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さて、今回からバリュエーションの話に入る。「株式投資をファンダメンタルから極める」ときに、バリュエーションは極めて重要な概念である。まさに、ファンダメンタルと株価との関係を説明するのがバリュエーションだ。このバリュエーションを使いこなせて、初めて「株式投資をファンダメンタルから極める」ということが可能となる。そして、このバリュエーションが当ブログの最大での売りでもある。
知らない人も多いと思うが、世の中には極めて精緻にこのバリュエーションについて学術的に研究されたレポートが大量に出回っている。しかし、これらの学術レポートはいくら読みこなしても、個別銘柄の投資には使えない。
一方、個別銘柄のレポートにはバリュエーションに触れているものも多い。しかし、検証することなくそれらの学術レポートの結果を引用したものか、逆に極めて稚拙な使い方をしたものか、どちらか二つしかない。
つまり、ファンダメンタルと株価の関係を、個別銘柄の投資に役立つような形で研究したものは世の中にほとんど存在しないのである。
ここまで、当ブログでは業績表の活用、成長株の分析、産業の分析と、それぞれの分析手法の解説と株式投資への生かし方を述べてきた。その中では、それほど重要なものでありながらバリュエーションに関しては、あまり深く触れず、PERとPBRを少し織り交ぜる程度で、簡単に説明するにとどめた。これは、PERという指標ひとつとっても、多くの人がいとも簡単に使い、株式市場では共通用語となっているものの、実は人によって基準が全く違ったりする指標であり、解説前にあまり軽く使いたくなかったためだ。実際、PERという指標は、かなり使い方が難しいものである。PERを使うためには、いろいろな制約条件があり、いつでも同じような使い方はできないのだ。
それにもかかわらず、このPERほどいい加減に用いられている指標もない。PERは、
PER=株価/今期予想EPS
で計算できる。つまり、利益の何倍に株価を買っているかという計算式である。そのため、10倍なら10年分の利益、20倍なら20年分の利益と表現されることがある。これはかなり頻繁に使われる表現だ。しかし、だから何だと問われて、答を持ち合わせている人はいない。つまり、20年分の利益とはどういう本質的な意味があるのかということや何倍が妥当なのかという問いに対する答えはないのである。
もちろん、PERという概念も、学術的にさまざまに研究されており、学術的な解釈はあるが、われわれが直感的に理解できるような答えではない。突き詰めても、突き詰めても実体が見えにくく、答えのないものである。
一方、ある銘柄のPERは何倍であるという表現や、だから割安だとか、割高だとかいう表現はあらゆるところで使われている。
極端にいえば、ほとんどの人がわけもわからず、使っているのである。しかし、使い方さえうまく行えば、業種によっては他の指標を使わず、PERだけで高いリターンを得られる指標でもある。
今回、バリュエーションを解説するに当って、PERに関して、さまざまな角度から検討する。今回はまずPERの初歩的な原理、原則の解説である。
世の中ではそこまで意識して使っているかどうかはわからないが、PERを投資に使う場合、おそらく二つのことを期待していると思われる。ひとつはPERが低いので、将来PERが高くなるからそのときに売るという考え方である。二つ目は、PERが低く、成長率が高いので、PERが変わらなければ税引き利益の成長率分のリターンが得られるという考え方である。
まず、一番シンプルな考え方は、PERが低いので、PERがこのまま変わらなければ、その企業が本来持つ1年間の成長率分のリターンが得られるというものである。これを模式的に表したものが、下の表となる。この表自体は難しいものではないが、1年分の企業の利益成長率と同じ投資リターンを得られる条件がさまざまに含まれている。
この表は、ある3月決算企業を想定して、株価とPER、純利益の関係を見たものである。まず、今期の会社予想EPSが60円の株の株価が720円とすると、720/60でPERは12倍となる。計算はとても簡単だ。次にこの例では、今期の会社予想の増益率を20%、来期以降の増益率を15%としている。ただし、ここで少し注意を要する点がいくつもある。
(この画像はクリックすると拡大できます。)
企業の損益計算書を見ると、経常利益の下に特別損益という項目があって、経常利益に特別損益を差し引きしたものが税引き前利益となる。そこから、税金が差し引かれて純利益となる。PERを用いる場合に注意が必要なのは、経常利益に対して純利益が異常な場合は、そのままEPSを計算しても使えないということである。これは、大きな特別損益が発生している場合や税率がおかしい場合などである。
そこで、EPSがそのまま使えるかどうか調べるために、純利益を経常利益で割って、その値が40%-55%の間に収まっているかどうかをチェックする必要がある。この水準に収まらない場合は、損益計算書の経常利益以下を確認しなければならない。本来は、過去数年間の値をチェックすべきであるが、単純化して、経常利益の50%を純利益として、発行済み株式数で割って実質的なEPSとするやり方もある。
さて、今回はPERを使う場合の最も重要なポイントとして、表面上のPERを機械的に使うのではなく、経常利益と比較して不自然でない実質の純利益、EPSによるPERの算出をあげた。これはどうということのないことであるが、Yahoo!ファイナンスを初め、どこの株価検索サービスでも単純に表面上のEPSで計算しており、自分で決算短信などにより確かめてみることが極めて重要なのである。PERが低いと思って投資した株が、実は株式売却益が発生しており、翌期には経常利益は増益にもかかわらず、EPSは半分になっているということも起こるためだ。
このことを十分理解しておけば、表にある増益率も、純利益の表面上の増益率ではなく、経常増益率に限りなく近いものであることがわかる。
これが、PERを用いて株価を判断する場合の入り口である。次回は上の表に関して残るいくつかの条件を詳しく解説しよう。
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