『SOMEWHERE』 原題:SOMEWHERE
2010年(米) ソフィア・コッポラ監督作品
あっと驚くような事件があるわけではない。
印象的なエピソードがあるわけではない。
スリリングな展開やカット割りがあるわけでもない。
でも、心の襞に染み込むものがある。
心の奥にそっとしまい込んでおきたい小品です。
映画スターのマルコは、
ホテル住まいをして、
そこそこ女性とも遊んで、
車はフェラーリを乗り回している中年貴族。
ある日別れた妻レイラが、
一人娘クレオを一日預かってくれとやってくる。
久々に過ごす娘との日々。
スケート場に送り、
他愛のない会話でぎこちなく娘と過ごすマルコ。
映画スターであるマルコは、
プライベートでも、
取材や撮影などで忙しい。
そして、
また妻レイラから、
サマーキャンプまで娘を預かってくれという・・・
マルコを演じるスティーブン・ドーフが、
ぎこちなく娘との触れ合う演技が抜群。
下手すると空回りのコメディ演技になりかねない役柄を、
哀愁をこめて演じている。
娘役クレオは、
めちゃくちゃ可愛いです。
父親とのプールでの潜水にらめっこ。
華麗なスケート場でのダンス。
台所に立っての朝食づくり。
父親の女友達と顔を合わせた時の微妙な表情。
極めつけは、
それまで笑顔しか見せなかった彼女が、
父親とのドライブ中に、
『お母さんはいつ帰ってくるの』と号泣する場面。
もう、抱きしめてあげたくなりましたよ。
女の子が子供から大人に変わるとき、
ほんの一瞬神秘的なほど美しくなる瞬間。
登場人物がそれぞれ抱える不安は、
何一つ答えが出ない。
観客はただたくましく生きてほしいと祈るだけ。
監督はソフィア・コッポラ。
『ゴットファーザーPARTⅢ』で大根だった(失礼ながら)彼女が、
父親(フランシス・フォード・コッポラ)のアドバイスがあっただろうけど、
こんなに情緒的な作品が作れるなんて驚いた。
しばらく余韻にひたっていたい作品です。
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