榎田先生の新刊の感想を書きたいのに、画像が出ないために
書けない。
そんな欝憤を晴らすため、以前簡単にしか作品について書かなくて、
消化不良気味だったので、「交渉人は黙らない」を再度ピックアップ!
それに、こちらの作品、画像クリックの数が出ないんですよ。
けれども、私の今年のベスト10に入るだろう作品なので、
興味のある方がどれくらいいるのかを知りたい。
なので、しつこいとお思いでしょうが、お付き合いくださいませ。


  元検事で元弁護士、そのうえ美貌と才能まで持ち合わせた男、

  芽吹章は、暴力・脅迫・強制、この三つが反吐が出るほど大嫌いだ。

  弱き立場の人を救うため、国際紛争と嫁姑問題以外はなんでもござれの

  交渉人として、「芽吹ネゴオフィス」を経営している。

  そんなある日、芽吹の前に一人の男が現れた。しかもヤクザになって!

  兵頭寿悦――できることなら、二度と会いたくない男だった……


↑のあらすじ、↓の画像を見ると、ハードな作品ってイメージじゃないですか?

ワタクシ、ハードな作品って好みじゃないので、読まず嫌いで

避けてたんですよ。

けれど、なぜか作品の画像を何度も見ることがあって段々気になり始め、

えーい!と購入して読んでみたら……面白いじゃ~ん!

何が楽しいって、芽吹のキャラです。

すごく美形で頭も切れるのに、全然気取ってなく、ペラペラとよく喋る

この男、交渉相手をいい気分にしながら自分の計画通りに事を運ぶという、

スゴ腕の交渉人です。

仕事柄ヤクザと接する機会も多いので、突然目の前に現れた兵頭にも

まったくひるみません。

高校時代の後輩・兵頭は、今や組の若頭。そんな兵頭に言いまくりです。

その二人の会話がとにかく面白い。

軽快で洒脱がきいてます。

交渉人の芽吹の冴えてるトークも、兵頭はさらりと受け流し、自分の思う通りに

ことを進めてしまいます。

何度私の頭の中に「右から左へ受け流すぅ~♪」という歌が流れたことか。

芽吹のセリフで「頭のいいヤクザってのは、――最悪だ」とあるのですが、

兵頭は頭がいい上に、か~な~りヤバいヤツなので、

そんな彼に付きまとわれる芽吹は本当に大変です……。

ですが、普段はきちんと交渉人をしてるんですよ、芽吹は。

その見事な手腕が作品の中で書かれているのですが、ブラヴォー!です。

人の心の掴み方が良く分かってる!

この交渉シーン、芽吹VS兵頭のトークと共にすごく楽しめますよ。


また、キャラもいい。

「芽吹ネゴオフィス」の所員の二人は、所長に負けず劣らずの個性派。

まず、江戸っ子で気風のいい婆ちゃん・さゆりさん。

チンピラ相手にひるまず言い返す、気持の良いひとです。

……あまりに気風がよすぎて、問題も起こしてますが。

そして、無口な超イケメン・キヨ。

所員以外にも清掃の仕事もしているのですが、それが特殊で……。

裏の世界などにも詳しい、ちょっと謎めいたヤツです。

必要なことしか発言しない。けれど、そこから優しさが伝わってきます。

か~な~り気になるヤツです。


そして、兵頭サイドにも気になる奴らが。

親分、ボディーガードの伯田も気になりますが、

お気に入りは兵頭の子分たち。

奴らにも芽吹の話術は効かないんですよ~。

ここ、すっごく面白いシーンです。


と、すごく面白い作品なんですが、それだけじゃないのがこの作品の

すごいところです。

今ではすごくおしゃべりで図太い芽吹ですが、高校時代の彼は

全く違うキャラだったのです。

兵頭が疑問に思う通り、私も彼の変貌の理由が気になりました。

その理由なんかもすごく良く描かれていると思いました。

(これについてはネタばれになるので、画像下に書きます)


あ、忘れてました。

芽吹が私のお気に入りの理由がもう一つ。

以前ブログでも書いたことがあるのですが、芽吹がお尻がプリッとした

お姉ちゃんに鼻の下を伸ばすシーンがあるんですよ。

こういうキャラって意外とBLには登場しませんよね。

そういう素直っていうか、オヤジくさいところが ツボ! でした。


こんな魅力溢れる芽吹のお話、すごく面白いので、未読の方は是非!


ネタばれ感想、画像の下に続きます。



  

交渉人は黙らない/榎田 尤利
¥903
Amazon.co.jp


さて、以下ネタばれ。


芽吹の辛い過去――それは両親との関係が影響しているのですが、

家族間での会話がなかったことで、自殺してしまった両親が何を

考えていたのか分からずじまいになってしまいました。

この問題点から今の職業に辿り着いたということにすごく納得しました。

そして、弱かった自分から抜け出して、弱い立場の人のために

動こうとする彼の正義感に惚れました。

でも、ここまで来るのには、この作品で書かれた以外にも何かあったんじゃ

ないかなと思います。

警察とかヤクザとかが嫌いな理由って詳しく描かれていないのですが、

これって検事や弁護士時代に何かがあったせいだと思うんですが。

2008年秋に続巻が出るそうなので、そこで詳しく書かれるかなぁ?

期待!です。


そして、この作品中で出てきた「弱い人間にしか得られない強さ」、

すごく気になっていたのですが、最後に出てきたその答えが良かった。

芽吹の「話をしよう」という姿勢と共に、いろいろと考えさせられました。

楽しいだけじゃ終わらない榎田作品に脱帽です。