は、静かにルノアールの草の上に昼食の絵の中へ舞い降りてきた……”と書いたのは決して思いつきだけではない。ルノアール、印象派の画家としてあまりにも有名な、そして彼の代表作「草の上の昼食」の絵は、まさにピンク・フロイドの為にあるようなものだと感じる。
 一見、アクリル盤やステンレスが似合うグループのように思えるピンク・フロイドの音楽、でも彼ら4人の人間的魅力はやはりルノアールやカシニョールのようなやさしさがあると思うし、マグリットやダリのような恐ろしさのあるシュールな絵画と思える。
 (中略)
 ライトショウとラウド・スピーカーを使っているピンク・フロイドのショウも単なる照明、単なる音の大きさではなくて、ピンク・フロイドの芸術の一つになっているものだと思う。
 (以下略)

 

筆者の桂 宏平氏の美術手帖でのコメントは、1971年1月号(美術手帖Vol.337)の特集〈変革のにない手たち〉に含まれているようです(参照資料:http://www.art-blue.jp/bt/)。

第1章、2章、3章を通読して感じることですが、フロイドの世界観を美術的な見地から絵画になぞらえてみたり、筆者の頭のなかに浮かぶ画像を紹介したりする、そういった部分がかなり多くなっています(
タイトルあったかくて冷たくって…の下にある、ロマンティックなイントロダクションもそうですね)。
サウンドの持つ独創的な魅力みたいなのを語ってくれるのだろうと期待してこのページを開いた読者にとっては、意外な内容だったのではないかとも思います(もしかしたら少し前の号でサウンド関連の記事が載ったのかもしれませんが)。
後追いで読むわたしにもそういう期待がありました。でも、マグリットもダリも大好きですから、シュールレアリスムとプログレッシブ・ロックを異世界に住む同胞のように考えてくれているのは、とてもうれしいことです。



ピンク・フロイドを語る時
  必ず出てくるムーグ・シンセサイザーって何だろう?

                     (立川直樹

このセクションは、EL&Pのデビューアルバムの件から始まっています。冒頭から少々引用します。


 ナイスのオルガニストだったキース・エマーソンとキング・クリムゾンのヴォーカリストでもありベーシストでもあったグレッグ・レイク、そしてアトミック・ルースターのドラマー、カール・パーマーの3人がグループを作るというニュースは今からちょうど1年前のイギリスの音楽新聞メロディ・メイカーに大きくのっていた。そして、プログレッシヴな3人のミュージシャンが集まったという大きな期待と一緒にその記事を読んでいくと、とても不思議なことに気がついた。グレッグ・レイクはベース、カール・パーマーはドラムスとなっているのに、キース・エマーソンのところには“frightening effects”(驚異的な効果音)と書いてあった。そんなことから一体、何をやるのかと思って彼らのデビュー・アルバムを心待ちにしていた僕は、「エマーソン・レイク&パーマー」というタイトルのアルバムを聞いて全く驚いてしまった。キース・エマーソンが現在、大きな話題を集めているムーグ・シンセサイザー(Moog Synthesizer)を見事に使いこなしていたのだ。


その後には、ムーグを使ってレコーディングやライブを行なうバンドがふえていることと、シンセサイザーの仕組みについての簡単な解説があります。
海外の情報を取り入れていることもあって、この記事は
、EL&Pやクリムゾンのファン、またバンドを作っている読者にとっても、読みごたえのあるものだったと思います。
あのアルバムではこのように使われていたというふうに登場するのは、EL&P『エマーソン・レイク&パーマー』とキング・クリムゾン『リザード』ですから。
それ以外のバンドやミュージシャンは、名前が出てくるぐらい(ムーディー・ブルース、元ソフト・マシーンのメンバー等)。
でも、文末はフロイドのことでしめくくってあります。


 現在アメリカではトーナス・シンセサイザーと呼ばれるポータブルのシンセサイザーが1万ドルぐらいで発売されていて、これでステージでシンセサイザーを使うこともできるし、ピンク・フロイドなどはテープ・ユニットを4台も持ち歩いているという。こんなことを手がかりにして、いろいろなグループを聞いてみると、とてもおもしろいだろう。



ピンク・フロイド5枚のアルバムについて
                     ML編集部

このセクションでは各アルバムについて10行前後の総評があります。特定の曲をピックアップしているものはごくわずか。
今回の引用は、全体の印象を語る部分からの抜粋にとどめておきます。


 ・サイケデリックの新鋭

“光と音による芸術”を目指す姿勢は今と変わりはないものの、のちにシド・バレットが発表したソロ・アルバムを聴いて分かる通り、サウンド・エフェクトと同様に歌詞が大変に重要なパートを占めていて、多分にシド・バレット色の強さが浮き出ている。

  ・神秘

ピンク・フロイドの神髄ともいうべき神秘的で、かつ幻想的な雰囲気の片りんが、前作よりも更に強く感じられる(特に、タイトル・ナンバー“神秘”は抜群の出来を示している)。

  ・モア

異次元に遊ぶような安らぎ、不安感、SF的雰囲気は、マサに麻薬のトリップ状態を表わすのにピッタリだった。(中略)大変にクールだが、ピアノの音が、生ギターの響きが、フルートの音色が、こんなにもあたたかい味をもっているのかと驚かされてしまった。

  ・ウマグマ

彼らの進歩のあとが充分に伺える。これをきくと憎らしいまでの彼らの、自分達の音楽に対する自信が、このアルバムを産み出したとさえ思える。これまでの最高傑作だ。

  ・原子心母

より無駄のない、デリケートに計算されたファンタジックな世界が広がる。(中略)歌詞がないことも、彼らのこれからに関係があるような気がするが、詞を捨てることは大きな危険だけに大変に気にかかる。確かに一廻りスケールが大きくなった感はあるが、反面、より遠い世界へ行ってしまった淋しさも覚えた。



『モア』のコメントは、フロイドらしいサウンドの特徴を上手く表わしていると思います。
大変にクールだが、ピアノの音が、生ギターの響きが、フルートの音色が、こんなにもあたたかい味を、この特集のタイトルの前半〈あったかくて冷たくっては、ここから採られたのでしょう後年の『おせっかい』『雲の影』『炎』でも、エレクトリックな楽器によるクールであたたかい世界が展開されていることを思うと、このアルバムの価値があらためてわかってくるのでした。

『原子心母』のコメントは慧眼というか、ようやく日本で人気が出てきて、さぁ売り出すぞ、というこの時期に、フロイドの将来を憂慮しているのです……
最初期から聴いてきたベテランの方が書かれたのでしょうね、星加編集長でしょうか。
より遠い世界へ行ってしまった淋しさも覚えた……『炎』以降がリアルタイムだったわたしの場合は、『ザ・ウォール』で感じたことでした。

『サイケデリックの新鋭』のコメントでは〈
サウンド・エフェクトと同様に歌詞が大変に重要なパートを占めていて〉と、シドの作る歌詞のことにもふれていますが、このミュージックライフ71年5月号では、新発売のアルバム紹介コーナー(P168)で、シド・バレットの2ndアルバム(71年3月発売)が取り上げられています。
邦題は『シド・バレット・ウィズ・ピンク・フロイド』。総合評価は★4つ(この号のアルバムコーナーではけっこう上位)。
そこでの紹介文はこうなっています。
 

 ピンク・フロイドのメンバーだったシド・バレット2枚目のソロ・アルバム。一枚目同様、デイヴ・ギルモアとリチャード・ライトが加わっています。
 全曲、バレットのオリジナルで、プロデュースは前記の2人。
 単純なメロディにのせて、ちょっと読んだだけでは何が何だか……というような変わった詩が歌われていて、分からないから二度とききたくないかというとそうでもなく、変なおもしろさに妙に心を奪われるアルバムです。
 一枚目でもそうだったけど、一枚を通してきいてると彼の音楽はバレット自身のユニークな個性なのか、それともトリップしてる時に作ったのか、両方ともとれるようです。
★ドキッとするようなイマジネーションをかき立ててくれる詩が、おもしろいですよ。




バイオグラフィー

これらは、全文を引用します。

  ・ロジャー・ウォータース(Roger Waters)

ベース、ヴォーカル担当。金髪、グレーの瞳。44年9月6日、ケンブリッジ生まれ。デイヴ・ギルモアとは学校時代からのつき合いで、ロンドンで建築学を学んでいた。

  ・リック・ライト(Rick Wright)

キーボード担当・金髪にブルーの瞳。45年7月28日ロンドンで生まれる。建築と音楽を学んでいる時に、ロジャー・ウォータース、ニック・メイソンの2人と知り合う。セシル・テイラー、ジミー・スミスのファン。他に、ハープシコード、ピアノ、ハーモニウム、チェロもプレイする。

  ・ニック・メイソン(Nick Mason)

ドラムス担当。黒い髪とブラウンの瞳を持つ。ロンドンで45年1月27日に生まれ、ロジャー、リックと建築を通じて知り合う。

  ・デイヴ・ギルモア(Dave Gilmour)

リード・ギター担当。ブラウンのヘアーとブルーの瞳。ケンブリッジに生まれ、68年ピンク・フロイドに加わる。それまでは自分のグループを作ってヨーロッパを公演したり、モデルとしても活躍していた。

  ・シド・バレット(Syd Barrett)

67年に脱退したオリジナル・メンバー。リード・ギターとヴォーカルを担当していた。46年1月6日、ケンブリッジ生まれ。黒い髪とグリーンの瞳をもつ。67年に脱退後、ソロ・アルバム2枚をリリースしている。



デイヴ以外の記載は、
67年秋発売の『エミリーはプレーガール』ライナーノーツのメンバー紹介文と半分ぐらい共通するところがありますし、若干不正確なところも含まれていますが、この号の原稿が書かれた71年春には、まだまだ海外からの情報量が少なかったのでしょう。
それでも、表紙も特集もフロイドという号を作ってくれたのですから、やはり、『原子心母』の魅力(と売れ行き)は、半端なものではなかったのでしょうね。
「プログレッシブ・ロック」という言葉が雑誌に登場しはじめたのも、この頃ではないかと思われます。
桂 宏平氏の随想第2章で
は〈ピンク・フロイドがスペース・ミュージックと呼ばれようとプログレッシヴ・ロックとよばれても…〉、立川直樹氏の解説のなかでも
プログレッシヴな3人のミュージシャンが集まった…というふうに登場しています。
『原子心母』(71年1月発売)の帯に、〈ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!〉というコピーが登場したことが発端だとされているのは、みなさまもご存知でしょう。


ディスコグラフィー

このセクションは東芝オデオンのレコード番号と曲目紹介のみです。
誌上には記載がありませんが、この時期までの日本盤LPとシングルの発売時期をまとめておきます。
シングル「光を求めて/追想」は、日本とアメリカのみで発売。「ナイルの歌」は、日本とフランスで発売されましたが、フランス盤B面は「イビサ・バー」です。

「エミリーはプレイガール/黒と緑のかかし」
              67年秋(英国:67年6月)
『サイケデリックの新鋭』 67年12月(英国:67年8月)
『神秘』 69年10月(英国:68年6月)
「光を求めて/追想」 69年(米国:68年8月)
『幻想の中に』(『モア』サントラ) 70年2月(英国:69年7月)
「ナイルの歌/モア主題」

              71年初期(仏:69年、B面「イビサ・バー」)
『ウマグマ』 70年4月(英国:69年10月)
『砂丘』サントラ 70年5月(英国:70年3月)
『シド・バレット 幽玄の世界』 70年5月(英国:70年1月)
『原子心母』 71年1月(英国:70年10月)
『シド・バレット・ウィズ・ピンク・フロイド』
              71年3月(英国:70年11月)


後年のミュージックライフ75年1月号と2月号には〈All About Pink Floyd ピンク・フロイド・サウンド完全分析〉という特集記事が前後編で登場します。
後編の扉ページには〈現在プログレッシブ・ロックの王者として…〉などという一文もあるのですが、ミュージックライフでプログレッシブ・ロック・バンドの記事が充実していたのは、その次の3月号か4月号ぐらいまでだったと思います。
75年初頭のフロイド特集は、『サイケデリックの新鋭』から『狂気』までのアルバムを取り上げていて、個々の収録曲へのコメントもあり、演奏スタイル、録音、エフェクトなどのオーディオ的分析という感じですが、そちらもなかなか読みごたえのある内容でした。機会があればまた紹介したいと思います。





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