そこは高い塀に四方を囲まれており、背の高い樹木に覆われた緑の要塞だった。
生い茂る森の向こうに『なに』があるのか。
聞いた話では呪われたお屋敷があるとかなんとか。
まぁ、あの辺りは迷宮入りの事件も発生してるスポットだし…推して知るべしと。
子どもは子どもらしく好奇心を募らせた。
『いけません』
と言われると、是が非でもしたくなるのが人間の困った好奇心の為せる業。
どうにか塀を越え、樹木の向こうにひっそり聳える屋敷を一目拝もうと。
それを見咎められるのではなかろうか、と。
スリルに満ちた子どもの冒険がそこにはあった。
時を越え、今。
かつての魔王の城はなんと広くその門を開け。
公園になっている。爆
子ども心をくすぐった屋敷はその姿を顕にし、今は大人になった私の心を違った意味で慰める。
良い景色だ。
明治頃に建てられた物と思われる屋敷が、散歩がてらに眺めることができるなんて素敵。
あの時代の和洋折衷が好きなんですよ、個人的に。
今の子ども達はこの景色を苦労せず当たり前のモノとして見られるんやね。
…贅沢な。
まぁ、でも。
この公園の下に佇む慰霊碑と共に、私の子ども時代をスリルと冒険に満ちる豊かなモノにしてくれた場所。
それを今の子ども達が知らないのは、それはそれでかわいそうというか。
寂しいモノがある。