素晴らしき日曜日 | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます




素晴らしき日曜日
1947年度(日) 黒澤 明監督作品

まさしく素晴らしい着想の作品です。
戦後すぐの物語。

その日若い二人がデートで使えるお金はわずか35円。
その35円でいかにして楽しい日曜日のデートを送ることができるか。

次々とこの二人に小悲劇が降りかかる。
それはまるで人生の縮図のよう。
夢を持って生きることがいかに素晴らしいか、
夢を捨てることはどんなに惨めなことか。
経済的に裕福なことが、
そのまま人生の豊かさにつながらないということを、
主人公二人はわかりやすく見せてくれる。

黒澤明という監督は、
作品の中に自然をとりこんで物語に参加させるのに優れているのは、
すでに周知の事実ですけど、
この作品でも晴天、曇ってきて次第に雨が降り出し、
土砂降りになっていく。
夕方になって雨は上がるが、今度は風が強くなってきてと、
二人の心象を象徴的に描いています。

無人の音楽堂で、
風とともにシューベルトの「未完成交響楽」を演奏するシーン、
ここが最優秀シーン。

路上で少年たちの草野球。
途中で牛車がとおり中断したりするシーンもあります。

ほかにも「カルメン組曲」や流行歌であった「りんごの歌」の使用など、
黒澤監督の音楽センスが光る。

画面の向こうから観客に語りかけてくるという、
実験的映像も織り込みながら、
波乱万丈な、でもどうってことのない日曜日が終わります。

この作品も時代を切り取っていて素敵だと思います。
黒澤作品の中でも肩の力が抜けていて、
素朴な印象のすがすがしい作品。



ぎこちないけどとてもロマンティックな二人。
男のほうには前半まったく共感できなかったけど、
これも黒澤監督の作戦だったんですね。

オススメの一本ですよ!

人気ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 読者登録してね
にほんブログ
素晴らしき日曜日 [DVD]/東宝
¥6,480
Amazon.co.jp

素晴らしき日曜日【期間限定プライス版】 [DVD]/東宝
¥2,700
Amazon.co.jp