殊能将之という作家の作品です
先に断りますが、今回は本の紹介であって、作家の紹介ではありません
なぜならば、2作目の「美濃牛」も結構な駄作だったんですが、3作目の「黒い仏」、これは本当に頂けません。もう、何を書いているのやら、何が言いたいのやら、最近、読んだ作品の中では下の下ですね、正直

と、ここまで作品をこき下ろした後に、デビュー作の「ハサミ男」について触れるのですが、この作品はかなりのレベルですね

作家にとって「デビュー作は永遠に越えられない壁」と言うことを小説か何かの中で見かけたことがあります
まぁ、現実においては、みんながみんなそういう訳ではないでしょうが、デビュー作には書きたいことと情熱の全てを詰め込んで書き上げるから傑作になる、そして、2作目はそれなりの情熱と1作目を書いた要領を覚えるのでそれなりの作品を書き上げれる、しかしながら、本当に難しいのは3作目からだそうで、既にデビュー作を書き上げた情熱もなく、要領だけで書き上げれるほど甘い世界でもないと、言うようなことだったと思います
この殊脳将之の作品においてもデビュー作に当たる「ハサミ男」では恐らく、作家として世に出るまでに暖め続けていたネタを持ち込んだため、素晴らしい出来になったのでしょう。しかし、「美濃牛」では既にデビュー作ほどの感嘆もなくどこにでもあるような凡百の作品と成り下がり、「黒い仏」についてはあまりの駄作に読んだ時間を返して欲しいと怒りすらこみ上げてきます


と、あまり他の作品を叩きすぎると、「ハサミ男」について悪い先入観をもたれるかもしれないのでこれくらいにして、紹介の方に移りたいと思いますが、あまりに精緻で大胆な手法のため、一度、読んだ人間がこの作品について紹介することは言葉の端々にでもネタバレの危険性がありますので、正直なところ、ストーリーについては触れることが出来そうにないです
ほんと、それぐらいに手の込んだトリックがこの作品には組み込まれているのです
もう、本を手に取った瞬間から、殊能将之の仕掛けたトリックにはまっていたことんですね
とにかく、推理小説が好きな方は是非、「ハサミ男」を読んでみてください


正直、今作を読んだ時に横溝正史の再来かと思えるほど、感動したのですが、次からの駄作っぷりには冒頭で述べたとおりの落胆です
しかしながら、それでも次回作を期待したくなるほどのデビュー作だったのです
批判的な記事は出きるだけ控えたかったのですが、今後、殊能将之氏がデビュー作を越える傑作を作ることを心待ちにしているファンの一人として、苦言ながら、ここに記させてもらいました
むしろ、デビュー作に対する最大限の賛辞と今後の活躍を願ってと受け取っていただければ幸いです