まずは、1日1回、株式ブログランキングへの応援クリック、よろしくお願いいたします。



株式投資をファンダメンタルから極める-バナー



伊藤園(2593)の普通株のPERは30倍弱となっている。この30倍というPERは食品株内の比較でかなり高いものである。すべてのセクターに当てはまるわけではないが、食品株のような比較的業績が安定的なセクターでは、業績が悪化した局面ではPERは高めに評価されがちである。これは、やがてある程度の水準まで業績が戻る期待感が強いためではないかと考えられる。



株式投資をファンダメンタルから極める-20100710-1

(この表はクリックする拡大できます)


かつての同社の収益性を思えば、それもある程度は納得できる。しかし、過去9回にわたって見てきたように、現時点の飲料業界の環境はかつてと比較してかなり厳しい状況にある。結果的に値上げができなかったことによって、他の分野の食品企業のようには前の収益水準まで戻ることは容易ではない。


同社の株価は2000年代の初旬にPER100倍まで評価されたことがある。これは1990年代の成長性が高く、1990年代末から2000年代初旬にかけて一握りの成長株に異常なプレミアムがついたことがあったためである。現時点のPERが高いことの背景として、かつてのPERが高かったこともあろう。どうしても、株価は過去に引きずられる面があることによる。


以上から考えると、今後成長性が急速に高まる局面がなければ、なかなか高いリターンを得るのは難しいのではないかと考えられる。そのような局面があるとすれば、以前に述べたように、緑茶飲料や野菜飲料の市場が大きく伸びることが必要であろう。



さて、同社の株を考える場合のひとつの面白さは優先株の存在である。優先株は議決権がない代わりに、配当が普通株より10円多くなる設定となっている。2007年9月にわが国の優先株第1号として華々しく登場したが、市場から無視される状況が続いている。つまり、普通株に対して優先株がかなり割安の状況に放置されているのである。


この背景として一番大きなものは優先株が市場インデックスにカウントされないことが挙げられる。機関投資家が運用する資産のうち、インデックス系のファンドからは除外せざるを得ない。


また、アクティブに運用するファンドであったとしても、議決権がないことを委託者に説明しなければならない。つまり、この会社は株主の利益を考慮して経営されているので、投資に当たって議決権がなかったとしても問題が発生しないことを説明しなければならない。これを論理的に説明することはかなり労力を要する作業であることから、最後はやっかいだから保有するのはやめておこうということになる。


国内の投資家と議論していても、そのような結論を出していて、あえて保有しようというところはあまりない。これはやはり国内機関投資家の事なかれ主義が影響していると思われる。


逆に海外の投資家からは論理的に考えて割安であるから保有しているが、なぜ上がらないのかという質問をよく受ける。私自身も上のような国内機関投資家の事情を除いて考えれば、むしろ優先株のほうが普通株より上であってもおかしくはないので、そのように答えるのだが、なかなか株価は上昇しない。


優先株の現時点のPERは16倍程度であり、配当利回りも5%ある。もちろん、配当利回りが5%を上回る企業は市場に多く存在している。しかし、同社のように当面の業績が安定的であり、キャッシュも豊富な企業はそれほど多くはないだろう。短期的なリターンはなかなか読みにくいが、長期的に投資するという意味では魅力的な株価水準ではないかと思われる。


また、どの時点で実現化するかは全く不明であるが、日本の市場において第2号の優先株が発行される条件として、少なくとも第1号である同社の優先株が普通株と遜色のない水準で評価される必要があろう。



株式投資をファンダメンタルから極める-20100710-2

(このグラフはクリックすると拡大できます。)


そうであるならば、優先株をインデックスに組み込むような改善提案がなされてもおかしくはなかろう。結果的に第1号発行後、すでに丸3年が経とうとしており、配当利回りで恩恵を受けつつ長期スタンスで保有し、どこかの時点で優先株市場のてこ入れの恩恵を受ければ、結果的には期待を上回るリターンが得られるのではなかろうか。



以上、10回にわたって伊藤園の企業分析を行ってきたが、今回でひとまず終了とする。ただし、同社株はここまで述べてきたように、食品企業の中でもユニークな企業であることから、今後も継続的にフォローして行くつもりである。

 当ブログでは、皆さんの質問や意見を随時受け付けますので、気軽にコメントしてください。


 この記事の内容が役に立ったと思ったら、下のバナーをクリックしてください。


 
株式投資をファンダメンタルから極める-バナー



【追伸:無料レポート差し上げます】


「株式投資で資産を作る方法」の無料レポート差し上げます。

詳細はこちらをご覧ください。→無料レポート詳細