ニヒル | 桃の上にも・・・

桃の上にも・・・

妄想バイクで爆走中☆

あれは、5月の連休だった。


高校の同級生が久しぶりに帰ってきてて、自慢のバイクに乗せてもらって、遊びに行った帰り。

うちの近くには、海をちょっと埋め立てて造った船着き場があって、漁船がいっぱい繋がれていた。

その中に、どんな時に使うのかわからないけど、ボートみたいな船も繋がれていた。


友達と二人、コンクリートに座って海を眺めながら、近況など報告しあっていた。

普通に日が暮れて行く。

なのに。


突然彼が話すのを止めてニヤニヤ。

なんだろうと思って、彼の視線を追う。

ボートみたいな漁船の近くに麦わら帽子が浮いている。


何が面白いと?


彼が笑いを堪えながら説明してくれた。

船の上でおっちゃんが何か作業してたら、被ってた麦わら帽子が風で飛ばされて、海に落ちたらしい。
おっちゃんが、帽子を取ろうと船から身を乗り出していたら、そのまま海に落ちたらしい。

私が見たのはその麦わら帽子。

なんで、そんな場面を見逃したのか、自分の間の悪さを呪った。

しかし、想像力でカバー。

もう、たまらん。

二人とも我慢できずにゲラゲラ笑い出した。

我慢できずに大声で笑っていた。


「そこのカップルー、笑うなー!」

声の方を見ると、ずぶ濡れのおっちゃんが。

麦わら帽子を持って立っていた。


やばい!!!


笑いを必至で我慢していると、おっちゃんが近付いて来た。

「あんた、うららさんとこの、はるやろ。」

なんで知ってると?

「おいは何でも知っとるけん。」

やばい逃げられない!

でも面白い。

やばい面白い、やばい面白い…。

あー私どうしたら・・・。

私が固まっていると、

「デートの事は黙っとくけん。」

そう言い残すとおっちゃんは去って行った。

いえ、デートでは…。

おっちゃんは振り返らない。

夕日に照らされたおっちゃんの背中は、ずぶ濡れだった。

遠くまで見送った。

おっちゃん、泳ぐにはまだ早いよ。

5月だよ。


おっちゃん、誰だかは今でもわかんないけど、

グッドラック。


au one gree 2008/02/28