注射で気分が悪くなる、それって迷走神経反射かも？

こんにちは、HALです。

 

 

こんなツイートをしたら

 

「採血で貧血になったのはこれだったのか」

「健診の時に椅子から落ちた人見たわ」

「気分悪くなるから、いつも横になって採血してもらう」

 

などなど、「ぼくもわたしも」とたくさんの声が寄せられました。

 

というわけで、今日は迷走神経反射の話を少々。




採血や注射、献血なんかで針を刺された時に、さーっと血の気が引いた感じがして気持ち悪くなったりしたことはありませんか？


 それは、迷走神経反射、かもしれません。


迷走神経反射（VVRと略されます）は、

ストレス，強い疼痛，排泄，腹部内臓疾患などによる刺激が迷走神経求心枝を介して，脳幹血管運動中枢を刺激し，心拍数の低下や血管拡張による血圧低下などをきたす生理的反応。（日本救急医学会HPより）

ちょっとわかりにくいですね。

 

いろいろな原因で（例えば注射なんかで強い痛みを感じたりすると）、「迷走神経」という神経が働いて、血圧がすこーんと下がる、と思ってください。

血圧が急に下がるので、なんか頭がふわーっとして、目の前が白くなって、気分が悪くなって、場合によっては気絶・失神します（ぶっ倒れます）

 


いつでも誰でも起こす可能性はあるんですけれども、起こしやすい人、起こしやすい条件というのはあります。

疲れているとか、すごく緊張しているとか、お腹がすいているとか、寝不足とかですね。

注射の成分がいいとか悪いとかではなく、針を刺される痛みだったり、「刺されるな」という緊張だったり、そういったことで起こります。

なので、どんな注射（もしくは採血だけ）でも起こります。場合によっては刺す前に気分が悪くなる人もいます。


迷走神経反射は珍しいものではありません。

献血をする人を調べたら、献血者の1%（100人に1人）くらいが迷走神経反射を起こしています。

 

神経の反射で起こっているだけなので、時間が経てば自然に回復します。

横になったり、少し足をあげたり、場合によっては点滴（生理食塩水などの薬が入っていないものです）をするだけで、大抵の場合すっきり回復します。
 


おそらく、今回の新型コロナウイルスのワクチンでも、「気分が悪くなった」「ぶっ倒れた」という人が出ます。当然、目撃者も出ます。

でも、「なんて怖いワクチンなんだー！」と不安に思う前に、この迷走神経反射のことをちょっと知っていてもらえたら、冷静に情報を受け取れるかなと思っています。

 

それから、これまでに注射や採血で気分が悪くなったり倒れたりしたことがある人は、注射の前に教えてくださると助かります（こちらも準備ができます）。

もし気分が悪くなった時は、無理せずしゃがみこむ、よくなるまで立って歩かない（立ったままぶっ倒れると、頭をうって危険です）、また顔色が悪かったりと気分悪そうな人を見かけたら、スタッフにお声がけください。

 

少しでも注射・ワクチンの不安が減りますように。

 

参考サイトなど

迷走神経反射　日本救急医学会・医学用語解説集

 

 

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

 失神の診断・治療ガイドライン

(2012 年改訂版)

https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2012_inoue_h.pdf

 

～献血での副作用「血管迷走神経反応（VVR）」について～｜新着ニュース・プレスリリース・イベント｜広島県赤十字血液センター｜日本赤十字社

 

 

拙書です。よかったら。