『恋人よ帰れ！わが胸に』 原題；The Fortune Cookie
1966年（米） ビリー・ワイルダー監督作品
ビリー・ワイルダーの脚本・監督で、
ジャック・レモンとウォルター・マッソーの競演というのだから、
面白くないわけがない。
邦題の意味はよくわからないが、
原題はThe Fortune Cookie、
占いのクッキーとでもいいましょうか。
テレビカメラマンのジャック・レモンが、
アメリカン・フットボールの試合を撮影中、
黒人選手にタックルされ転倒、病院送りになる。
それを聞きつけた義兄のウォルター・マッソーは、
がめつい弁護士で、
この事故の損害賠償として、
200万ドルの訴訟を起こす。
ジャック・レモンの怪我は、
半身不随になるほどの重症じゃなかったが、
ウォルター・マッソーに言いくるめられて、
重症のふりをして車椅子生活を送ることになる。
訴えられた側も敏腕弁護士を雇い、
さらには探偵まで雇って、
ジャック・レモンが仮病ではないかと疑う。
怪我をさせた黒人のフットボール選手は、
本当にやさしい人で、
身体の不自由なジャック・レモンを心底世話してやる。
ジャック・レモンはそれが心苦しい。
新聞で訴訟のことを知った別れた妻が、
お金目当てで帰ってくる。
ジャックレモンは有頂天になり、
今まで世話をしてくれた黒人選手を追い払い、
元妻に面倒をみてもらうことにする。
老練なウォルター・マッソーの作戦によって、
訴訟は原告に有利に進められるのだが・・・
この作品は16のチャプターから出来ており、
それぞれのチャプターの最初に独立したタイトルがつき、
それぞれのチャプターだけでもひとつの物語として成立するくらいよく出来ている。
ジャック・レモンもいい味だが、
抜群なのはウォルター・マッソー。
一見冴えない弁護士に見えるが、
実は頭が切れ、過去の判例などが頭に叩き込まれている。
この図々しい弁護士役で、
マッソーは、オスカー助演男優賞を受賞。
当然ですね。
とにかくお話の運び方がうまく、
テンポもよく、
細かいギャグもぎっしりなので、
あっというまに終わってしまう。
ラストは実にやさしいハッピー・エンド・
ヒューマン・コメディの傑作として、
永遠に残る作品でしょう。
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