いよいよ漫画家シリーズラストの巻ですよ~。


  俺のせいで東海林がダメになっちゃう!? ルコちゃんという愛称で人気上昇中

  のマンガ家・二木は、恋人同士となった今も変わらず、いっさいの面倒を

  東海林に見てもらっていた。お互いそれで良いと思っていたはずの関係

  だったが、次々と東海林にアクシデントが起きる。さらに高校時代、二木の

  世話を焼いていた男・甘利が現れ……。きみがいなけりゃ息もできない――

  そんな二人の行き着く先は? 漫画家シリーズ最終巻!!


↑背表紙あらすじより↑


以下、ネタばれをあまり気にせず感想を書くので、未読の方はご注意くださいませ。


「きみがいなけりゃ~」で無事恋人同士となった二人ですが、「あぁ、恋人同士にはなったけど、完全ではなかったのだなぁ」と、この作品を読んで思いました。

世話する・世話される関係は、お互いそれで満足しつつも、やはりどこかイビツ。

好きだからただひたすらかまって欲しい、好きだからただひたすら構いたい。凸と凹がうまく噛み合った素敵な関係のようで、お互いの欲望を満たすだけの関係なんですよね。

今回ギャグマンガのように東海林を災難が次々と降りかかり、そこはすごく楽しいのですが、そこから導かれた二木の辛い辛~い決断が読みどころです。

東海林に負担ばかりかけていることを人に指摘されたことで、ルコちゃんはそれを気に病み、自分も家事に参加しようとしますが失敗ばかり。こんなダメな自分のそばにいると本当に東海林がダメになっちゃうと、東海林から離れようとする――自分の欲望より東海林の方が大切って気持ちが溢れてて良いのですが、ルコちゃんファンとしてはそれからのルコちゃんが可哀そうで可哀そうで。本当にルコちゃんは東海林がいなけりゃ生きていけなくなってるんですね……。

そして、それはルコちゃんだけでなく、東海林もで。

ルコちゃんに何もさせないことで自分への依存率を高めて独占していた東海林の方が、ルコちゃんがいなくなってダメになっちゃった。東海林がルコちゃんを支えてるって感じでしたが、実際は相手に思いっきり寄りかかっていたんですよね。

今回の別離期間はお互いにすごく辛いものでしたが、これをきっかけに二人の関係は少し変わったようです。

まず最初に変化に気がついたのは既刊フェアの小冊子。

成長したルコちゃんの姿がちらりと見えるのですが、この新刊での経験がルコちゃんを変えたのですね。

それまでは自分の欲望にだけ突き進んでいたのが、東海林のことが一番っていう風に変わったことで、東海林の気持ちを考えるようになった→人の気持ちを考えるようになり。あの辛い経験がルコちゃんを成長させたのですね。

次に変化を見せたのは東海林。それはこの新刊についていた小冊子で少し描かれています。

「ネコノート」という、ルコちゃんが描いた違った、とあるマンガに出てくる不思議なノートのパロディがお話の要になっていて、それ絡みの展開が楽しいお話なのですが、気になったのは東海林がルコちゃんに仕事を与えているってこと。それはすごく簡単なことで、まさに子供のお手伝いのようなことですが、ルコちゃんに何もさせずにいた東海林の成長を、そして、すすんでお手伝いをしようとするルコちゃんの成長を感じさせるもので、思わずニヤニヤしてしまいました。

さりげなく書かれたシーンにいろいろなものが詰め込まれた、素敵なSSでした。


また、この「きみがいるなら~」にはさりげなく(でもないか……)シリーズ全作の受+αが登場していて、シリーズ最終巻に華をそえてくれてます。特に野迫川たちの出し方が上手い……そうきたかって感じでした。ていうか、キミたち、オープンな場で秘密ネタを話してちゃダメですよ! そばにいたのがルコちゃんだから良かったものの……とツッコミを入れながら読んでました。


さてさて、シリーズはラストの本になりますが、来月発売の「小説b-Boy」にSSが載るそうです。ファン必読ですよね。楽しみです~。


↑赤字で訂正いれました。失礼しました。ご指摘、ありがとうございました!!!




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