今回は前回までの続きで、エスフーズ(2292)のポテンシャルを考えるために、もつ鍋ブームの実態に迫ってみよう。
個人投資家の場合、しばしば有望なビジネスを手掛けているからという理由で株に投資し、失敗するケースが多いように思われる。例えば、今年前半であれば、電気自動車が有望だからといって、GSユアサを高いところで買ってしまうケースである。現在の業績以外の要因で評価されている株の場合、市場がその材料に注目している間の株価は強い動きとなるが、天井を付けて下がり出すと、業績の裏付けがないためとことん下がる。
特に、昨今のように相場全体が大きく下落した場合はなおさらである。あのときあんなに盛り上がったのは何だったんだというような下がり方をする。しかし、電気自動車の有望性に何らかの陰りが出たわけではないので、損切りできずに、損失がどんどん膨らんでしまうのである。
ここで言いたいことは、株価は業績の裏付けがなくても上がることはあり、むしろそんなときのほうが、えてして急ピッチで上がるケースが多い。しかし、株価がそのように動くのだから大きな材料だと判断して買うと、とんでもなく痛い目にあうということだ。株式投資は市場にあおられて買うのではなく、市場がまだ評価していないが、自分が調べたら面白そうだという株を買うことが成功の秘訣である。加えて、業績の裏付けがあれば、リスクは極小化できる。
さて、今回のエスフーズは、業績が増額修正含みであり(前回の解説で用いた業績表を参照のこと)、バリュエーションも低い。PBRは0.85倍、PERは会社予想に対して10倍強である。ここで、もつ鍋ブームが本物になれば、株式市場でも注目度が高まる可能性が大きい。ここが肝心で、みんながもつ鍋ブームだと言い出した時には、株価と相談して、高ければ降りる算段をするのである。
そこで、インターネットでもつ鍋ブームを検索してみる。どんどん、出てくる。本気で株で儲けようという人は、ここから先は今読まないで、自分で調べて結論を出してみるといいだろう。その後、下の模範解答と照らし合わせるのである。足りない部分があれば、次に何かを調べる参考になるし、もしかすると下の模範解答よりいい答えを導き出しているかもしれない。そうであるなら、あなたは「株式投資をファンダメンタルから極める」という方法が性に合っている可能性の高い人である。
ここでは、古そうな話から少しずつ見て行って、話を整理する。
まず、1992年に第一次もつ鍋ブームがあったことがわかる。ただし、このときはブームに乗って、多くの外食産業がもつ鍋を始めたため、品質の低いものも多く出回り、あっという間にブームが去ってしまった。内臓肉は、下処理などを丁寧に行わないとおいしくないものである。私は、ホルモン系自体はあまり好みではないので、積極的に食べたいわけではなかった。しかし、ブームの最中に、和食系チェーン店に入ったらもつ鍋があり、こんなにブームなのだから一度くらい経験してみようと思った。ところが、専門店ではない店がブームに乗ってメニュー化した商品であり、一口でこれはだめだというほどまずかったため、後にも先にもその一回で終わった経験がある。
「自分がだめだと思ったら、あっという間にブームが去った」というのはもちろん偶然である。しかし、株式投資はいくら調べても当り、はずれがあるものだ。そのときに自分が納得していることが重要である。他人が調べた銘柄に乗って失敗すると、後味の悪さばかりが残るのである。
さて、次にブームという話が出てくるのは、2006年、2007年辺りである。えー、もうそんな前からブームなのか?という感じである。しかも、2007年頃にはもうピークか?というような記事もある。
今回のもつ鍋ブームの発端は、2000年代の初旬に恵比寿エリアに何軒かのおしゃれな「もつ鍋屋」ができた辺りらしい。ただし、ややブーム的になり始めたのが2006年から2007年で、2008年辺りからさらに趣向を変えたもつ鍋が出始めたのかなという感じである。ということは、ブームはすでに8合目、9合目ということか?
ただし、株式市場を対象にして考えると必ずしもそうではない可能性がある。確かに、このところのエスフーズの業績好調を見ると、すでにもつ鍋ブームの恩恵を被っている可能性は感じる。しかし、外食のもつ鍋関連株を評価するならいざ知らず、食品株のもつ鍋関連であれば、最終的にスーパーでもつ鍋が大量に並ぶ状況が、ピーク近しということになる。逆に株価は最も動きやすい時期である。
このような外食市場の動きに対して、2008年に日本ハム、エスフーズがもつ鍋をラインナップに加えている。エスフーズではかつての主力製品であった「こてっちゃん」を、原料事情によって04年5月より販売休止していた。それに対して、米国からの輸入再開により、07年3月から販売を再開している。さらに、08年9月には「こてっちゃん牛もつ鍋」を5シーズンぶりに再開した。なお、「こてっちゃん」ブランドは、自社ルートと伊藤ハムルートがあり、ウエイトとしては伊藤ハムルートが高い。
ただし、昨シーズンに関しては、両社とも及第点ではあったが、爆発的に売れたというわけではなかったようである。今年は昨年で手ごたえを得たことから、両社ともリニューアルの「もつ鍋」を投入している。現時点では、去年よりさらに手ごたえがあるようだ。心なしか、スーパーの店頭でももつ鍋セットや内臓肉自体の陳列が増えているような印象がある。先日、日本ハムの「カレーもつ鍋」を食べたが、予想以上においしいと感じた。食品の世界は意外に技術革新が味の向上につながってヒットすることが多い。前回のブームから10数年経て、格段に味の面で進化しているのかもしれない。
ここで気付くのは、前回ブームとなった92年は、やはり今と同じように、不況の真っ只中であったということである。また、その後ヘルシーで、コラーゲンなどにも富むことから、ホルモンやもつ鍋は女性にも人気を博しているようである。
以上見てきたように、爆発的ではないが、すでにもつ鍋はそれなりのブームになっているようだ。そのブームを受けて、昨年から家庭用のもつ鍋セットが出始めており、美容と健康、安さが魅力となって年末から年明けにかけて、ブームとなる可能性が感じられる。昨今は、テレビ番組で取り上げられると火がつく傾向があり、安い、健康、美容と3拍子揃ったもつ鍋はひょっとすると、年末・年始のテレビ番組のターゲットになる可能性もあろう。
以上がもつ鍋ブームの調査結果であるが、今年度の業績の好調も合わせて考えると、エスフーズの株価も注目される可能性が高いのではないかという結論となる。なお、第3四半期の決算発表がある1月中旬は、ちょうどもつ鍋シーズンの真っ盛りであり、ひょっとすると決算発表が株価上昇のひとつのきっかけとなることも考えられる。
さて、12回にわたって「業績表の活用」というタイトルで、業績表の作り方や使い方について解説してきた。一応このタイトルは終わりであるが、業績表は企業分析を行うときの基本であり、どんなときにも作成する必要があるので、十分に慣れてもらいたい。ここまで、分析対象としてきた株は、最も考え方がやさしい循環株である。ただし、ここで解説した基本をわかっていないと、よくなってから強気になってしまう、最も失敗しやすい株でもある。次回からは、少し観点を変えて、成長株の分析法について解説することにしよう。
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