ミュージックライフには、読者による人気投票がありました。
毎年8月下旬に発売される9月号に募集要項が載って、投票には本誌綴込の専用ハガキが使われます。
最終的な投票〆切日は翌年の2月1日ですが、それまでの5ヶ月間にも毎号投票ハガキがついていて、中間発表としてそれぞれの号で得票数が掲載されていました。
そうして、2月下旬発売の3月号で最終結果が発表されるのです。
この1972年3月号では、前年度にグループ部門のトップがビートルズからZEPに入れ替わって1年目になるのですが、そのZEPも72年度の中間発表の時期にはトップから落ちてしまいます。
60年代とはちがって来日公演がふえる70年代ですから、それが大きく影響するのですが、来日しなくても強い人気を保持するひとたちもいるわけで、新作のリリースがなくても名前が上位にくるひとたちもいて、なかなか興味深いものがあります。
なお、この72年度からの海外部門は、各セクションの掲載数や順序が変わって、多数のミュージシャンの名前が載るようになりました。新設セクションや名称変更セクションもあります。
71年度の掲載順……
Male Vocalist、Female Vocalist、Group(これらは各30位まで)、Guitarist(15位まで)、Composer(10位まで)、Bassist、Drummer、Pianist or Organist(各15位まで)、その他(5位まで)。
72年度の掲載順……
Group(40位まで)、Male Vocalist、Female Vocalist(各30位まで)、Guitarist、Bassist、Drummer、Keyboard Player(各25位まで)、Other Instrumentarist(5位まで)、Composer(10位まで)、Orchestra(5位まで)。
P60
Group
(前月)〈前年度〉
【1】 (2)〈1〉Led Zeppelin
【2】 (1)〈6〉Crosby Stills Nash & Young
【3】 (3)〈5〉Grand Funk Railroad
【4】 (4)〈8〉Chicago
【5】 (5)〈3〉Creedence Clearwater Rivaival
【6】 (6)〈14〉Pink Floyd
【7】 (7)〈4〉Rolling Stones
【8】 (8)〈16〉Three Dog Night
【9】 (9)〈ー〉Emerson Lake & Palmer
【10】 (10)〈7〉Simon & Garfunkel
【11】 (11)〈19〉Moody Blues
【12】 (12)〈10〉Ten Years After
【13】 (13)〈ー〉Bee Gees
【14】 (14)〈9〉The Who
【15】 (15)〈20〉Santana
【16】 (16)〈11〉Blood Swet & Tears
【17】 (17)〈ー〉King Crimson
【18】 (18)〈21〉Deep Purple
【19】 (19)〈34〉Grass Roots
【20】 (20)〈15〉Doors
【21】 (21)〈24〉Jefferson Airplane
【22】 (22)〈36〉Carpenters
【23】 (23)〈18〉Jesro Tull
【24】 (24)〈ー〉Mountain
【25】 (25)〈ー〉T - Rex
【26】 (26)〈17〉Shocking Blue
【27】 (27)〈12〉Traffic
【28】 (28)〈42〉Poco
【29】 (29)〈ー〉McDonald & Giles
【30】 (30)〈35〉The Band
【31】 (33)〈ー〉Faces
【32】 (31)〈27〉Byrds
【33】 (32)〈ー〉Black Sabbath
【34】 (35)〈37〉Greatful Dead
【35】 (34)〈ー〉Humble Pie
【36】 (37)〈ー〉Badfinger
【37】 (36)〈32〉Beach Boys
【38】 (38)〈ー〉Chase
【39】 (20)〈ー〉Yes
【40】 (39)〈23〉Kinks
P61
Male Vocalist
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈1〉Robert Plant
【2】 (2)〈23〉Neil Young
【3】 (3)〈2〉Paul McCartney
【4】 (4)〈13〉John Lennon
【5】 (5)〈10〉Mark Farner
【6】 (6)〈4〉John Fogerty
【7】 (7)〈3〉Mick Jagger
【8】 (8)〈7〉Joe Cocker
【9】 (9)〈35〉James Taylor
【10】 (10)〈28〉Graham Nash
【11】 (11)〈20〉Rod Stewart
【12】 (12)〈38〉Elton John
【13】 (13)〈22〉George Harrison
【14】 (14)〈30〉Stephan Stills
【15】 (15)〈32〉Neil Diamond
【16】 (16)〈17〉Jim Morrison
【17】 (17)〈41〉Robert Lamm
【18】 (18)〈24〉Elvis Presley
【19】 (19)〈5〉Tom Jones
【20】 (21)〈46〉Cat Stevens
【21】 (20)〈15〉David Clayton-Thomas
【22】 (23)〈18〉Bob Dylan
【23】 (22)〈11〉Roger Daltrey
【24】 (25)〈ー〉Greg Lake
【25】 (24)〈8〉Donovan
【26】 (26)〈37〉Ian Gilan
【27】 (27)〈41〉Peter Cetera
【28】 (29)〈33〉Chuck Negron
【29】 (28)〈26〉Paul Simon
【30】 (30)〈6〉Scott Walker
Female Vocalist
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈ー〉Carole King
【2】 (2)〈2〉Janis Joplin
【3】 (3)〈4〉Melanie
【4】 (4)〈1〉Mary Hopkin
【5】 (5)〈3〉Grace Slick
【6】 (6)〈5〉Mariska Veres
【7】 (7)〈7〉Sylvie Vartan
【8】 (8)〈28〉Buffi Sainte-Marie
【9】 (9)〈9〉Joni Mitchell
【10】 (10)〈6〉Diana Ross
【11】 (11)〈42〉Karen Carpenter
【12】 (12)〈33〉Yoko Ono
【13】 (13)〈8〉Dionne Warwick
【14】 (14)〈15〉Aretha Franklin
【15】 (15)〈19〉Daniel Vidal
【16】 (16)〈16〉Gigliola Cinquetti
【17】 (17)〈17〉Judy Collins
【18】 (18)〈18〉Laula Nyro
【19】 (19)〈ー〉Rita Coolidge
【20】 (20)〈13〉Lulu
【21】 (22)〈30〉Sandy Denny
【22】 (21)〈14〉Joan Baez
【23】 (23)〈ー〉Linda MaCartney
【24】 (24)〈39〉Tina Turner
【25】 (26)〈ー〉Sonja Kristina
【26】 (25)〈ー〉Freda Payne
【27】 (27)〈ー〉Kate Taylor
【28】 (28)〈ー〉Mary Clayton
【29】 (29)〈25〉Bonnie Bramlett
【30】 (31)〈48〉Sher
Guitarist
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈1〉Jimmy Page
【2】 (2)〈2〉Eric Clapton
【3】 (3)〈3〉George Harrison
【4】 (4)〈9〉Mark Farner
【5】 (5)〈19〉Terry Kath
【6】 (6)〈7〉John Fogerty
【7】 (7)〈17〉Neil Young
【8】 (8)〈4〉Alvin Lee
【9】 (9)〈8〉Keith Richard
【10】 (11)〈5〉Jeff Beck
【11】 (10)〈6〉Jimi Hendrix
【12】 (12)〈12〉Stephan Stills
【13】 (13)〈11〉John Lennon
【14】 (14)〈18〉Dave Gilmour
【15】 (15)〈21〉Ritchie Blackmore
【16】 (16)〈25〉Mick Taylor
【17】 (18)〈22〉Carlos Santana
【18】 (17)〈13〉Johnny Winter
【19】 (19)〈28〉Paul Simon
【20】 (20)〈10〉Pete Townshend
【21】 (21)〈19〉Justin Hayward
【22】 (22)〈24〉Jerry Garcia
【23】 (24)〈23〉Frank Zappa
【24】 (23)〈30〉Roby Krieger
【25】 (25)〈17〉Peter Green
Bassist
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈1〉John Paul Jones
【2】 (2)〈2〉Paul MaCartney
【3】 (3)〈5〉Mel Schacher
【4】 (4)〈3〉Jack Bruce
【5】 (5)〈9〉Peter Cetera
【6】 (6)〈6〉Stu Cook
【7】 (7)〈ー〉Greg Lake
【8】 (8)〈13〉Roger Waters
【9】 (9)〈4〉Bill Wyman
【10】 (10)〈14〉Jim Fielder
【11】 (11)〈18〉Andy Fraser
【12】 (12)〈7〉Leo Lyons
【13】 (13)〈11〉John Entwistle
【14】 (14)〈ー〉Felix Paparaldi
【15】 (15)〈ー〉Peter Giles
【16】 (16)〈8〉Tim Bogerd
【17】 (18)〈16〉John Lodge
【18】 (17)〈19〉Calvin Samewell-Smith
【19】 (19)〈21〉Jack Cassidy
【20】 (20)〈10〉Noel Redding
【21】 (21)〈18〉Klaus Voorman
【22】 (22)〈22〉Rick Danko
【23】 (24)〈29〉Carl Radle
【24】 (23)〈ー〉Tom MaGuinness
【25】 (25)〈12〉Rick Grech
Drummer
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈1〉Ringo Starr
【2】 (2)〈3〉John Bonham
【3】 (3)〈7〉Don Brewer
【4】 (4)〈10〉Daniel Seraphine
【5】 (5)〈2〉Ginger Baker
【6】 (6)〈4〉Doug Cliford
【7】 (7)〈8〉Bobby Colomby
【8】 (8)〈ー〉Carl Palmer
【9】 (9)〈5〉Chalie Watts
【10】 (10)〈18〉Nick Mason
【11】 (11)〈6〉Keith Moon
【12】 (12)〈ー〉Michael Giles
【13】 (13)〈16〉Rick Lee
【14】 (14)〈13〉Mike Shrieve
【15】 (15)〈17〉John Hiseman
【16】 (16)〈9〉Carmne Appice
【17】 (17)〈22〉Dallas Taylor
【18】 (18)〈15〉John Densmore
【19】 (19)〈21〉Gream Edge
【20】 (20)〈12〉Buddy Miles
【21】 (21)〈24〉Ian Paice
【22】 (23)〈29〉Jim Gordon
【23】 (22)〈33〉Keef Hartley
【24】 (26)〈23〉Karen Carpenter
【25】 (24)〈11〉Mitch Mtchel
Keyboard Player
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈4〉Keith Emerson
【2】 (2)〈13〉Elton John
【3】 (3)〈18〉Robert Lamm
【4】 (4)〈1〉Paul MaCartney
【5】 (5)〈3〉Stevie Winwood
【6】 (6)〈7〉John Paul Jones
【7】 (7)〈ー〉Leon Russell
【8】 (8)〈2〉Al Kooper
【9】 (9)〈8〉Nicky Hopkins
【10】 (10)〈16〉Rick Wright
【11】 (11)〈9〉John Lord
【12】 (12)〈ー〉Carole King
【13】 (13)〈6〉Ray Manzarek
【14】 (14)〈5〉John Mayall
【15】 (15)〈11〉Chick Churchill
【16】 (16)〈17〉John Lennon
【17】 (17)〈19〉Jim Greenspoon
【18】 (18)〈21〉Stephan Stills
【19】 (19)〈20〉Dick Harigan
【20】 (20)〈10〉Sly Stone
【21】 (22)〈26〉Gary Broocker
【22】 (21)〈25〉Booker T Jones
【23】 (23)〈14〉Billy Preston
【24】 (24)〈ー〉Ian McDonald
【25】 (26)〈ー〉Rick Wakeman
Other Instrumentarist
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈7〉James Pankow
【2】 (2)〈1〉John Mayall
【3】 (3)〈4〉Al Kooper
【4】 (4)〈2〉Ian Anderson
【5】 (5)〈10〉Lee Loughnane
Composer
(前月)〈前年度〉
【1】 (1)〈1〉Lennon=MaCartney
【2】 (2)〈2〉Paul Simon
【3】 (3)〈11〉John=Taupin
【4】 (4)〈22〉John=Taupin
【5】 (5)〈3〉Jagger=Richard
【6】 (6)〈6〉John Fogerty
【7】 (7)〈9〉George Harrison
【8】 (8)〈18〉Robert Lamm
【9】 (9)〈12〉John Lennon
【10】 (10)〈15〉James Taylor
Orchestra
(前月)
【1】 (1) Paul Mouriat
【2】 (2) Francis Lai
【3】 (3) Burt Bachrach
【4】 (4) Percy Faith
【5】 (5) Henry Mancini
P64
最終結果発表の後には、ニッポン放送のプロデューサー亀淵昭信氏とミュージックライフの星加ルミ子編集長による総評コメントが掲載されています。
最初に、亀淵昭信氏のお言葉から。中間部分を引用します。
結果に見る率直な感想 亀淵昭信
(前部分略)
さてお立ち合い。全体を見渡して何が悲しいかといって、“グレイト・B”、過去に数年に亘って必ずベスト3にランクされていたビートルズの名が完全に消えてしまったこと。個人部門に、メンバーそれぞれの名が、そして作曲家セクションに“レノン=マッカートニー”の名が見えますが、“BEATLES”というグループはもう何処にもないのであります。このビートルズに替るグループ、アーティストがいないこと、強力な新人グループ、アーティストの台頭がなかったことなどが、なんとなく今年の人気投票結果にポッカリ大きな穴をあけてるような気がしてなりません。
グループ部門:昨年と同じくツェッペリンがトップ、C.C.R.、ストーンズが下降、3ドッグ・ナイト、ピンク・フロイドのランク・アップ、それに昨年は全く姿を見せなかったE.L.P.の急上昇が目をひきます。
男性・女性歌手部門:トム・ジョーンズ、それにスコット・ウォーカー、クリフ・リチャード、ドノバン等がヒット曲の関係から姿を消し、ヤング、ナッシュ、それにジェイムス・テイラーがグンと人気急上昇。プラントさんも来年はウカウカしていられないのです。
(中略)
ベーシスト、ドラマー、キーボード、その他の楽器部門:(中略)エルトン・ジョン、レオン・ラッセルの2人を除けば、ほとんどが現在人気上昇中のプレイヤーとして活躍中の人ばかり。ドラマー部門第一位リンゴ・スター、余りまとまった動きをしていないようなのに第一位、貫録といおうか、それともビートルズの残した遺産なのでしょうか? もう一つ、人気投票だからしかたないにしても、プレイヤーの力というのは一年たらずの間に落ちるはずないのに、グループの人気が落ちると、そのメンバーのランクもグーンと落ちる。例えばドアーズのレイ・マンザレク。ジム・モリソンが亡くなった為、グループの人気も下降(昨年14位)、そしてレイもキーボード部門6位からベスト10圏外へさようなら、という具合。さみしいことです。
コンポーザー部門:今年新設された部門、なんといってもジョンとポールのコンビが他をグーンと引き離して独走なのであります。ジョンは一人で9位に、ジョージ・ハリスンが7位に、という具合、元ビートルズ勢が強いのであります。しかし、1位のレノン=マッカートニーの新作は一つもないのに、大活躍したジョン=トーピンは第4位、人気投票というのはホントにおもしろいものです。
(以下略)
(P64より引用)
ストーンズやビートルズが青春だった方々には、時代の変化を感じる結果だったと思います。
でも、リンゴ・スターだけはドラマーのトップを保持というのは、不思議なんですけどカッコいいというか……。
言い方を変えれば、グループ部門のトップZEPでは個人部門でジョン・ボーナムだけが1位になれなかったということなんですが、この方の命日はわたしの誕生日でもあるということで、将来の結果も気になってくるのでした……(機会があればまた別の年度の分も、と考えています……)。
星加編集長は、この72年度の投票受付開始からのプロセスを紹介しています。こちらからも中間部分を少し引用します。
中間成績にみる経過と推移
星加ルミ子/本誌編集長
(前部分略)
6ヶ月間の中間発表をふり返ってみると、実に明確な事実に気が付かれると思う。第1回中間発表が10月号で9月20日に発売になっているが、その頃はグランド・ファンク・レイルロードが来日した後であり、何となく世の中がGFRのコンサートの話題でもちきりだったせいか、この時のグループ部門のトップにはGFRが圧倒的得票を得てランクされた。しかし、翌11月号ではGFRは3位に落ち、C.S.N.&Yが首位を占めている。そして12月号では10月に来日したレッド・ツェッペリンが1位に躍進。
来日グループが、その圧倒的多数の票を獲得しているわけだ。やはりナマのステージに接すると接しないでは、反応も違うことがこれで証明されたわけだ。それにしても、C.S.N.&Yの人気ぶりはすばらしいものである。日本へは来ていないにも係らず、これだけの人気を保持しているということは、彼等一人一人が、今日のスーパースターであることを意味している以外の何ものでもない。
男性歌手部門に目を転じると、(中略)特筆すべきは、恒例のようにその名を連ねていたクリフ・リチャードの名前が圏外に去ったことである。もうひとつは、案に相違して、シンガー=ソングライターの存在がそれほどまだ世に定着していないということである。自分で作ろうと作るまいと、ヴォーカルはその歌い方、説得力ひとつで決まるということを改めて知らせてくれたような結果だった。
(中略)
インストゥルメンタル部門は、グループ部門の拡大版で、やはり来日したミュージッシャンが強味をみせている。ギタリストの上位にマーク・ファーナーがいたり、ベーシストの上位にポール・マッカートニー、キーボード・プレイヤーの上位に同じくポールがランクされているのは、ユニークな結果で面白い。
今年から部門を拡張し、コンポーザー(作詞・作曲家)部門を新設したが、ここにもシンガー=ソングライターと呼ばれている連中の名前があまり表われないのは残念だ。コンビを解消しても、作品が存続している限り、ランキングの対象になり得るようにしてみた。
(以下略)
GFRに替わってトップになった頃のCSN&Yは、ニール・ヤングのソロアルバムが出ている等で、新作がコンスタントに続いていたようです。
この年度はシンガー=ソングライターが注目を集めるようになった時期ではあるのですが、フォークの延長上でじっくりと聴かせる系よりも、聴きながら体でリズムを刻みたくなるロック系が、やはりミュージックライフの本道だったのでしょうね。
本誌の表紙や背表紙には、毎号のように〈ポップ・ジェネレーションのための ミュージック・ライフ〉というキャッチコピーが載っていたのを記憶している方もいらっしゃるでしょう。それが〈ロック・ジェネレーションのための ミュージック・ライフ〉に変わるのは、この号から1年後、73年4月号からです。
ふたたび亀淵昭信氏のことになりますが、この方は、毎号のシングル盤新譜紹介コーナー〈ブレイクアウト・シングル これがヒットだ!〉の選考委員も担当していました。
選考委員はほかのラジオ局のプロデューサーや星加編集長を含む計7人。この3月号P118には、読者への呼びかけで〈次回のブレイクアウト・シングルは亀淵昭信氏のDJ担当により、2月23日(水)2時より銀座三越店2階アーティスト・ステージに於いて行われます。皆さんふるってお集まり下さい。〉と記されていますから、選考の様子をライブで楽しめた時期なのですね。
そのほかにも時折インタビューやエッセイなどでコンスタントに亀淵氏の名前が登場しているのですが、この3月号では亀淵氏がインタビュアーになっている、〈来日したルー・アドラーにきく〉が、計3ページにわたって掲載されています。
新年早々、1人の素晴らしいゲストを迎えることが出来た。アメリカの音楽業界でも屈指のレコード・プロデューサーとして、又タレント・スカウトとして君臨しているルー・アドラーがひょっこりやって来たのだ。たった1週間の日本滞在だったが、ルー・アドラーを尊敬してやまない亀淵昭信さんにインタビューアをお願いし、アドラー自身も我が編集部に足を運んでくれた。
ルー・アドラーといえば、ジャンとディーン、バリー・マクガイヤ、スコット・マッケンジー、ジョニー・リバース、エバリー・ブラザース、ママス&パパス、そしてキャロル・キング、メリー・クレイトンを発見し、レコード・プロデュースをした人で、アメリカのポピュラー音楽界では、キャリアといい、その才能といい、フィル・スペクターと勢力を2分している。
亀淵 さっそくですが、今回の突然の来日はどんな目的ですか?
アドラー 一口でいえば日本のレコード・マーケットを自分の目で見たいという、長年の希望を実現させたということです。何といっても世界で2番めの誌上ですからね。
亀淵 ご自分で実際にごらんになっていかがですか?
アドラー 何せ1週間弱の滞在ですから、具体的に何も出来ないと思いますが、大変興味のあるマーケットですね。キャロル・キングが、キング・レコードさんのすばらしいプロモーションでスターになりつつあるのを知って1番うれしく思いました。
キャロル・キングの話題の後は、アドラー氏の経歴が出会ったミュージシャンたちのことも含めて詳しく語られます。ママス&パパスのジョン・フィリップスといっしょにモントレー・ポップ・フェスティバルの企画と実行にたずさわったことも出てきます。そして彼自身のプロデュース方法で大事にしていることを語った後には、こんな話題も……。
亀淵 ぼくはジャンとディーンの大変古いレコードを持っているんですが、それには日本語で“イチ・ニ・サン・シ”と声が入っていますね?
アドラー えーっと、さぁどのレコードだったかな。日本にはいたことがあるんですよ。横須賀に軍の駐留で来てたんです。でも横須賀からあまり出ませんでしたから他の所は全く知らないんです。あっ、思い出しましたよ。そんな貴重なレコードを持ってるなんて、あなたはスバラシイ人だ。
(P104より引用)
アドラー氏は、この当時34歳でした。亀淵氏は30歳です。
インタビューは、このあと、今後のポップ・シーンの展開予想へと話題が移ってゆきます。
ふり返ってみると、この70年代前半というのは、亀淵氏がこの年度の人気投票の結果にコメントする中で〈ビートルズに替るグループ、アーティストがいないこと、強力な新人グループ、アーティストの台頭がなかったことなどが、なんとなく今年の人気投票結果にポッカリ大きな穴をあけてるような気がしてなりません。〉と言われているように、大物不在の時期なのです。
アドラー氏が日本のマーケットを気にかけていたのも、これからのポップ・スター、ロック・ミュージシャンは、どういう傾向なら売れるのか、そのヒントを得たいということだったのでしょう。
70年にビートルズが解散し、75年にクイーンが登場するまでの数年間、ミュージックライフでは、ひとつの号で特定のバンドやミュージシャンの写真や記事が10ページも20ページも使われるようなことは、めったになかったのでした。
GFR、ピンク・フロイド、ZEPなどは、来日直後の号ではそうなりましたが、それ以降の号もずっとそうだったというわけではありません。
ですから、ちょっとマイナーなひとたちや新作の出ていないベテランのひとたちでも意外と載っていたりして、じつに多彩なミュージシャンが数多く誌面にとりあげられていたのです。
この72年度から人気投票の掲載枠がひろがって、グループ部門や楽器セクションでの掲載数がふやされたことも、この時代ならではの百花繚乱ぶりを反映しているのでしょう。












