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さくらインターネット(3778)の田中社長の事業に対する考え方が、非常によく出ているのが来秋稼働予定の石狩データセンター(仮称)である。


従来、日本においては都市部にデータセンターを建設することが常識であった。そのため同社もこれまでは、東京、大阪にデータセンターを構えていた。同業のビットアイルが2009年2月に稼働を開始した新データセンターも、所在地は東京都文京区である。


しかし、米国を例にとれば、データセンターは郊外が常識となっている。コストを考えれば当然、郊外が安く、データセンターが都市にある必然性がないことによる。


それでは、なぜ日本では都市にあるのか?これは日本では物事をソフトではなく、ハードがコントロールしていることによると考えられる。


つまり、日本人はサーバやネットワークの機能面より、サーバの物理的な存在に安心感を持つということではないかと思われる。ちょうど銀行が事業の中身より保有不動産を重視して融資をするようなことに似ていよう。


しかし、近い将来、海外のデータセンターが本格的に日本でビジネスを始めた場合、彼らが低コストの海外にデータセンターを持ち、そのコストで勝負を挑んでくるわけである。そのときに今のようなコストであれば、到底日本企業は太刀打ちできなくなると考えられる。


実は、このことは将来ということではなく、すでに始まっているものである。それに対抗して、同社が建設する石狩データセンターは、従来と比較して運営コストが大きく低下するセンターとなっている。それでも業界には、何でそんなところに、というような意見もあるようだが。


まず、土地価格はただに近い。実際の価格は3haで3.6億円ということであるから、1㎡当たり12万円となる。これはほとんどがこの工業団地を造るためのインフラコストのようなもので、土地価格は都会に比べればただ同然と言えよう。


そのため当然のことながら、自社でビルを建てるにしても、賃貸するにしても土地関連のコストは大幅に低下する。


石狩にデータセンターをおくもう一つの理由は電力コストである。IT機器の運転にかかる電力コストはロケーションとはあまり関係がないが、データセンターではそれ以外に空調の電力コストが大きい。


一般的に日本ではデータセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った指標、PUEは2.0程度である。つまり、データセンターの運営にはIT機器の消費電力の2倍の電力を必要とすることになる。


このPUEを石狩データセンターでは1.11程度に下げることができると考えている。これは、北海道の外気を全面的に取り入れ、サーバを冷却する方式を採用するためである。


このようなもろもろのコストを考慮すると、同社の試算によれば、石狩データセーターの運営コストは従来の都市型と比較して47%の水準となるようである。


石狩データセンターは総コストが低いだけではなく、コストの発生パターンもリスクが極小化するようになっている。


都市型のデータセンターでは、土地を有効に活用するために高層ビルを建てることになる。当然、最初の売上高は小さなものであるが、ビルは1棟まるまる立てなければならない(賃貸としても同様)。しばしば、データセンター単位で見ると、初年度に赤字となるのはこのためである。


石狩データセンターでは最初に広大な敷地の10分の1程度の面積に、平屋を1棟建て、売上の増加に合わせて棟数を増やすため、コストがなだらかな上昇となる。



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(決算説明会資料より。上の図はクリックすると拡大できます。)


以上のように石狩データセンターはトータルコストが低いうえ、コストの増加がなだらかであることによって、リスクも従来型に比べて大きく軽減されることになる。


このようなコスト戦略によって、同社は海外企業とも渡り合えるコスト競争力の確立を目指しているのである。



なお、同社は10月15日に2011年3月期累計第2四半期決算を公表しており、その概要をブログに掲載している。


第2四半期決算



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