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前回まで12回にわたってキユーピーを例に、企業分析の方法について解説してきた。ただし、6回目まではキユーピーを題材にしてはいるものの、企業分析の一般的な手法の解説であるので、実際のキユーピーの分析は第7回目からとなる。
ということで、第7回目から12回目までの6回分を整理すると以下のようになる。
1.キユーピーの業績は安定的であるはずの家庭用食品メーカーでありながら、利益のブレが大きいこと。
2.キユーピーの業績と株価には連動性が認められる。ただし、業績ピークに対しては株価が先行し、業績のボトムに対しては株価が遅行する。
3.キユーピーの業績は、同社の二大原料である鶏卵と大豆(大豆油)の価格と逆相関性がある。ただし、タマゴ事業の主原料である鶏卵価格の影響は短期的である。一方、大豆価格に対しては、長期的かつ遅行的となっている。
4.株式投資の観点から見た場合、業績悪化局面では株価が先行するため、業績の変化が投資指標としては使いにくい。一方、業績回復局面では大豆価格が株価に先行することから、投資指標として使える可能性がある。
ここで、いくつか付加的なポイントについて述べることにしよう。
長期的に考えれば、PBRが0.9倍を割り込んだ局面が買いタイミングであり、中期的には大豆価格がピークからかなり下落した時点で、株価がBPS近辺にあるときが買いタイミングとなる。ただし、その時点で株を仕込んだ場合は、大豆価格をトレースすることによって、微調整をすると効率が上がる。仮に、前第3四半期決算発表前の大豆価格が下がったところで投資したとする。その時点での株価は1,000円弱であった。その後、9月30日に決算発表があり、株価は1,080円まで上昇した。しかし、その後10月の中旬になると、大豆価格は再び大きく上昇している。よって、その時点で一旦売却しておくというような微調整が有効である。
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実は、ここで同社の株価をPBR割れで買える根本的な部分について考えておかなければならない。つまり、株価がBPSを大きく下回らない株と、場合によってはPBR0.3-0.5倍まで下がる株がある。その差を十分に分析しておかなければならないからである。企業分析を行う場合の切り口にはいくつかあるが、代表的には業績のシクリカル性と成長トレンドの分析がある。シクリカル分析は、キユーピーでも見たように中期的に業績の循環をもたらす要因を発見することである。この要因を把握し、その要因が株価に先行するようであれば、投資に用いることができる。一方、トレンド分析は、長期的な業績のトレンドの背景を探るものである。
トレンド分析とシクリカル分析を比較すると、シクリカル分析は企業分析の中級に相当し、トレンド分析は上級から超上級となる。キユーピーの場合、下の二つの画像、業績と大豆価格からわかるように大豆価格と業績にはざっくりと逆相関性がある。これがシクリカルな見方である。一方、現時点の大豆価格はかつてほど低い水準にあるわけではないが、業績はかつて大豆価格が低かった時期と同水準となっている。これが、シクリカルな影響を除いたトレンドであり、何らかの成長ファクターが存在していることになる。
(この画像はクリックすると拡大できます)
現在市場は、同社の業績の現時点における好調さは大豆価格の下落が主因であると考えている。しかし、同社はそれ以外の隠れた成長ファクターを持っており、大豆価格が現状から変わらなかったとしても、利益は増加する可能性があると言える。さらに、大豆価格が現状より低下すると、より以上の利益が出る。そこにいたって、初めて市場は同社の成長性を再認識し、評価、例えばPERを高めるのである。この背景にある成長性は、すでに述べたように企業分析の上級編に入るので、その方法論はあえて触れず、私の現時点で考えている結論のみ簡単に述べて、キユーピーの企業分析を終わりとしたい。
同社の最大の強みは、日本の古き良き時代の家族経営的スタイルをいまだに維持できていることと考えている。その結果、報酬は必ずしも高くはないが、多くの社員が会社に忠誠を尽くし、会社も社員に対して温情主義を貫いているように見える。そのため、社員は骨身を削って、仕事をするのである。かつて、メーカーが小売業の棚卸を手伝い借り出され、夜遅くまで付き合って、ふと顔を上げると残っているのは、キユーピーとハウス食品だけだったという逸話を聞いたことがある。しかし、最近はそのハウス食品もその場にはすでにいなくなっているらしいのである。しかも、メーカーの営業でありながら、交際費も制限され、転勤の折には、小売業から接待されてしまうような珍しい会社である。この表現が本当に100%正しいかどうかの保証はないが、やはり卸売業の話でも本当にキユーピーの社員は頑張るという話を耳にする。
一方、それがビジネスに実際どう出ているかというと、粘り強く、一つ一つのビジネスで着実に利益を上げることによって、会社全体としても着実な利益成長が可能となっている。スタートはマヨネーズであるが、マヨネーズの隣接市場であるドレッシングでもトップシェア、マヨネーズの原料のタマゴを用いたビジネスでもダントツトップ、マヨネーズ、ドレッシングを用いて食する野菜の分野でも、企業が参入しているカット野菜ではやはりトップとしぶとい。特に、カット野菜は年率二桁成長している市場であるが、大手企業でこの市場で存在感があるのは同社だけである。
しかも、それぞれの事業で着実に利益を上げているのである。日本の企業は、十分な利益を上げていないのに、売上高が多いことを喧伝する企業が多い。そのような企業にはキユーピーのつめの垢でも飲ませたいものである。
意外と、マヨネーズ、ドレッシング以外ではそれほど知名度はなさそうなのだが、少なくない成長事業を抱えていることが同社の強みである。よって、そのような会社であるゆえ、PBRが1を大きく割り込む可能性が低いのである。ただし、特に食品会社の中でも同社の強みは見えにくく、なかなか核心には到達しないようである。つまり、この切り口は企業分析のうちでもやはり超上級に区分されるものである。いつか、機会があれば、その面へのアプローチも解説したいと思うが、あったとしてもかなり先になりそうな気がする。
以上、今回でキユーピーを題材にした、企業分析の例を終わりとする。
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