大好きな月村奎先生の新刊です~。


  一年近くひきこもりを続ける健太。亡き祖母の住居兼店舗で、現実逃避に

  レース編みをしてひとり、暮らしている。そこへある日、宇佐見という男が

  訪ねてきた。長くシャッターを降ろしたきりのこの店で、焼き菓子専門店

  を開きたいというのだ。店を貸すことになった健太は、夢と希望に満ちた

  宇佐見のペースに巻き込まれているうち、彼に惹かれている自分に

  気付き……? ほんのり苦くてほんのり甘い、ラブ・アソートメント!!


↑背表紙あらすじより↑


雑誌掲載作と、その後の二人を描いた書きおろしが収められています。


以下ネタばれ満載(?)感想です。ご注意くださいませ。


優秀な両親や兄に囲まれ、優等生でいなくてはいけなかった健太は、大学受験で初めての挫折を味わい、おまけに大好きな祖母まで亡くしたことからひきこもり生活に突入してしまいます。

たまに顔を出す兄から「ちゃんとした生活をしろ」ときつく言われる度に、自分はダメなヤツだとますます落ち込み……そんなある日、店を貸してほしいという宇佐見に出会います。

宇佐見は大家さんである健太に日々声をかけ、お菓子を手渡し、ズカズカと健太のテリトリーにまで入ってきます。健太の容姿を整えてあげたりまでするし!!

ひきこもってしまった後、外に出にくい理由に、髪や服装のことがあるって分かる気がします。人の目が気になって外に出れない→ますますひきこもり。そういう人ばかりではないでしょうが、こういう人もいるんじゃないかなぁと思います。

「疑心暗鬼で自己評価の低い」健太のいいところを誉め、そして、愛することで、『自分を受け入れてくれる人がいる、この人と生きていくために頑張ろう』と少しずつ前向きに健太をさせた宇佐美、ステキな攻さんです~。

大らかで包容力があって、才能あるパティシエで、おまけに男前! 言うことなし! ……オヤジくさいプチエロトークしますが。健太を笑わせるためにおどけてバカなトークをするところもある、明るい人です。

ひきこもりってしまった子がもう一度ゆっくりと外の世界に出ていくという、重たくなりそうな設定を、宇佐見の明るさやオヤジトークがうまく調整している感じです。

宇佐見のお陰で暗~いお話ではないので、そう言うのが苦手な方、ご心配なく~。

とはいっても、ひきこもりという「設定」として軽く書かれているのですなく、ひきこもりをしてしまう子の内面を一生懸命描こうとしている月村先生の姿勢が分かる、ステキな作品です。おススメです~。


続編はキスでドギマギしている恋慣れない健太と宇佐見のその後。

ライバル(?)が登場したり、宇佐美は健太に触れなくなったりと、健太の心は不安でいっぱい。まだキス止まりなこのカップル、どうなるの!?ってところが読みどころ~。

慣れない子猫ちゃんを大人な宇佐見が口のうまさでなだめていく様が、年の差カップルらしい……。


ちょっとずつ外に出ようとしている健太の姿も良いです。頑張れ~と応援したくなります。

そして! ガミガミ言う兄とも歩み寄れてる感じがこれまたいいです。

この兄がね~、「秋霖」の兄の正反対。長男としての責任の強さと自分の考えを押し付ける傲慢さにイライラ~。秋霖・兄と足して二で割れば普通の人なのにねぇ。あ、でも、それだと物語は面白くないか。

でも、このガミガミ兄も実は弟が可愛くて心配でたまらないのね~と徐々に分かってきて、すごく可愛いです。


正反対と言えば、攻の性格もそうですね。「秋霖」の波多野の暴君・ラブトークしないところ(最後はバッチリ決めてくれましたが)と、今作の宇佐美の相手を褒めまくり・オープンな優しさ。かなり正反対。足して二で割れば(以下同文)


「秋霖」も好きですが、この攻もかなりおススメです。包容力のある、大人な攻がお好きな方は是非~。

また、すっっっごく美味しそうなお菓子がたくさん出てくるところも良いですよ~。食べ物が出てくるお話がお好きな方も是非~。



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