よっ!
俺ミラクル!
いやいや、奇跡を起す俺。
こないださー、すんげーミラクル起こしたんだぜ!
聞きたい?
聞きたいよな!
じゃ、その辺に座って聞いてよ、俺のミラクル。
こないだ、バームクーヘン食ったんだわぁ。
ワンホール。
そうそう、あのデカい感じの。
ま、デカかったんだけど。
ま、そのまま男らしくダイナミックにかじりつく事もできたんだけど、なんちゅうか、そこはやっぱり俺ってちょっといいとこの子じゃん。
いつもはみんなに合わせて自販機にかかと落としとか食らわせてるけどさ。
バームクーヘンの前では一人の人間としてさ、どうしても隠せなかったわけよ。
台所にあった果物ナイフで、まーちょっとずつ?一口分?1/8的な?ぐらいずつ食ってたわけよ。
そしたらあっという間に無くなって、バームクーヘン。
口程でもないって言うの?
ま、やつもそれぐらいの人間、いや、バームクーヘンだったって事よ。
なんだよ、もうお終いか?ってヤツの空箱に問い掛けてたら、なんだか小腹が空いてきて。
うん、今食ったばっかりなのに。
何か調達に行く事にしたんだ。
食った後はまーそのままでも良かったんだけどさ、またそこで地が出ちゃったっていうか、ま、仕方ないよね。
空き箱片付けて果物ナイフもきちんと洗って水きりカゴに納めたさ。
でそのまま出かけたんだけど。
その後母ちゃんがアパートに来たらしいんだわぁ。
ま、ホントは"お母さん"って呼んでんだけどね。
またいつもみたいに米だの野菜だの持ってきたみたいなんだよ。
でね、冷蔵庫の中を整理してたら、
果物ナイフのキャップ?なんつーか、鞘の部分が入ってたんだって。
それも新聞紙に包んだ白菜の下に。
確かに白菜は食べるけど、鍋とか良い季節だし。
作らないけど。
で母ちゃんから電話があったんだよ。
「どういうつもりだ。」
って、短くね?
わけを聞かれてんのに命令口調だよ。
疑問文なのに命令形かよ。
母ちゃん言葉遣いおかしいから。
「あんなの冷やす人、見た事ない。」
って。
俺だって見た事ねえよ。
正にミラクルだよ。
凄くね?俺の潜在意識。
自分でも気付いてなかったぜ。
もう一人の、"俺"的な?
全く、参ったよ。
もしかしてお前、気付いてた?