株式投資をやり始めて、一番初めに感じる壁は、世界経済、日本経済、為替動向などがわからないと株式の市況解説を読んでも、よくわからないということであろう。

 株式投資において、よく議論されることに市場全体の水準、つまり日経平均やTOPIXがどうなるかということがある。確かにこれは株式投資を行うに当って、重要であることは間違いがない。中には、個別の企業の業績を調べるのは大変だから、日経平均やTOPIX、そして最近は為替を投資の対象にする人も増えている。しばしば、為替で大儲けしたというような話も耳にする。

 為替であればドル・円なら上がるか、下がるかの二つに一つ。当る確率は50%となり、競馬や宝くじより期待値は間違いなく高い。しかし、考えてみると、これはほとんどギャンブルの世界であり、丁半博打とあまり変わりがない。昔からギャンブル好きな人は多く、ギャンブルで資産を作ったという話もある。しかし、それ以上にギャンブルにのめりこんで、身上をつぶしたということは良く聞く話である。しかし逆説的に言えば、知識のない人が株式投資をするのなら、個別銘柄より日経平均やTOPIXのほうがいい面もある。あまり理解していない企業の株を売り、買いするより、日経平均なら上がるか、下がるかであり、誰も正確に言い当てられる人はいない世界であり、損をしても納得でき、自分は運がないときっぱりとあきらめることができるからである。

 本ブログで追求していこうとしている「株式投資をファンダメンタルから極める」というものは、本人に努力を要求する分、日経平均への投資より大変かもしれない。しかも、一般的な認識は、個別銘柄をいくら調べても、市場全体が上がれば儲かるし、市場全体が下がればやっぱり損をするというものであろう。もちろん、私もそう説明することはある。

 しかし、ここで根本的に見方を変えてみる。どういうことかというと、さまざまなマクロ要因で日経平均が変動し、それに個々の企業の株価が影響を受けているというのが大方の人の感じ方であろう。しかし、実際はその逆である。つまり、日経平均にしても、TOPIXにしても個々の株価の寄せ集めであり、単にその平均をとっているに過ぎない。だから、為替が円高になれば、輸出企業の株が下がるが、中には円高メリットを受ける企業もあり、そのような株は上がっていることが多い。しかし、日本全体としては輸出依存度の高い企業が多いので、それらの平均をとると下がることになる。

 そうであるならば、株式市場全体がどうなるかを考えるためには、世界中で起こる企業業績に対して影響する事象をすべて理解しなければならないことになる。株式関係のブログの中にも、相場解説として、現在、もしくは今日の株式市場が変動した要因をとうとうと述べているものが多い。

 これらの大半は、終わった相場の解説に終始しているものであり、将来どうなるかというロジカルな予測がないものが多い。予測があったとしても、さしたる独自の根拠もなく、今までの状況が続くとか、行き過ぎだから逆になるとか、中には様子見としておきながら、その後市場が上昇すると、今から買いだなどというものまである。もちろん、本当の専門家が書いているブログには内容的に参考になるものもある。しかし、個人投資家が世界のマクロ情勢の先行きを読み、相場の今後を述べることはしょせん無理なのである。

 ただし、これはブログを読む人に向かって言っていることであって、書いている人に向かって言っているものではない。書いて、人に見せるためには、自分が正確に理解しなければならない。よって、書くという行為によって、理解の精度が上がるのである。このブログで分析していることも、私からすれば書かずに私がアドバイスしている一人のファンドマネージャーと電話で話せば済んでしまうことである。しかし、書いて、見せるという作業になると、情報のあやふやな部分をいちいち確かめる必要が出てくる。すると、さっと流していた話の中から、実は面白い発見がある。

 書いて、見せる行為にはそのような効用があるので、このブログで分析の仕方を学び、ある程度ノウハウが蓄積したと思ったら、是非ともブログを立ち上げて、分析結果を公表してもらいたい。完璧なものである必要は全くないので、書いて、見せることをしてもらいたい。それによってさらに深く理解し、新しい発見ができることもある。

話を元に戻すと、マクロ経済のさまざまな現象を見るということと比較して、本ブログで行っていることは、もっとずっと狭い範囲の現象を調べれば済む。これが、株式投資にとってどのような意味を持つのか、わかりやすい例で説明しよう。

 この2週間で日本ハム(2282)、エスフーズ(2292)と銘柄の分析手法を解説してきた。ここでは、世界景気や為替については特に深く考えないで済ませた。一方、この少し前から、為替変動や世界景気に対する見方の変化によって、株式市場が大きく下落した。それでは、株式でリターンを得るために、個々の企業のファンダメンタルを調べることに、どのような意味があるのだろうか。

 下の表は日経平均の直近の天井である1023日を起点として121日までのTOPIX、日経平均、エスフーズ、日本ハムの株価の変化率を比較したものである。TOPIX5.7%、日経平均が8.0%下げる中で、日本ハムは4.7%と若干マイナス幅は大きかったが、エスフーズに至っては2.2%のマイナスにとどまっている。つまり、業績がグローバルなマクロファクターに影響されない企業であればさほどそのことを気にせず、その企業に関係することだけを調べれば済むのである。ここが「株式投資をファンダメンタルから極める」ことのポイントである。


株式投資をファンダメンタルから極める-091201

もちろん、この間相場が安定していたとしたら、両社とも多少は上がっていたこともありえよう。しかし、この間は1ヶ月強に過ぎず、全く動かなかったとしてもなんら不思議はない。ただし、若干付け加えると、日本ハムは日経平均に採用されている銘柄であり、日経平均の先物を売り買いする人もいるので、多少日経平均の変動の影響を受けることはある。

さて、前振りが長くなってしまったが、ここらで本題に移ろう。前回まで、業績表の活用として12回にわたって、三井松島産業(1518)、日本ハム(2282)、エスフーズ(2292)と分析の仕方を解説してきた。これらの銘柄は、基本的に循環株である。その循環の性格を理解し、現在の業績変動を業績表で捉えて、投資タイミングを計るという手法である。

しかし、株式には循環で説明できる株以外に多くの銘柄がある。そこで、今回からは、しばらく成長株というものに焦点を当てたいと思う。

言葉の定義は人によってさまざまであるが、成長株の概念も結構人によって捉え方が異なる。ここでは、成長株を安定的に高い成長を遂げる企業と定義する。このような定義にすると、市場環境の影響を強く受ける電機株などは入らない。それらは、循環株、もしくは循環成長株と言ったほうがいい。安定的に高い成長とは今の日本でも、年率10%以上は必要であろう。

今回、成長株として取り上げる第1号はトリドール(3397)である。これは、118日にスケアクロウ投資経済研究所に投稿している。

http://kakashi490123.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/3397-e38d.html

推奨後、相場全体が急落する中で同社株も急落したのであるが、業績が極めて良いため、あっという間に推奨時の価格(116日終値187,400円)まで戻してしまった。少し上の話の続きになるが、現在の株価下落は円高や世界的な景気回復に対する懸念により、日本の企業の業績も回復しないということで下げている。しかし、その前提が正しかったとしても、これまでの状況も同じであり、その中で業績が好調であれば、個別企業の事情に変化があれば別だが、何も問題ないことがわかる。そこで、株価は焦点の定まらない恐怖心から売られたが、市場が想定した条件下でも業績好調が継続する企業は買い戻されたということである。

さて、トリドールはセルフうどんの丸亀製麺という業態が急成長しているが、まだ丸亀製麺という店を認知している人は少ないと思われる。一般的な認知度が上昇することによって、今後市場での注目度が徐々に高くなることが期待される銘柄である。

次回から、このトリドールを例にとって、成長株に対するアプローチを行う。

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