こんにちは、相川晴(HAL)です。
ちょっと国内で麻疹患者さんが増えてきてます。
ということで、
✔ MRワクチンを打たなくていい人
✔ 逆に今すぐ打つべき人
をわかりやすく解説していこうと思います。
(ちなみにMRワクチンは「麻しん風しん混合ワクチン」で、麻疹だけでなく風疹も一緒に予防できるよ、というワクチンです。風疹はまた別で予防がめちゃくちゃ大事な感染症ですが、ここでは麻疹(はしか)の予防として「MRワクチン」をあげており、麻疹予防の観点からの接種推奨者を解説しています。)
2018年の麻疹流行を受けて、国立感染症研究所が「MRワクチン接種の考え方」という方針を出しています。
ちょっとわかりにくいので、ここで解説しますね。
MRワクチンを打たなくてOKな人は?
次の条件に当てはまる人は、すでに免疫があるため、追加で打つ必要はありません。
✅ 1歳以上で2回接種済みの記録がある人(母子手帳で確認!)
✅ 麻疹にかかったことがあると検査で診断された人
✅ 抗体検査で十分な抗体があると確認できた人
「子どもの頃に麻疹にかかった気がする…」という記憶だけでは不確かです。他の病気と勘違いしていることも多いため、検査で診断を受けていることが条件になります。
また、記録で確認することが大事!
母子手帳や医療機関の記録で「2回接種済み」と確認できればOKです。
MRワクチンを打てない人は?
次に、ワクチンを打ちたくても接種できない人もいますので、一覧にまとめておきます。
❌ 発熱中の人
❌ 現在、急性の病気にかかっている人
❌ MRワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある人
❌ 免疫抑制状態など、免疫機能に問題がある人
❌ 妊娠中の人
❌ その他、医学的に接種が不適当と判断された人
特に妊婦さんは接種できません。妊娠中の方は周囲の人がしっかり予防することが大切です。
また、生後6か月未満の赤ちゃんもワクチンは打てません。
「自分は接種できるのかな?」と迷った場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
MRワクチンが必要な人は?
ここからが本題!
まだ2回接種していない人は、基本的に接種が必要です!
しかし、今現在MRワクチンが不足してまして、誰でも希望すれば接種できる状況ではありません……
ということで、その中でも特に 「最優先で打ってほしい人」 をまとめました。
① まずは定期接種の対象者!
1歳と就学前に接種するのが基本!
📌 第1期定期接種(1歳児)
📌 第2期定期接種(小学校入学前1年間の幼児。今年度で6歳になる子、つまり年長さん)
1歳の誕生日にはMRワクチンをプレゼント!
就学前の年長さんのタイミングで2回目を接種!(年長さんになる4月から卒園の3月まで)
特に2回目を忘れがちなので要注意(そしてそのタイミングでおたふくワクチンもぜひ一緒に!)。
冬に風邪をひいて接種のタイミングを逃してしまい、気づいたら期限切れ……なんてことも。
ということで、年長さんになってすぐの早めの段階済ませるのがおすすめです!
(ただ、今はMRワクチンが不足していますので、ひとまず予約が取れるか医療機関にご連絡ください)
②旅行に行く人
📌 1か月以内に海外(・国内)旅行を予定している人
国立感染研の資料では、国内旅行と書かれていますが、まだ国内で流行状況にはなっていないので、「海外旅行」を予定しているだけでよいと思います(2025年3月時点での話で、今後流行が始まったら状況は変わります)
海外は日本では流行していない感染症がもろもろ流行してます。
で、今現在! 世界で麻疹が流行しています!
東南アジアとかはわかるけど、ヨーロッパは大丈夫では……? という方もいらっしゃると思いますが、残念ながら流行中です。WHOがわざわざ注意喚起をしております……アメリカでも麻疹の流行で死者が出ております……
旅行中、飛行機で隣に座った人が麻疹だったら…?
旅先で急に感染が広がったら…?
考えただけで怖いですよね。
ということで、海外旅行を予定している人で、MRワクチン2回接種したことがない人は渡航外来などでご相談ください(MRワクチンは不足していますが、渡航外来であれば輸入のMMRワクチンを準備していることがありますので、接種できるかもしれません)
ワクチン接種後、抗体ができるまで 2週間かかる ので、できるだけ 2週間以上前に接種 を済ませましょう。
もし直前になってしまっても、ワクチンの方がウイルスの増殖より早く働くので、遅くても打つ価値あり!
ただし、接種後 5〜14日後に発熱や発疹などの副反応 が出ることもあるので、旅行直前の接種には少し注意が必要です。
③ 医療・保育・教育関係者、不特定多数と接する人
📌 医療関係者(救急隊員、事務職員含む)
📌 保育園・幼稚園・学校関係者
📌 観光業、接客業、空港職員など、多くの人と接する職業の人
これ、ほぼ全員が当てはまるのでは…? と思いますが、それくらい重要!
人と接する機会が多い職業の方は、知らず知らずのうちに感染しやすく、感染を広げるリスクも高いため、積極的に接種を!
④ 近くで麻疹の流行が起きた地域の赤ちゃん(6〜11か月)
📌 生後6か月〜11か月で、近くで麻疹患者が出た場合
近隣で麻疹患者さんが出ていなければあせって接種する必要はありませんし、この月齢でワクチンを打った場合、定期接種の1期・2期は別に必要(通常通り接種する必要がある)ですが、今後流行地域では「緊急接種」も検討されることがあります。
接触の可能性がある場合などはかかりつけ医とご相談ください(確実に接触している場合は、できるだけ早く相談してください)。
⑤ MRワクチンを打てない人の家族!
📌 0歳児の家族
📌 妊婦さんの家族(抗体価が低い場合)
📌 ワクチンを打てない人の家族
家族がしっかり接種して、赤ちゃんや妊婦さんを守る。
これを「コクーン戦略」と呼びます。
自分が打てなくても、周りの人がワクチンを接種することで感染リスクを下げる ことができるんです。
一番近くにいる人が感染しなければ、それだけで赤ちゃんや妊婦さんが感染する可能性が低くなります。
みんなで守ろう!
⑥ 定期接種を逃した2歳以上のお子さん!
📌 定期接種を忘れた2歳以上のお子さん
📌 小学生・中学生・高校生・大学生
学校などの集団生活では、1人が感染すると一気に広がる 可能性があります。
1回では免疫が不十分なので、必ず 2回接種!
もし「うったかどうかわからない…」という場合は、母子手帳などの記録を確認しましょう。
感染拡大を防ぐために、できるだけ早めの接種をおすすめしたいんですが……
最初にお話ししたとおり、今MRワクチンが全国的に不足しています。
定期接種対象のお子さんに関しては、厚労省が2年の延長を決めておりますので、供給が戻り次第ぜひ接種をご検討ください。
それ以外の方に関しては正直接種が難しい状況が続くと思います。輸入のMMRワクチンについては、あるところにはあります(けどあまりない)ので、そちらの接種もご検討ください。
MMRワクチンを接種できる医療機関(の一部)はこちらで検索が可能です(検索の「備考」に「MMR」と入力して検索)。渡航外来をかかげているところであれば、HPに書かれている可能性があります。
自分が対象かも?と思ったら、早めにワクチン接種をご検討ください。(といってもワクチンがないんじゃよ……)
大切な人の健康を守るために、ぜひ家族や周りの人ともシェアしていただけますと嬉しいです。