レザボア・ドッグス(1992)
クエンティン・タランティーノ監督、弱冠28歳での劇場用映画デビュー作です。
ジョーと名乗る男のもとに集められた6人の犯罪者たち。
互いを名前ではなく、ブルーやオレンジなどと色で呼び合うように指示された男たちが、綿密に練られた計画の宝石強盗を企て実行するのだが・・・
この集められた男たちのバーでの雑談から始まる本作。
犯罪者同士が仲間となって犯罪を企てる作品は数多く作られており、それらの作品のほとんどが計画の途中に綻びが生じて破綻が生じるサスペンスなのですが、本作は、いきなり計画が破綻しているところから始まるのが面白い。
いるはずのない警官隊の狙撃に遭い、メンバーの中の誰かが裏切り者であるに違いないという疑心暗鬼に包まれた状態で物語が進行していき、そのシークエンスに登場人物たちの素性を紹介していくという手法で、後の『パルプ・フィクション』などに受け継がれていくタランティーノ・タッチがこの処女作から存分に味わえるのが、今になるととても興味深い。
各人のキャラクターには、特に面白みのある人物がいるわけでもなく、相関図的にも興味をひかれる部分は少ないのだが、そのままでは退屈になってしまいそうなところを、タランティーノ監督は残酷描写で強引に引っ張っていく。
人質となった警官を拷問する場面などは強烈。
ただ、この時間交錯手法ともいえるこの作風は、ストーリーがなかなか前に進まないのが少々弱点。
ラジオDJを使っての音楽の使い方にはとてもセンスを感じました。
ここは、ウォルター・ヒル監督の『ウォリアーズ』を連想しちゃいましたが。
劇中、登場人物の一人(タランティーノ)が、マドンナのヒット曲、“ライク・ア・ヴァージン”を独特の解釈をして延々と述べるシーンも面白いですね。
急転直下のラストシーンも決まっていて、少々グロいところもありますが、ゴキゲンになれる作品です。
『レザボア・ドッグス』Reservoir Dogs(1992)米
クエンティン・タランティーノ監督 99分
1993年4月(平成4年)4月日本公開