以前文庫で出されていた「普通の男」と「普通の恋」を1冊に、そして書き下ろしも収められた、分厚くて2段組のボリュームたっぷりのお話です。
さすがにね、平日に1晩で読むことはできないと最初から諦め、ゆっくりじっくりと読みました。
スリリングなお話もいいけど、じっくりしっとりしたお話が読みたい~という方におススメです。


  コンビニのおにぎりなら『赤飯』。それがマイルールの花島光也は、

  ある夜、最後のひとつの赤飯おにぎりを見知らぬ男から譲ってもらった。

  『お洒落』よりも『誠実』という表現が似合う、でも、どこにでもいるような

  男だ。数日後、編集経験があると偽って入った出版社で光也はその男、

  的場宗憲と再会するのだが!?

  普通に生きてきたはずが、恋した相手が同性だったら?

  臆病な大人たちが贈る、思わず恋がしたくなる物語!

  『普通のひと』『普通の恋』に書き下ろし『普通のオジサン』も収録。


↑背表紙あらすじより↑


今作のテーマは「普通」。

平穏に安定した生活を送るため、「普通」であろうとする大人。

そんな主人公たちが、同性に恋をしたらどうなる!?

おまけに彼らは38歳と32歳という、結構ないい歳。

こんな歳になって初めて、それまで多数派であった価値観の中で生きてきた彼らが、マイノリティになる不安や戸惑い、「普通」からはみ出さないように想いに蓋をしようとする様子が丁寧に描かれています。


先日いただいたトムさんのコメントにびっくりしたのですが、私も卒論で取り上げた作品のテーマが世間の常識とか、それからはみ出すことへの恐怖だったのです。偶然ですね~、トムさん。

ある一時期、「普通」ということについていろいろ考えまくったこともあり、今作ではその当時抱えていた想いをいろいろと思い出し、また、改めて考えさせられました。


と書くと、えらく重い作品っぽいですが、「普通」の中で思い悩む臆病な大人の様子を描きつつ、ペースは「恋」。

いくつになっても相手の言動に一喜一憂してしまう――それが恋ってのが、1冊の中にたっぷり描かれていて、しばらく恋をしていない私はその甘酸っぱい感情を疑似体験できてドキドキしました。

恋しているが故――という、いろいろな感情の波を味わいたい貴方!

分厚いですが、その分じっくり楽しめるこの1冊、是非手に取ってみてくださいね~。


それにしても、この本、本当にステキです。

私の大好きな榎田先生のお話ってだけでもステキなのに、これまた大好きな木下けい子先生のイラストですよっ!

作品の雰囲気とばっちり合っててすごく良い~。

大好きな先生たちのコラボを楽しめて、すごく得した気分になったハルでした。



普通のひと (SHYノベルス)/榎田 尤利
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