『反逆のメロディ』
1970年(日) 澤田幸弘監督作品
古い任侠道が、
時がたつにつれ時代遅れとなっていく中、
やるせない思いを爆発させる若いヤクザと若者たちの物語。
大阪の淡野組が、
合法組織に衣替えするために組を解散する。
なじめない哲(原田芳雄)は、東京(だと思われる)の立花会に身を寄せた。
立花会は哲の腹違いの兄が組長で服役中だった。
哲はゲバ作(佐藤蛾次郎)と意気投合し、
大資本に苦しめられている庶民の用心棒的な存在となり、
地域の小さな商店らを守る。
そんな中、
解散した淡野組の組長が上京してきて、
哲に関東のヤクザ組織全部を解散させるように迫る。
組長は、
組を解散させた後、
大資本の建設会社の企業舎弟に収めることによって、
甘い汁を吸おうとしていた。
当然、
若い組員はただ動かされるコマの一つにしかならない。
組長の命令に背いて若い連中はその会社を襲撃する。
哲は、
組長からその建設会社には手を出すなと言われていたため、
手を出さず我慢していたが、
親友のゲバ作がその建設会社に殺されてしまい・・・
あ~時代だなぁと感じ取れます。
全共闘世代は、
この苦悩する原田芳雄に拍手喝さいをしたんじゃないか。
体制対反体制。
この構図が任侠の世界にまで入り込むことに違和感を感じる原田芳雄の気持ちがよくわかるし、
耐えに耐えるその姿に、
どうにもならない世間の動きの苛立ちを投影するものもいただろう。
『親分が黒と言ったら白いものも黒なんだ』
反体制はあっさりと体制側に殺されます。
このあたりは、
アメリカン・ニューシネマの影響がうかがえます。
原田芳雄、佐藤蛾次郎、ともに好演で、
原田のライバルヤクザの地井武男もいい味出してる。
鉄砲玉の藤竜也は貫禄。
出番は少ないですが、
光っていたのは、梶芽衣子。
独特の目力の強さはこの作品でも印象的でした。
『さそりシリーズ』は、この後からですね。
任侠版ニューシネマといったところで、
なかなかおもしろいですよ。
風俗的にもね。
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